大波乱のW杯予選に見る「代表チーム不確実時代」 困難極める強化と進む“個”への依存

大波乱のW杯予選に見る「代表チーム不確実時代」 困難極める強化と進む“個”への依存

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  • 更新日:2017/10/12
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集まってすぐに試合の代表チーム “型”にはめるだけで進歩は見えない

ロシア・ワールカップ(W杯)出場が風前の灯火となっていたアルゼンチンがFWリオネル・メッシ(バルセロナ)のハットトリックで生き残り、コパ・アメリカ連覇のチリがブラジルに敗れて南米予選6位に転落、プレーオフにすら進めずに予選敗退となった。そうかと思えば、7大会連続出場中だったアメリカも北中米カリブ海予選を勝ち抜けず。アフリカ予選は全日程を終えていないものの、すでに前回大会出場国のアルジェリア、カメルーン、ガーナの敗退が決定。プレーオフを残している欧州予選でも、オランダがまさかの予選落ちとなった。

アジア予選も力が均衡していたとはいえ、W杯出場国は日本、韓国、イラン、サウジアラビアと終わってみればいつもの顔ぶれ。他の大陸と比べると、あれでも“無風区”だったわけだ。

代表チームの強化がますます困難になっている。まとまって練習をする時間などほとんどなく、集まってすぐに試合という寄せ集め状態。もちろん、代表というのは以前からそういうものではあったが、チームのベースがないところは本当に難しくなっていると感じる。

選手を集めて「さあ、ここから作っていきましょう」では、全然間に合わないのだ。集めた時には、すでにチームとしてでき上がっていなければならない。代表はこういうプレーをするというベースがあって、初招集の選手でも何をすればいいか、だいたい分かっているくらいでないと安定感は出てこない。

逆に言うと、その安定感だけに頼るから進歩がないとも言える。クラブチームの日進月歩ぶりと比べると、サッカーの質という部分ではかなり遅れている印象である。

メッシを消化できずに苦労したアルゼンチン

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例えば、アルゼンチンはベースがはっきりしている国だが、今回は「メッシ」を消化できずに苦労した。

サンパオリ監督はFWパウロ・ディバラ(ユベントス)とメッシの共存を諦めているが、結果的に正解だった。それをもし探っていたら、時間切れで予選落ちしていたに違いない。メッシは存在が大きすぎる例外的な選手なので、バルセロナでも定期的にメッシのチームへの組み入れ方を変えている。そうしないと、たちまちメッシ依存が進行して周囲の選手が全部枯れてしまうからだ。

アルゼンチンの場合はメッシをどう生かすかを、戦術的に工夫するための時間がない。できるだけメッシがやりやすい環境を作る以外になく、似たタイプのアタッカーとの併用は互いの領域を浸食するだけで意味がないので、ディバラは使えなかった。

アルゼンチンと言えばFWの宝庫なのだが、メッシをトップ下に起用すると残るポジションは一つ。たとえFWゴンサロ・イグアイン(ユベントス)、FWセルヒオ・アグエロ(マンチェスター・シティ)、FWマウロ・イカルディ(インテル)、FWダリオ・ベネデット(ボカ・ジュニアーズ)がいても、使えるのは一人だけである。ディバラもMFハビエル・パストーレ(パリ・サンジェルマン)も使えず、豪華アタッカー陣がベンチに並ぶ。せっかくの資源も、メッシにリソースを集中させるので使い切れないのだ。

それでもメッシ集約型で割り切ったから、最終的には予選突破できた。チームとして進歩はしていないが、それはワールドカップ直前にやればいい。予選突破のためには安定感、分かりやすさが第一なのだ。

“型”がはっきりと存在するからこその停滞も

しかし、進歩や変化がなければマンネリ化して、相手も対策を立てやすくなるので、強豪国でも苦戦必至となっている。

チリやオランダは、チームの型がはっきりしているがゆえの停滞があったと言える。チームとしてのスタイル、そしてそれがもたらしてくれる安定感がないと予選を勝ち抜けないが、それが進歩を阻害し、結果的に全体の戦力が均衡化してしまっている。

今後の代表チームはよほど計画的に強化していくか、そうでなければスーパースターの有無で、すべてが決まってしまう状況が続くのかもしれない。

【了】

西部謙司●文 text by Kenji Nishibe

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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