イヌが歩いた道 分類学と進化の歴史から犬という動物を考える

イヌが歩いた道 分類学と進化の歴史から犬という動物を考える

  • わんちゃんホンポ
  • 更新日:2017/12/08
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※ここでは、漢字表記の「犬」「猫」はペットの犬猫を表し、カタカナ表記は野生種を含めた科学的なグループを表します。

イヌにはたくさんのなかまがいる

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イヌという動物は、どのようにして現在のイヌになっていったのでしょう。進化の歴史をひも解いてみます。

ペットの犬は、分類学的にいえば、学名をCanis lupus familiaris(カニス・ルプス・ファミリアリス)といい、食肉目イヌ亜目イヌ科(イヌ亜科)イヌ属に属します。犬の原種であるオオカミは、Canis lupusであり、犬はオオカミの亜種と位置づけられています。イヌ亜目とは、食肉目の2大グループのうちの1つで、もう1つはネコ亜目(ネコのほかに、ハイエナ、ジャコウネコ、マングースなどを含む)です。

イヌ亜目の中には、イヌ科以外にクマ科、レッサーパンダ科、アライグマ科、スカンク科、イタチ科、そして意外かもしれませんが、海に棲むアシカやアザラシなどの鰭脚類を含んでいます。

そして、もっと下位の分類群であるイヌ科のなかには、イヌ(オオカミ)以外にリカオンやキツネ、タヌキも含まれています。イヌのなかまには、けっこういろいろな動物がいるのです。

イヌ亜目の進化とイヌ科の登場

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イヌ亜目とネコ亜目は共通の祖先から4000万年程前までに分かれ、それぞれの進化の道を歩みます(詳しくは「どうして犬は口でボールを捕り、猫は手で捕ろうとするのか?」を参照)。イヌ亜目には、今のイヌの系統と、クマの系統、絶滅したアンフィキオンという動物の系統があり、イヌ亜目の登場後、わりと早い時期にイヌの系統(イヌ科)が生まれたと考えられています。

最初のイヌ科:ヘスペロキオン

イヌ科には、今のイヌにつながるイヌ亜科のほかに、絶滅したヘスペロキオン亜科とボロファグス亜科とがいました。このなかでもっとも古いイヌ科動物はヘスペロキオンのなかまです。ヘスペロキオンは、およそ3900万年前に北米に現れました。体長80㎝程度の小さな、イヌというよりもジャコウネコ(ジャコウネコはネコ亜科の動物ですが)のような姿の、長い尾をもつ動物でした。
このヘスペロキオンのなかまから、イヌ亜科が生まれたとされています。

最初のイヌ亜科:レプトキオン

およそ2500万年前の北米に現れたレプトキオンは、最初のイヌ亜科の動物、つまり、イヌ(オオカミ)、キツネ、タヌキの共通の祖先と考えられる動物です。体は小さく、キツネのような、細長い顔、細長い体をしていました。

最初のイヌ属:カニス・レポファグス

1000万年前ごろにはイヌ亜科が多様化し、真のイヌ、つまりオオカミの系統(イヌ属)と、キツネとタヌキの系統が現れます。最初のオオカミの系統は、500万年前の北米にいたCanis lepophagus(カニス・レポファグス)とされ、今のオオカミやコヨーテよりも小さい、体重20㎏弱の動物でした。姿はコヨーテに似ていたようです。そして、明らかにオオカミとわかる動物は、80~50万年前に北米に現れたと考えられています。

進化の舞台は北アメリカ

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もうお気づきかと思いますが、イヌの進化の舞台は北アメリカです。イヌは北米でうまれた動物だったのです。ではどうして今世界中にイヌのなかまがいるのでしょうか。それは800万年前のあるできごとがきっかけとなりました。アラスカ(北アメリカ)とシベリア(ユーラシア大陸)が陸橋によってつながり、陸続きとなったのです。この陸橋を通って、初期のイヌ亜科のなかまがアジア、ヨーロッパへ、そしてヨーロッパからアフリカへと移動していきました。さらに300万年前ごろには、パナマ地峡によって北アメリカと南アメリカがつながり、南アメリカへもイヌのなかまが移動、拡散していき、世界中へと広がったと考えられているのです。

まとめ

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このように順をおってイヌの歴史を振り返ると、イヌの進化は順風満帆のように見えますが、実は北米でのイヌのなかまには、ネコ亜目とのし烈な生存競争があったと考えられています。北米では多くのネコのなかまが進化し、多様化をとげます。ネコのなかまは強靭な筋力、強大な爪や歯を持つことで捕食者として成功し、多くのイヌのなかまを絶滅に追い込んだとされています。逆に言えば、今いるイヌのなかまは厳しい生存競争に打ち勝ってきた精鋭軍団なのかもしれませんね。

(博物館アドバイザー(元自然史博物館学芸員)提供:碇 京子)

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<ライター情報>
碇 京子
博物館アドバイザー(元自然史博物館学芸員)

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