血液検査だけで、がん8種類を発見! 新検査法「CancerSEEK」が位置まで特定

血液検査だけで、がん8種類を発見! 新検査法「CancerSEEK」が位置まで特定

  • HEALTH PRESS
  • 更新日:2018/02/15
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血液検査だけで8種類の「がん」を発見できる新たな検査法とは?(depositphotos.com)

医療技術がどれほど進化しても、「がん」はまだ暗黒大陸かもしれない。だが、この暗黒大陸にも希望の光明が差してきている。

米ジョンズ・ホプキンス大学キンメルがんセンターのJoshua Cohen氏らの研究グループは、1回の血液検査だけで8種類のがんの有無を判定し、がんの位置も特定できる新たな検査法「CancerSEEK」を開発したと『Science』1月18日オンライン版に発表した。

発表によれば、「乳房」「大腸」「肺」「卵巣」「膵臓」「胃」「肝臓」「食道」の8種類のがん(ステージ1~3)がある患者1005人を対象に、CancerSEEKを行なったところ、33~98%の確率でがんを発見できた。さらに、有効なスクリーニング検査法がない5種類(卵巣・肝臓・胃・膵臓・食道)のがんも69~98%の高精度で発見できた。

ただし、検査の結果、CancerSEEKの感度(陽性検出率)は中央値で70%だったが、「乳がんは33%」と低く、「卵巣がんは98%」と高いなど、「がんの種類」による感度の差が見られた。

その一方で、がんのない健康な男女812人から採取した血液を検査した結果、偽陽性率(陰性なのに陽性になる割合)は1%未満と低かった。

さらに驚くべきことに、CancerSEEKに機械学習(マシン・ラーニング)させて検査したとことろ、およそ83%のがんの位置を正確に特定できた。

CancerSEEKは「がん」の早期発見にも有効

CancerSEEKは、がんに関連する「16種類の遺伝子変異」と「8種類のタンパク質」を1回の血液検査で調べるリキッドバイオプシーと呼ばれ検査法だ。

米国がん協会(ACS)医務部長代理のLen Lichtenfeld氏によると、リキッドバイオプシーは「干し草の山の中から縫い針よりも小さな物を見つけ出すような方法」と指摘している。というのも、リキッドバイオプシーは「進行がんの患者」の治療計画ための検査なので、がんの早期発見に有効な「マーカーの測定は極めて難しい」とされるからだ。

しかし、同研究グループは、数百種類の遺伝子変異と40種類のタンパク質から特にがん発見に有効な16種類の遺伝子変異と8種類のタンパク質に絞り込み、CancerSEEKを開発。CancerSEEKは「がんスクリーニング」に役立つ遺伝子変異やタンパク質だけを測定する検査法であるため、治療の標的を定めながら、遺伝子変異を調べる検査とは根本的に異なるという。

Cohen氏は「偽陽性の結果を減らし、スクリーニング検査法として導入しやすい費用に抑えるためには、遺伝子パネルを最小限にする必要があった」と説明している。

その一方で、課題もある――。

今回の研究は、既に「がん」と診断された患者を対象にCancerSEEKの精度を検証したものだ。だが、がんの早期発見をめざすスクリーニング検査法の有効性を検証するためには、がん患者ではない人を対象とした前向き研究を実施する必要がある。

しかも、スクリーニング検査法として実用化するためには費用がかさむ。研究グループはCancerSEEKを、既に普及している大腸内視鏡検査にかかる費用以下(1回当たり500ドル未満)を想定している。

日本発の「リキッドバイオプシー」のプロジェクトも始動

日本でもリキッドバイオプシーの臨床研究はスタートしている。

2017年8月、国立がん研究センター中央病院は、リキッドバイオプシーの実用化をめざす臨床研究を立ち上げた。この研究では、がんと診断された患者約3000人と、健常な男女約200人ずつの合計3440人分を対象にデータを集めている。2020年をめどに、患者から新たに採取した血液をリキッドバイオプシーによってスクリーニングし、まずは自由診療の枠組みで人間ドックのメニューなどを実用化する計画だ。

この研究の重要ポイントは、がん細胞が分泌する「マイクロRNA」に着目し、乳がんや大腸がんなどに特徴的なマイクロRNAを組み合わせながら、がんの早期発見につなげる目標を掲げている点だ。対象となるのは「胃がん」「食道がん」「肺がん」「肝臓がん」「胆道がん」「膵臓がん」「大腸がん」「卵巣がん」「前立腺がん」「膀胱がん」「乳がん」「肉腫」「神経膠腫」の13種類だ。

マイクロRNAとは、20個前後の少数の塩基から成るRNA(リボ核酸)で、ヒトの体内に2000種類以上もある。がん細胞が分泌し、細胞間の情報伝達を司るエクソソームや、エクソソームが内包するマイクロRNAが、がんの増悪・転移に深く関係している事実が判明している。

さらに、マイクロRNAによるがんのスクリーニングにAI(人工知能)を活用すれば、がんをさらに高精度に検出できる可能性が大きいことから、研究が進んでいる。

リキッドバイオプシーについては、本サイトの以下の記事にも詳しいので参考にしてほしい。

●シリーズ「中村祐輔のシカゴ便り」第19回リキッドバイオプシーは「がん医療変革」につながる!臨床応用可能であることを示した点が大きい

今後もリキッドバイオプシーの進化に期待したい。
(文=編集部)

*参考:日経デジタルヘルス(2017年8月3日)

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