#8 アートの本場で書の可能性を探求する書道家【ニューヨークで働く一日】

#8 アートの本場で書の可能性を探求する書道家【ニューヨークで働く一日】

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  • 更新日:2016/11/30

ニューヨークのラグジュアリーキャリアの一日を追う連載8回目は、書道家の百合素子さん。

精神を統一し呼吸を整え、鮮やかな手さばきで書を仕上げる。そんな書道家によるパフォーマンスを目にすることも多くなりました。

古くは弥生時代まで遡るという書の歴史ですが、昨今は完成した作品を楽しむだけでなく、その真剣な瞬間が連続する工程までもがアートとして注目を集めています。

高校時代に2年連続で『全国高校・大学生書道展』で大賞を受賞、その後ニューヨークの日本人学校に書写科教諭としての採用されたのを機に渡米した素子さん。アートに目の肥えたニューヨーカーに書を広めたいという彼女の一日とは?

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百合素子(ゆり・もとこ)
◇ 職業:書道家 / ニューヨーク育英学園書写専科教諭
◇ 住まい:マンハッタン、ロウアーイーストサイド

6:30am

起床。シャワーを浴びて準備。ワークウェアは墨で汚れるので基本、全身ブラックです。ニューヨークでは『ZARA』で買い物することが多そう。

7:30am

家を出て、フォートリーにあるニュージャージー校へ。朝食をとらない代わり、地下鉄に乗る前に2ndアベニューのストリートコーヒーショップ『Mud Coffee(マッドコーヒー)』でコーヒーを買います。ミルク入り、シュガー多めが好み。

8:35am

バスに乗り換えてジョージ・ワシントンブリッジを渡り、マンハッタンからフォートリーへ。20分おきにしか来ないバスなのでちょっと不便だそう。

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8:50am

フォートリー校へ到着。専科のため、ギリギリの到着でも大丈夫だとか。40分のクラスを一日に4クラス担当。ひとクラスは約20名で、生徒の9割は日本人です。素子さんは小学校の全学年、6歳から12歳を教えています。

6年生は理解力がありますが、1年生は書いただけでは伝わらないので教え方に工夫が必要。教育機関なので言葉使いには特に気をつけているそう。空き時間は職員室で資料作りや採点をしています。

12:20am

職員室でランチ。夜つくったおかずを朝に詰めたお弁当を食べます。おかずは好物の煮物やチキンソテーなど簡単な和食が多いとか。時間がないときは茹でたパスタとできあいのソースを持参し、学校の電子レンジで温めることも。

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1:00pm

午後のクラスがスタート。1、2年生は硬筆だけ、3年生以降は毛筆も学びます。日本と同じく、文部科学省の書写の教科書をもとに指導しています。

1月には校内で書初め大会を行い優秀作品は、大手日本食スーパー『ミツワ』に貼りだされるそう。書道クラブの書写展が現在開催中で、今後マンハッタンの日本書店『紀伊国屋』に展示される予定。

2:05pm

マンハッタン校に向けて出発。

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3:10pm

マンハッタン校フレンズアカデミーに到着。幼稚園、デイケア、アフタースクールのクラスの機能を備えた機関で、素子さんはお稽古クラスを担当。4時から7時までの間なら、何時からでも参加可能で、年少さんから大人までの幅広い生徒に指導しています。

課題は生徒によって異なり、大人の生徒には小筆で手紙文の練習なども。季語も同時に学びます。大人は書き順の思い違いをしていることが多いとか。

文字は書き順でバランスが違ってくるので、正しい書き順は重要だそう。

7:30pm

後片付けを済ませて終業。残業は基本的にありません。

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8:30pm

友人と、最近開拓中のロウアーイーストサイドへ。コスパがよくオシャレなお店を探しています。牡蠣が大好物なので『UPSTATE(アップステート)』が最近のお気に入り。 ハッピーアワーは生牡蠣6個にビールがついて、12ドル。

お酒は特にビールが好きで、オススメの銘柄は濃い味の「The CRISP(クリスプ)」。IPA(インディア・ペールエール)が好きだそう。料理も得意で、飲まないときは和食をつくります。かぼちゃの煮物が好きで、揚げ物もするとか。

12:30am

帰宅。仕事を家に持ち込むことはなく、メイクを落として一日終了。

1:30am

就寝。日本のお笑いが大好きで、就寝前にバラエティ動画を見るのが至福のとき。

アートが盛んなニューヨークで、書道の芸術性がもっと認められたら

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書道を本格的に志すきっかけとなったのは、師匠である井茂圭洞氏との出会いでした。

井茂氏の「一東書道会」はかな文字を主題とする会派。通常、かな文字は女性らしいとされますが、師匠の書は力強く男性的。素子さんはいままで見たこともないようなダイナミックな表現方法に感銘を受けたと言います。

「師匠からは『いつも古典作品を眺めなさい。書かなくても良いから、電車に乗っている間も観察しなさい』と言われていました。書道は白と黒の関係性が大事なので、見ることで空間の捉え方を覚えました」

素子さん自身、書道学科を専攻した大学時代に教諭から「君みたいな男らしい字を書くひとは見たことない」と言われたことも。師匠との出会いが彼女の個性を開花させ、表現方法を広げました。

書道家としてもっと活動していきたいという彼女が、活躍の場として日本ではなくニューヨークを選んだ理由は、アートが盛んなニューヨークで書道がどこまで通用するのか試してみたかったから。

現状、ニューヨークで書道はアートとしてまだまだ認識されていないといいます。

「ビューティフル! とは言ってくれるのですが、その後、言葉が続かないみたいで。文字の意味もわからないし、どう表現したらよいか、難しいようです」

いつかニューヨークのギャラリーで個展を開くのが夢という素子さん。そのためにも、映画の題字(ドキュメンタリー映画『Birth of Sake』)や日本酒のラベル(米国向け「萬歳楽」)、タトゥーのデザインを手がけ活躍の場を広げています。

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自分で選んできた人生に後悔はないという素子さんですが、同士が少ないニューヨークで、行き詰まったときは辛いと言います。そんなときは、週4回は必ず行くというジムで身体を動かすそう。

「嫌なことがあったら、ジムに行ってズンバやヒップホップを踊って忘れます(笑)」

小柄で可愛らしい素子さん。その外見と裏腹に、未知のニューヨークへ単身飛び込んだ人生も彼女の書も、ダイナミックで男前な様子が印象的でした。

UPSTATE,The Birth of Sake

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