暗雲漂うW杯最終予選、日本代表が苦戦する根本原因とは?

暗雲漂うW杯最終予選、日本代表が苦戦する根本原因とは?

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2016/10/19

勝点を「20」まで伸ばせば…

ワールドカップ・ロシア大会のアジア最終予選を戦う日本代表が、メディアから厳しい指摘を受けています。

最終予選は6ヵ国によるホーム&アウェイの総当たりリーグ戦で争われ、上位2ヵ国がW杯の出場権を獲得します。ここまで4試合を終えて、日本は2勝1分1敗、勝点7の3位です。

勝点10で首位を走るサウジアラビア、同8で2位のオーストラリアの後塵を拝していることもさることながら、アラブ首長国連邦(UAE)とのホームゲームに敗れたことが、周囲の不安をかきたてているのでしょう。

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UAEをホーム埼玉スタジアムに迎えた一戦

私は日本サッカー協会の技術副委員長として、日本代表をサポートしていく立場にあります。だからというわけではありませんが、4試合で勝点7は客観的な評価として悪くないと思います。

最終予選で2位以内を確保するには、全10試合で勝点18以上を獲得するのが目安になります。勝点を「20」まで伸ばせば、予選突破はほぼ間違いない。

11月に控えるサウジアラビアとのホームゲームに勝利すれば、勝点は「10」となります。5試合で「10」なら、10試合で「20」を目ざせるペースです。悪くないと考えるのはそのためです。

ただ、このままの状態で、首位のサウジアラビアにホームだからと言って勝てるのか? そんな疑問を抱く方も多いでしょう。

次戦は状況が違う

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が率いる日本代表が、本来持っている力を発揮できていない理由は、フィジカルコンディションが整っていないことが大きいです。

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前節オーストラリア戦でボールを奪われる香川〔PHOTO〕gettyimages

キャプテンの長谷部誠をはじめとして、本田圭佑、岡崎慎司、長友佑都、香川真司らの主力選手は、ヨーロッパでプレーしています。最終予選のために彼らが帰国するのは、試合の2、3日前がほとんどです。

長距離移動と時差に悩まされる日本でのゲームは、彼らにとって“ホーム”からかけ離れている。フィジカルコンディションについては、“アウェイ”に等しいと言ってもいいでしょう。

1対2で敗れた9月のUAE戦も、後半終了間際の得点で何とか勝利した10月のイラク戦も、日本はこのような状況で戦っていました。

さらに加えて、所属クラブでポジションをつかめていない選手が少なくない。選手によってコンディションがバラバラなのです。

しかし、チームとしての成熟したコンビネーションは、長谷部、本田、香川らによって作り上げられてきた。コンディションは良くないかもしれないが、大幅にメンバーを入れ替えるとコンビネーションが生かせない。そうしたジレンマに、ハリルホジッチ監督は直面していたと考えられます。

11月のサウジアラビア戦は、状況が違います。11日にオマーンとテストマッチを消化したうえで、15日のサウジアラビア戦に挑むことができます。オマーン戦でコンディションを整え、コンビネーションを確認することができるだけに、これまでとは違った戦いが期待できるはずです。

次世代が世界へはばたく準備

最終予選で日本が苦戦をしているのは、ハリルホジッチ監督のチームだけに原因があるわけではありません。対戦相手が力をつけていることも事実です。

20歳以下のチームが出場するU-20ワールドカップに、日本は07年大会を最後に出場できていません。09、11、13、15年と、4大会連続でアジアの壁に阻まれています。ということは、アジア予選で日本を破り、世界の舞台を経験した国があるということです。

「日本にも勝てる」という自信、「自分たちはできる」というプライドを持って戦っている国が、残念ながら、増えている現実があります。

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〔PHOTO〕gettyimages

西野朗氏を委員長とする技術委員会は、若年層で勝てていない現状に大いなる危機感を抱いています。

このため、J1、J2、J3の各クラブで育成年代を指導している方々に対して、先ごろ行われたU-16アジア選手権、現在開催されているU-19アジア選手権、来年に控えるU-17ワールドカップ、U-20ワールドカップの4つの大会のいずれかを、現地で視察するようお願いしています。そのための予算も、技術委員会で確保しました。

17歳以下、20歳以下の選手たちの育成に携わる指導者たちに、アジアの戦いを自分の眼で見てもらい、日頃のトレーニングに役立ててもらう。また、現地で指導者同士が顔を合わせることで、ディスカッションが繰り広げられることにも期待しています。

技術委員会は育成と強化の両面から、日本サッカーのレベルアップを促す役割を担っています。ハリルホジッチ監督のチームをサポートしつつ、次世代が世界へはばたく準備も進めていきます。

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著者: 山本昌邦 + 戸塚啓
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