「ICOの基軸通貨」イーサリアム母さんは子だくさん!――マンガで覚える「仮想通貨今昔物語」

「ICOの基軸通貨」イーサリアム母さんは子だくさん!――マンガで覚える「仮想通貨今昔物語」

  • 日刊SPA!
  • 更新日:2018/01/13
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ビットコインに次ぐ時価総額を誇るイーサリアムを抜きに、仮想通貨は語れない! 若き天才の手によって生み出されたイーサリアムはなぜコイナーたちを魅了してやまないのか? その魅力を仮想通貨投資家にしてイラストレーターのえりしー氏がマンガに! 「仮想通貨今昔物語」第2話は「イーサリアム母さんは子だくさん」なり

※マンガの解説は後半から

<解説>

ビットコインの生みの親「サトシ・ナカモト」に比肩する仮想通貨界の寵児といえば誰か? “コイナー”たちが真っ先に名前を挙げるのが、「イーサリアム(ETH)」の生みの親である天才ヴィタリック・ブテリン氏だ。

ロシア・モスクワ生まれのヴィタリック氏はコンピューターアナリストの父とビジネスアナリストの母の血を受け継ぎ、幼少期から数学・経済学等で非凡な才能を開花。プログラミング技術にも長けていた彼の人生は、ビットコインとの出会いをきっかけに一変していった。

ネットでの情報収集の傍ら、ビットコインに関する記事のライター仕事を“ビットコイン支払い”で請け負うように。そうして蓄積した知識の結集として2013年に考案したのがイーサリアム。なんと、ヴィタリック氏19歳(!)のときである。

そんなイーサリアムの特徴を一言で表すなら、陳腐な表現で恐縮だが「スマートな仮想通貨」だろう。ビットコインと大きく異なるのは「スマートコントラクト」(直訳すると「賢い契約」)という技術を実装している点なのだ。

スマートコントラクトとは、「契約」を自動的に実行させる仕組みだ。そのイメージは「自動販売機」。お金を入れて、ボタンを押せば、選択した飲み物が自動的に提供されるように、「AさんがBさんに10ETH払ったら○○する」という契約をイーサリアムに載せることが可能なのだ。

例えば、有料のパズルゲームをしたい、と考える人がいたとする。多くの人はiTunesやGoogle Playなどにアクセスしてゲームを購入して、ダウンロードしたうえでゲームを楽しむことだろう。ところが、スマートコントラクトを利用すれば、「AさんがBさんに10ETH払えば、パズルゲームができる」というプログラムを組み込み、送金と同時にゲームのダウンロードを実行することが可能。「それじゃ、iTunesで買うのと変わらないじゃないか!?」と思う人も多かろうが、スマートコントラクトならばiTunesなどのプラットフォームにまったく手数料を支払わずに、ゲームを購入できてしまう。実にエコな仕組みなのだ。

なお、厳密に言えばイーサリアムは仮想通貨ではなく、「分散型アプリケーション」やスマートコントラクトを構築するための“プラットフォーム”だ。一般に取引所等で売買されている仮想通貨はイーサリアム上で発行されている「Ether」(イーサ)である。

ビットコインではあらゆる取引情報がネットワーク上の「ブロックチェーン」に蓄積されていく。世界中の端末でその情報を共有することから、そのブロックチェーン技術が「分散型台帳技術」とも呼ばれることをご存じの人も多いだろう。「AさんからBさんに△BTC支払われた」という取引情報が、ネット上の“仮想台帳”に記載されていくイメージだ。

このブロックチェーン技術には「データの改竄が困難」で「中央管理者なしに機能する」という特徴がある。詳細な解説は割愛するが、「AさんがBさんに1BTC支払った」という情報を「AさんがCさんに1BTC支払った」と改竄しようとしたところで、取引情報を格納した“ブロック”(イメージは台帳の1ページ)の連続性が失われてしまう。ブロックチェーン技術では「長いブロックチェーンこそが正義!」というルール付けがされているので、連続性のないブロックはおのずと破棄されてしまうのだ。「中央管理者なしに機能する」のは世界中の“マイナー(採掘者)”と呼ばれる人たちが、コンピューターリソースを活用してみんなで取引承認作業を行っているからにほかならない。

個性派揃いの”イーサリアムチルドレン”たち
話を元に戻すと、イーサリアムはこのブロックチェーン技術の特徴を見事に生かし、取引記録に加えて「契約の保存&自動執行」を実現した仮想通貨(くどいが厳密にはプラットフォーム)なのだ。

では、イーサリアムを活用することでどんなことができるのか? その一つの活用法が、「ICO(Initial Coin Offering)」という仮想通貨による資金調達だ。企業が資金調達の際に行うIPO(Initial Public Offering)と異なり、条件は緩く、コストは格安。IPO時には株を発行するが、ICO時には「トークン」と呼ばれる独自のコインを発行する点に特徴がある(ICOについての詳細は※『ビットコイン以上のリターンを狙え!「ICOアナリスト」が教えるサルでもわかるICO講座』を参照)。

現在ではイーサリアム以外にも独自トークンを発行できるプラットフォーム型の仮想通貨としてNEM(ネム/XEM)、Waves(ウェーブス/WAVES)などが存在するが、イーサリアムはいち早く「ERC20」というトークンの統一規格を用意。規格がバラバラで必要なウォレット(=財布/トークンを管理するアプリケーション)から異なっていたところ、1つのウォレットでERC20規格のさまざまなトークンを管理できるようにしたのだ。

この結果、誰でも簡単に独自のトークンを発行できる環境が完成し、あらゆる企業がこぞってイーサリアムベース(ERC20)のトークンの発行を開始。2017年には“ICOバブル”と呼ばれるほど、大ブームが巻き起こったのだ!

ちなみに、ICOではイーサリアムを送金して、独自トークンを受け取るプロジェクトが大多数を占めている。それはスマートコントラクトを生かして、「期日までに●ETH送ってくれた人には、▼トークンを自動的に送る」といった“契約”を組み込むことが容易なためだ。イーサリアム母さんは実に子だくさんなのだ。

そのため、イーサリアムは「ICOの基軸通貨」という性格をも擁する。イーサリアムのプラットフォームを活用して、トークンが生み出され、イーサリアムを介して取引されている塩梅だ。

◆イーサリアムチルドレンの優等生「OmiseGO」

そんなイーサリアムから生まれたトークンにはどんなものがあるか? しばしばICOバブルの代表例として取り上げられるのが、OmiseGO(オミセゴー/OMG)だ。

その名前から推察できるように、プロジェクトの発起人は日本人。「東南アジア全域で決済可能な仮想通貨」として2017年6月にICOを実施した結果、タイの大手オンライン決済サービスとの事業統合やタイのマクドナルドとのタイアップなどを立て続けに発表した効果もあって、その価格はたった3か月で50倍に急騰! ICO価格0.27ドル(約30円)に対して、現在も2500円台(2017年1月9日時点)にあるのだ。

◆「Augur」で保険業界に革命が起きる!?

このOMGは日本国内の取引所では扱われていないが、日本でも取引可能なイーサリアムベースのトークンとしてはAugur(オーガー/発行される“通貨”はREP)がある。その名前の意味するところは「占い師」。イーサリアムのスマートコントラクト技術を利用した、分散型の“未来予想”市場をつくりあげるプラットフォームだ。

難解な用語だらけでピンと来ない人も多かろうが、「胴元のいないギャンブル」を想像してみるといい。オーガーを活用すれば、誰もが一定のオーガーを支払って「明日の巨人・阪神戦はどっちが勝つか」といったイベントをネットワーク上にアップすることが可能だ。それに対して一般のユーザーたちは個々に予想。その予測データを自動集計して、オッズの算出、掛け金の預かりから事実の認定、配当までをオーガーを活用すれば自動化できてしまうのだ。

そのため、「オーガーは保険業界に革命をもたらす!」などと持てはやされた時期もあった。というのも、掛け捨てタイプの保険の場合、病気にならなければ保険金は支払われない。病気になったと思っても医者の判断と保険会社の判断(事実の認定)に応じて、支払われる保険金が変わることもしばしば。

一方、一定のオーガーを支払って自ら「私は○年以内に病気にかかるかも」というイベントをアップした場合には、医療の専門家らが個々にその可能性を算出し、自動集計したうえで病気になった場合の保険金の払い戻し率を弾き出す。医者にかかり、さらに多くの医療関係者たちが「病気にかかった」と事実認定した場合には、自動的に保険金を支払う仕組みを作り上げることが可能とされたのだ。

ただし、オーガーに関連するプロジェクトはこれといって進んでいない……。2016年には予測市場をつくるオーガーのβ版が公開されたが、その活用法は限定的。イーサリアム母さんも我が子の行く末を不安視していたのだが、2017年5月以降の仮想通貨ブームに乗って、何の材料もないオーガーも1年で20倍に上昇。知らぬ間に大きく成長してしまった次第だ。

◆日本発のICO用トークン!「COMSA」

一方、日本発のイーサリアムベースのトークンとして2017年に注目を集めたのがCOMSA(コムサ/CMS)だ。発行主体は熱狂的な“ザイファー”を獲得している仮想通貨取引所「ZaifExchange」で知られるテックビューロ。「ICOが簡単に行えるプラットフォーム」としてリリースされたコムサは、著名起業家の家入一真氏率いるクラウドファンディングサイト運営企業「CAMPFIRE」などがいち早くコムサを利用してICOを行うとリリース発表したこともあって人気が爆発。100億円超を調達する大型ICO案件となったのだ。

ただし、ICOに際してコムサはひと騒動起こしている。CAMPFIRE側が「COMSA上でのICOの実施を視野に入れ、ICOの枠組み等につきましてTB社(テックビューロのこと)と協議を行ったことはございますが、具体的な条件や内容に関して交渉を行ったことは一切無く、最終合意に至った事実も一切ございません」と発表したのだ……。

さらに、そのリリースでは「一切の前置き無く『仮想通貨取引所システムのOEM提供(注:CAMPFIREは『FIREX』という名の取引所をTB社のOEMを受けて運営していた)を同月(注:9月)30日に終了させる』との通達をTB社から受け、同月14日にも『COMSA上でのICOの実施を前提とした業務提携を解消する』との一方的な通知を受け……」と内情も暴露した。

当然のことながら、コムサを巡る喧嘩はキャンプファイヤーよろしく炎上。今なお、決裂したまんまのようだ……。

なお、コムサプロジェクトではイーサリアムベースのトークンに加えて、NEM(ネム/XEM)をベースにしたトークンも発行されており、ザイファー(ZaifExchange支持者)たちの間では「イムサ」「ネムサ」の愛称で使い分けられている。ともにICO価格を上回る水準で今も取引されているが、ともに若干息切れ気味。日本のICOを加速させるポテンシャルを秘めた両者なだけに、温かい目で見守りたい。

◆暴落後に低空飛行続ける「Numerai」

とはいえ、一向に“成長”しないイーサリアムベースのトークンも存在する。その悪例の1つが、Numerai(ヌメライ)だ。

このヌメライはイーサリアム同様、仮想通貨ではなくプラットフォームとしての機能を有する。目的は「ブロックチェーン上にアップされたさまざまなトレードロジックを活用して最強のヘッジファンドを作り上げる」こと。ヌメライ上では、世界中のデータ科学者たちからトレードの売買ロジックなどが提供され、トレード成績のいいロジックを考案した科学者には仮想通貨Numeraie(ニュメレール/NMR)が報酬として支払われる仕組みだ。「世界中の科学者たちの英知を結集して、超高性能な人工知能ヘッジファンドをつくりあげるぞ!」という意欲的なプロジェクトなのだ。

その斬新な発想から、当初から多くのベンチャーキャピタルやエンジェル投資家がヌメライプロジェクトに出資。スタートアップ時点で750万ドルも調達したため、ICOはせず、2017年6月にいきなり仮想通貨取引所に上場したことも話題になった。

しかしICOがなかったため、上場直後こそヌメライにありつけなかった投資家の買い注文が殺到して大暴騰したが、すぐさま大暴落! 1週間足らずで6倍に急騰して6分の1に急落するという乱高下を演じ、今なお”沼“にどっぷり浸かるがごとく、停滞しているのだ。

いずれにしろ、イーサリアムの子供たちは個性派揃い。その個性にスポットライトが当たればオミセゴー並みの大ブレイクを果たす子たちはまだまだ現れる……かも?

イラスト●えりしー@仮想通貨漫画ブログ(@erishiiiii
仮想通貨を美少女に擬人化させた初心者向けの解説ブログ(仮想通貨女子部!https://cryptogirls.net/)を運営。FXで数百万円の損失を出した苦い経験を生かして、’17年から仮想通貨投資を開始。’17年のリップル急騰の波に乗り、瞬く間に過去の負け分を取り返すことに成功! 大のリップラーで、今も大半の仮想通貨資産をリップルで所有しているが、身内にはそのことを秘密にしているとか……

解説/SPA!仮想通貨取材班

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