白使インタビューPART1「観客を相手に闘っている」――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第204回(1995年編)

白使インタビューPART1「観客を相手に闘っている」――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第204回(1995年編)

  • 日刊SPA!
  • 更新日:2016/10/20
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WWEの全米ツアー、ニューヨークでのアパートメント生活、アメリカのプロレスについて語った新崎人生。いまから21年まえのインタビューを再編集しておとどけするPART1(WWEオフィシャル・パブリシティ写真より)

WWEスーパースターの白使HAKUSHIこと新崎人生は、ニューヨーク・ニューヨークのイースト・ヴィレッジでアパートメント暮らしをしていた。1カ月のうち20日以上はロードに出ているというからマンハッタンで過ごす時間はきわめて短い。ニューヨークでの生活、WWEの全米ツアーについて、そしてHAKUSHIというキャラクターについて新崎が語った、いまから21年まえのインタビューを再編集しておとどけする――。(1995年9月取材)

――アパートメントはイースト・ヴィレッジのまんなか、ダウンタウンのいちばんの繁華街といっていいロケーションですね。

「ええ、わたしがニューヨークへ来たときは、ブル中野選手がもうアパートを借りていまして、彼女はミッドタウンの49丁目あたりに住んでいたんですけど、すぐ近くに山崎五紀さん(元JW・エンジェルス)のレストランもありますし、このあたりだったら日本人も多くて、日本の食料品なんかも買いやすいということで、不動産屋さんで部屋を見つけてきたんです。たいへん住みやすいところです」

――オフの日は、地下鉄に乗ってぶらりと出かけるなんてことは?

「地下鉄には毎日、乗っていますが、よく日本で考えられているような危険な目にあったことはいちどもないです。夜中、1時過ぎなんかでもよくひとりで乗りますけど、そんなにアブナイという感じはないです。ああ、この街は24時間動いているんだなあ、という感覚はあります。まあ、歩いていけるところになんでもありますから、だいたいの用事は近所ですませています。スーパーマーケットや大きなグロッショリー・ストアみたいなところで買い物をして、食事も家で作って食べています」

――もう、ニューヨーカーですね。

「こうして家にいても、外の音がすごいですよね、1日じゅう。リビングに座ってテレビなんか観ているとしますよね。そうすると、外を走るパトカーや救急車、消防車などのサイレンでテレビの音が聞こえないんですよ、夜中でもなんでも。それから、こっちの車はクラクションをよく鳴らしますね」

――日本とアメリカで、プロレスのちがいは感じますか?

「日本のプロレスとアメリカン・プロレスっていうんでしょうか。ほんとうはそうやって区別するのはいけないんでしょうけれど、はじめのうちはやっぱりそういう意識がありました。日本ではみちのくプロレスで1年半ほどやってきまして、ルチャリブレですよね。ですから、アメリカのプロレスといったら、これは別モノと思っていました。こちらへ来て最初の2カ月くらいですか、失敗ばかりして、もう頭を抱え込みました。

――それで、どうなったのですか?

「ふつう、日本のプロレスとアメリカのプロレスは全然ちがうものなんだぞ、という考え方が一般的ですよね」

――日本ではそういうふうに考えられていますね。

「わたしもはじめはそう思っていたんです。こっちに来たらアメリカのスタイルに合わせなければいけないんだ、というふうに考えていたんです。ところが、そうではないんですね。どういうことかというと、ちがうのは“お客さん”なんだということです。お客さんが全然ちがうんです」

――“お客さん”がちがう?

「勝手に出てきて、勝手に闘って、それでわーっとやって勝って、勝手に帰るという競技ではないですよね、プロレスは。お客さんを相手にして闘うものです。つねにお客さんの存在を意識してリングに立つ、というんですか。アメリカへ来て、その部分を改めて勉強しました。日本もアメリカもやっていることは同じ。プロレスはプロレスなんですが、お客さんがまったくちがうので、自然とスタイルというか見せ方が変わってくるんですね。ですから、プロレスそのものがちがうわけではないのです。それはこっちのリングで試合をしてみないとわからないことだとは思うのですが」

――ことしの1月から正式にWWEの全米ツアーに合流したわけですが。

「デビュー戦の相手は123キッドで、そのあとは中堅どころですか。とにかくブレット・ハートと試合がしたかったのですが、それがようやく実現したのが5月に入ってからでした。いったいいつになったら彼と闘えるのか、そればかり考えていましたね」

――“ヒットマン”ブレット・ハートはどんなレスラーなんですか。

「攻めても攻めても、攻めさせられている、という感じですか。いくら攻めても、あくまでも向こうが試合をコントロールしているという感覚がつきまとう、というんでしょうか。ああいう感覚は初めてでしたね。懐が深い、というんですか。お釈迦様の手のひらで遊ばれちゃった、というのでしょうか。これがキャリアの差なのかな、というものをすごく感じました。こっちは試合をやってる最中に息があがってしまって、バテバテになってふらふらしながらドレッシングルームに帰ってきたのに、彼はケロッとしてそのへんを歩いていました」

――体はそれほど大きくないですよね。

「身長はわたしよりちょっと高いくらい。体重だってそんなに変わりません。レスラーとしての中身では雲泥の差があることを痛感しました。これからどのくらい彼に近づいていけるか、というのがわたしの課題というか、目標ですね。この人には勝てない、と思いました。ほんとうに、まだいちども勝っていませんし」(PART2につづく)

※この連載は月~金で毎日更新されます

文/斎藤文彦 イラスト/おはつ

※斎藤文彦さんへの質問メールは、こちら(https://nikkan-spa.jp/inquiry)に! 件名に「フミ斎藤のプロレス講座」と書いたうえで、お送りください。

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