インターネット不要のウェアラブル翻訳デバイス「ili」を韓国で使ってみた

インターネット不要のウェアラブル翻訳デバイス「ili」を韓国で使ってみた

  • マイナビニュース
  • 更新日:2017/12/07
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●ネットにつながない理由は旅行での利用に特化しているから

○勉強しなくて済む、万能翻訳機は完成するのか?

Googleなどいくつかのビックベンダーかはテキストの自動翻訳サービスや音声を文字列に起こすスクリプトサービス、テキストを音声に起こすサービスをクラウドベースで提供している。こうしたサービスを組み合わせると音声による操作や、自動翻訳機のようなことを実現でき、すでにこうしたサービスを利用した製品も登場している。先日Amazon Web Servicesも同様のサービスを発表したばかりだ。

「万能翻訳機」はSFではよく登場する便利な道具だが、多くの場合、いつのまにか同時通訳が自然と行われるようになったり、異世界の言葉すら読み書きできるようになったりする。原理は物語によってさまざまで、それぞれに都合がいいような理屈となっている。

こうした万能翻訳機を妄想した時に思い浮かべるモノは、世代によって違うだろう。例えば、『スタートレック』の万能翻訳機かもしれないし、『スターウォーズ』のC-3POかもしれない。はたまた、『ドラえもん』のほんやくコンニャクかもしれない。

多くの日本人が学校で最初に勉強する外国語は英語であることが多いと思うが、こうした便利な道具を思い浮かべながら、「ほんやくコンニャクがあればこんな勉強しなくていいのに……」と思ったことがある人は多いのではないだろうか。

そのうち、SiriやAlexaといったデジタルアシスタントが自在に翻訳してくれる世界になるような気もするが、SFに登場するような高性能の万能翻訳機の登場はまだ待たなければならないというのが現実だ。ただ、今のところその入口までのところには来ている。

○ログバーの「ili(イリー)」とは何者か?

さて、今回は先行販売が発表されたログバーの「ili(イリー)」を紹介しよう。エンタープライズの分野でこうしたデバイスが取りあげられることは珍しいと思うが、今後の翻訳市場を考察する上でわかりやすいデバイスだ。既存のデバイスと比べて異なる点も取りあげておきたい。

42グラムと首から下げて邪魔にならない重さで、日本語から英語、中国語、韓国語への翻訳が可能になっている。12月6日に2018台限定で先行販売を実施したところ、1時間で完売したそうだ。特別価格の1万7880円で先行販売第2弾が行われており、一般販売は2018年3月から価格19800円で行われる予定だ(いずれも税別)。

iliの特徴を簡単にまとめると、次のようになる。

スタンドアロンで利用可能(インターネット接続を必要としない)

翻訳の方向は片方向

旅行での利用にチューニング可能

iliには、電源ボタン、翻訳ボタン、確認ボタンと3つのボタンしかない。翻訳ボタンを押しながら日本語をしゃべる。ボタンを離すと、中国語であったり韓国語であったり、対象となる言語に翻訳した結果を話してくれる。

iliの最大の特徴はスタンドアロンで利用可能というものだ。現在販売されている多くのデバイスはバックボーンにクラウドサービスを必要としている。つまり、インターネットに接続した状態でなければ利用できない。一方、iliはスタンドアロンで利用可能で、インターネット接続を必要としない。

もう1つの特徴は、双方向翻訳をサポートしていない点だ。切り替えれば似たようなことはできるが、あえてこの機能は削ってあるという。iliは旅行に持っていって出先で気軽に使えるデバイスとして設計されているため、開発を突き詰めた結果、片方向の翻訳機能のほうが便利ということで落ち着いたそうだ。

○使って楽しいおしゃべりデバイス

発表前の第2世代(2018年版モデル)を借用できたので、使ってみた感じをお伝えしたい。第2世代のiliは日本語と韓国語の翻訳をサポートしている。自分は韓国語がまるでわからないので、このデバイスの性能(というか頼りがいさ)を調べるには韓国語がよいだろう。

ソウルをぷらぷらしながら、店やホテルでこのデバイスを使ってみた。いろいろ使ってみたが、思っていた以上に普通に使えた(韓国語がわからないので、本当に伝わっているのかはわからないのだけれども)。以下、カフェで使ってみた例を紹介したい。

英語が使えるなら「何かオススメですか?」「体があたたまるものをください」といった感じでやりとりすればよいのだが、韓国語がまるでわからないのでどうしようもない。そこで、iliの出番である。デバイスの丸ボタンを押して「何がオススメですか」としゃべってみた。ボタンから手を離すと、iliが韓国語で何かをしゃべってくれた。たぶん韓国語で「何がオススメですか」と聞いてくれたんだと思う。これがオススメだといったことを言われたような気がするので、それを注文してみた。

何度か使ってみてわかったのだが、「ili」で「これは何ですか?」とか「ここまでどうやって行けばよいですか」といった任意回答が可能な質問やコミュニケーションをしてはいけない。デバイスが韓国語でしゃべるからか、質問に対して韓国語で大量の返事が返ってくる。

このデバイスはYESかNOの2択、または一方通行のお願いをする場合に力を発揮する。「寒いので温度を上げてください」「これはウールですか」「もうちょっと大きいサイズをください」のような感じだと、スムーズにコミュニケーションがとれる。

相手の反応はこんな感じだ。

iliに日本語で話しかける自分を不審な目で見る

iliが向けられて警戒する

iliが韓国語を話、驚く

ニヤッとする

英語が使える相手とは英語でコミュニケーションがとれたが、相手も自分も英語は母国語ではないと、どうしてもつっけんどんなやり取りになってしまう。しかし、iliを使って相手の母国語である韓国語で伝えると、ちょっと対応が優しくなったように思う。

確かに逆の立場だったら、海外の人が日本語を話すデバイスを使ってコミュニケーションをとってきたら、こちらもニヤッとして多少対応が優しくなるだろうな、と思う。2020年のオリンピックでは日本でiliを使う旅行者を見かけるようになるかもしれない。

●ネイティブの韓国人も納得の自然な発音

○第2世代の新しい点は?

iliの第1世代と第2世代を比べて、見た目で違いを感じるのは難しいが、ユーザーからのフィードバックを経て細かな改善が行われている。改善点をまとめると次のようになる。

操作ボタンを両側面1個ずつから、片側面2個に変更

対応言語を1つから3つに増加

バッテリー駆動時間を8時間から3日間へ延長

起動時間を2.5秒から1秒へ短縮

細かな変更点になるが、ボタンが両サイドから片サイドにまとめられたことで使いやすくなっている。ボタンが全部で3個しかないものの、それでも右ボタンと左ボタンがどの機能だったかわからなくなる。これが不思議なことに片側にあると、どれが電源ボタンでどれが確認ボタンか忘れない。

ちなみに、確認ボタンを押すと、自分の話した日本語がiliによってどのように認識されたのかを日本語で確認できる。相手がこちらの想定していない反応を見せた時は、確認ボタンを押して自分の日本語をiliが聞き取ってくれているかを確認すればよい。

○発音のネイティブ感と技術的なポイント

iliの話す韓国語をネイティブの韓国人にチェックしてもらったのだが、かなり自然な音声になっているそうだ。類似のデバイスだと聞き取りにくかったり、何を言っているかネイティブですらよくわからなかったりすることがあるようだが、iliだとよく聞き取れると話していた。確かに、使っていて相手が聞き取れないといったことはなかったように思う。

インターネットに接続しない、つまりクラウドサービスを使わないでどうやって高度な翻訳を実現しているのか、気になるところだ。

日本語は子音と母音の組み合わせが少ないので、発音自体をマスターすることは他の言語と比べてそれほど難しくない。話し言葉は覚えやすいが、同音異義語というクリアしなければ課題がある。どの言葉を指しているのかを文脈から汲み取る必要がある。

iliはこの点を「旅行」という目的に特化することでクリアしている。旅行で利用するという前提で認識と翻訳をチューニングしているため、普通の翻訳機であれば膨大になるマッチングを抑えることに成功しているというわけだ。スタンドアロンで利用できる秘密はここにある。

では、iliを国際会議で使ったり、C-3POのかわりに使ったりすることができるのかと言えば、現状では難しい。不可能ではないかもしれないが、現実的とは言えない。残念ながらもうしばらくは、仕事で使う言語は勉強し続ける必要がある。しかし、インターネットに接続しない、つまりクラウドサービスを使わないで、ここまで翻訳可能なデバイスが手頃な価格で販売されている点は興味深い。

現在公開されている翻訳サービスはインターネット接続が必須だが、インターネットが利用できない状況は多々存在している。特に旅行ではそうしたケースが多く、iliはそこにフォーカスして開発されたデバイスなのだ。旅行で実用的に利用できる翻訳デバイスとして特異なポジションにある。

"万能翻訳機"とは言えないが、インターネットを必要とせずにここまでの機能を実現できているのは秀逸だろう。iliはこのたび日本でも個別に購入できるようになったうえ、Wi-Fiルータのレンタルと同時に申し込める場合もあるので、近々、韓国や中国に旅行に行かれる方は試してみてはいかがかだろうか。

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