再び1ドルが105円を割れるのはいつか

再び1ドルが105円を割れるのはいつか

  • 東洋経済オンライン
  • 更新日:2016/05/25
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日本の主張が通らなかったG7。ドル円が再度1ドル105円を割れるのはいつか(写真:共同通信社)

5月23日の日本株は下落した。日経平均株価は前週末比81円安の1万6654円だった。また、売買代金も今年最低を記録するなど、かなり低調な動きとなった。

G7で改めて「円売り介入」にくぎ刺された日本

今週は26・27日に伊勢志摩サミットの開催が控えており、それまでは動きづらいことが背景にあるのだろう。為替相場もまるで動きが止まったかのようである。これまで日本株はドル円相場の動きに翻弄されてきたが、そのドル円も105円台半ばの安値を付けた後は急速に戻し、一時110円台を回復するに至った。ただし、ドル円は今後レンジ相場が続く可能性があり、これが日本株の膠着感につながることが想定される。

前週末に開催されたG7財務相・中央銀行総裁会議では、これまでのスタンスを踏襲するだけに終わった。「世界経済の不確実性が増している」とし、「地政学的な紛争・テロ・難民、英国のEU離脱の可能性などが世界経済の環境を複雑にしている」とした。また「世界の需要の強化と供給制約の克服に向けて、各国の状況を踏まえつつ、金融・財政・構造政策を組み合わせて実施していくことについて議論した」としている。

さらに「金融政策は引き続き経済活動と物価安定を支え、債務の持続可能性を維持しつつ、機動的に実施する財政政策や、人口動態の変化などの共通の課題に対処するための構造政策を進めることが重要」としている。

一方、関心が高かった為替については、「為替レートを目標としないこと」を謳い、さらに「為替の過度の変動や無秩序な動きは、経済・金融の安定に悪影響を与えうる」とした。これはこれまでのG7の合意を再確認したものであり、目新しさはない。また、通貨の競争的な切り下げを回避することの重要性を強調し、日本の円売り介入にくぎを刺した格好である。

今回のG7を利用して、麻生財務相とルー米財務長官が直接会談した。しかし、お互いの主張は今回もかみ合わなかったようだ。

一部には、ルー米財務長官が日本側に譲歩したなどという報道があったもようだが、最近の市場動向が秩序立ったものかどうかについて認識の差は埋まらなかったようで、両国の主張は平行線に終わった。そのため、今後も円高局面が続き、ドル円が105円を下回るような円高局面になれば、円売り介入の正当性についての議論が再燃する可能性は十分にある。

米国だけでなく、フランスも「日本にNO」

これまで麻生財務相は「最近の円高の動きは無秩序」、「円売り介入ができないとは考えてない」などと、かなり強い口調で最近の円高に対して必要であれば行動する旨を示していた。しかし、米国側は、これまでの円高の動きについて、「無秩序と言うにはハードルが高い」と一蹴している。

日本側からすれば、ゴールデンウィーク中の円高は看過できなかったということであろう。4月に日銀が追加緩和を見送った際には、わずか2日間でドル円が5円も急騰した。

確かに、この動きだけをみれば、無秩序のように見えなくもない。しかし、米国側は、数年前と比較して大幅に円安が進行したことから、いまさら多少円高に振れたところで問題ないだろうと考えているフシがある。

今後、再度円高に進まないとも限らないが、もし、その際に円売り介入をしようとすれば、米国を含め、他国の了解が必要になるだろう。今は、日本だけが自国の都合で勝手に介入などできない状況にあるのだ。

また、今回のG7では、米国だけでなく、フランスも同様の趣旨の発言をしている。フランスのサパン財務相が、「為替市場にファンダメンタルズとのかい離はみられない」との認識を示し、「為替介入の必要性は見当たらない」としたのである。

米仏の明確な「反対」によって、円売り介入の可能性を保持しておきたい日本側も動けなくなったといえるだろう。為替水準については、各国の都合が優先されるため、議論は平行線をたどることになる。

確かに、G7各国が指摘するように、「為替の過度の変動は経済に悪影響を与える」ことは確かであろう。しかし、その「過度の変動」を明確に定義する基準はない。あくまで各国の主観による判断でしかないわけである。

こうして見て行くと、ドル円は上にも下にも動きづらい展開が続く可能性を念頭に入れておくべきだろう。日本政府がどの程度のドル円の水準を望んでいるのかは不明だが、115円程度とすれば、それはやはり期待が大きすぎると言わざるを得ない。

チャート上には114円半ばにきわめて重要なドルの上値の抵抗ラインが控えている。115円超えはドル円の基調転換につながる可能性があることからも、この水準を超えるのは至難の技だ。

また、今年のドル円の高値と安値の値幅はすでに16円に達しているが、これは2001年から2015年までの平均とほぼ同じであり、今年のドル円はほぼ高値と安値をつけた可能性が高い。

再度の1ドル105円割れは2017年に持ち越し?

結局のところ、当面のドル円は110円を挟んで上下2円程度を中心レンジとした動きに移行することになるのではないか。6月14~15日のFOMC(連邦公開市場委員会)で利上げの可能性が高まる過程で、当面はドル高基調で推移するだろうが、その後はドルがピークアウトし、ドル円は再度105円を試すことになると見る。だが、再び明確に105円を割り込むのは、もしかしたら来年にずれ込むのかもしれない。

その結果、日本株も当面は膠着した状況が続くことも念頭に入れておくべきなのだろう。筆者は「110円=1万6500円」を中心レンジとし、「ドル円115円=日経平均株価1万7500円」が当面の上値になり、下値は「103円=1万4750円」が基準になると考えている。

このドル円と株価の関係を念頭にいれつつ、今後の政策や市場の反応を見ていくことにしたい。

(江守 哲:エモリキャピタルマネジメント代表取締役)

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