PK戦直前、東口が西川にさりげなく“熱い”拍手を送り鼓舞した理由とは?

PK戦直前、東口が西川にさりげなく“熱い”拍手を送り鼓舞した理由とは?

  • サッカーダイジェストWeb
  • 更新日:2016/10/19
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背番号「1」の明暗を分けたPK戦。ふたりの切磋琢磨し合う関係は、これからも続いていく。写真:徳原隆元

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12年の大怪我を乗り越えた東口にとって、“同僚”でもある西川の痛がる姿を見て、他人事ではなく心配をしたという。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[ルヴァンカップ決勝]
ガンバ大阪 1(4PK5)1 浦和レッズ
2016年10月15日/埼玉スタジアム2002


1-1で迎えた延長後半15分、スピードに乗ったG大阪の呉屋のシュートが浦和ゴールの右ポストに直撃。内側に跳ね返ってゴールライン上を転々ところがったボールを、森脇がスライディングで間一髪クリアする。

浦和はあとわずか数十センチで地獄に突き落とされていたギリギリのところで、辛うじて事なきを得た。

呉屋のシュートコースを立ちふさいだGK西川周作は必死にそのショットに横っ飛びし、左手の指先でわずかにボールに触れていた。その一瞬の判断とプレー――まさに紙一重の差で、ボールはゴールラインを越えずに済んだと言えた。

ただ、試合開始から極限の集中を強いられるなか、すでに3時間近くが経過。西川はこのプレーで首を痛めてしまい、一旦立ち上がったものの、主審に合図をしたあとピッチに倒れ込んでしまう。

浦和のメディカルスタッフがゴール前まで駆けつけ、応急処置に時間をとる。浦和はすでに交代枠を使い切っていたため、もしも、西川がプレー続行不可能となってPK戦に突入すれば、フィールドプレーヤーの誰かが代わりにGKを務めなければならない。

1分ほどが経過し、西川が身体を起こす。首をアイシングし、水分を補給。顔をしかめながらも立ち上がり、プレー続行可能だとベンチに伝える。

この様子をじっと見守っていたのが、ピッチ上で西川から最も遠く離れていた、G大阪ゴール前にいたもうひとりの背番号1――東口だった。

西川が大丈夫だと分かると、東口は安堵するとともに、さりげなく熱い拍手を送っていた。彼を鼓舞するような、心のこもった拍手だった。

Jリーグでは最大のライバルであるが、日本代表でも切磋琢磨し合う気心の知れた“同僚”でもある。東口はそのシーンについて、次のように説明した。

「なにより周作があんなに痛がっているのは見たことがありませんでした。PK戦のことがもちろん頭によぎり出していました。120分戦い切ろうとしていた時間帯、同じGKとして『大丈夫か……』と心配しました。

僕も大怪我をして長期間戦列を離れた経験もしていたし(新潟時代の11年と12年、右膝前十字靭帯断裂と再断裂、内側側副靭帯損傷を負っていた)、そんなことにだけはなってほしくなかった。だから周作が立ち上がった瞬間、自然と拍手を送っていました」

【ルヴァン杯決勝 PHOTO】G大阪 1(4PK5)1 浦和|激闘の末浦和が13年ぶり2度目のリーグカップ制覇!Jリーグを代表するとともに、日本を支えていくべき、ふたりの背番号「1」。そう言って、過言ではないだろう。しかし、東口は謙遜する。

「周作が日本代表のレギュラーを務めているわけで、僕は追いかけている立場。なんとかして越えていかなければいけません。だからこそ、こうした重要な試合では勝たなければいけなかった。それだけに、本当に残念です……」

東口はやはり西川に“負けた”ことを何より悔やみ、唇を噛み締めた。

試合中は「周作のこと? 意識なんかしていられないですよ。自分のことで精いっぱいですから」とも明かしていた。そんな東口がまるで自分のことのように、身を乗り出して西川を案じたワンシーン。

17日からの日本代表GKキャンプでは、ハリルホジッチ監督の「190センチ」発言が物議を醸し、意外な形で注目を集めることになったが……。

このふたりのだからこそ想いを共有し合える、特別な拍手だったはずだ。


取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)

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