在職老齢年金を解説 - 受給者が働くと年金は減る?

在職老齢年金を解説 - 受給者が働くと年金は減る?

  • マイナビニュース
  • 更新日:2019/03/23
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「定年退職したら年金がもらえる」ということは、みなさんご存じでしょう。しかし最近ではシニア人材など「高齢になっても働く」ことが珍しくありません。そのとき、「収入に応じて年金受給額が減らされることがある」ことをご存じでしょうか。これを「在職老齢年金制度」といいます。

今回はこの在職老齢年金について、詳しく解説します。

○在職老齢年金とは

在職老齢年金とは、老齢厚生年金の受給権者が60歳以降も働き、給料などの報酬を受けている場合に、その人の基本月額と総報酬月額相当に応じて、老齢厚生年金の額の一部もしくは全額が支給停止される仕組みをいいます。

在職老齢年金には賞与の額も含めて計算されることとなるため、注意する必要があります。60歳以上と65歳以上とではその計算方法が異なります。

○60歳台前半の在職老齢年金

60歳台前半の在職老齢年金とは、60歳から65歳未満で報酬を受けている人が受け取る年金のことを指し、基本月額と総報酬月額の合計額が28万円以下かどうか、総報酬月額相当額が46万円以下かどうか等により、その年金の支給月額が異なってきます。

なお基本月額は加給年金額を除いた年金の月額、また総報酬月額相当額とは、標準報酬月額に標準賞与額の12分の1を加えた額をいいます。基本月額と総報酬月額相当額によりその年金支給月額は異なります。

在職老齢年金による調整後の年金支給月額

計算方法1 基本月額-(総報酬月額相当額+基本月額-28万円)÷2

計算方法2 基本月額-総報酬月額相当額÷2

計算方法3 基本月額-[(46万円+基本月額-28万円)÷2+(総報酬月額相当額-46万円)]

計算方法4 基本月額-[46万円÷2+(総報酬月額相当額-46万円)]

○65歳以後の在職老齢年金

65歳以後の在職老齢年金とは、65歳以上で報酬を受けている人が受け取る年金のことを指し、基本月額と総報酬月額相当額の合計額が46万円以下かどうかにより、その年金の支給月額が異なってきます。

○在職老齢年金を受けている人が退職した場合

厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受けている70歳未満の人が、退職して1カ月を経過したときは、退職した翌月分の年金額から見直しされます。この場合、年金額の一部または全部支給停止がなくなり、全額支給されます。更に、年金額に反映されていない退縮までの厚生年金に加入していた期間を追加して、年金額の再計算が行われます。

○非常勤勤務と在職老齢年金

法人企業に勤務している人は原則として社会保険(厚生年金及び健康保険)に加入しなければいけません。これは、社長や役員も例外ではありません。また、個人事業では一定の業種(※)で従業員を常時5人以上使用する場合に、強制加入となります。

※一定の業種は製造業、土木建築業、物品販売業、金融保険業、医療保険業等。ただし農林水産業、飲食店等のサービス業は除きます。

また、個人事業主自身は社会保険に加入することはできません。厚生年金は70歳以上、健康保険は75歳以上になると被保険者の資格を喪失することになります。つまり、法人企業で働いている限りは、原則として年金を受給できる年齢になっても社会保険に加入し続けることになります。

ここで、在職老齢年金という制度が問題となってきます。先に述べた通り、この制度では60歳以降も就労し、社会保険に加入している場合には、収入要件により老齢厚生年金が減額されてしまいます。

しかし、逆にいえば社会保険に加入していなければ老齢厚生年金は減額されないことになります。社会保険の被保険者の資格要件は

(1)「1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上」であること。

(2)(1)の要件を満たしていなくても、次の「短時間労働者の要件」全てに該当すること(a.週の所定労働時間が20時間以上、b.勤務期間1年以上またはその見込みがある、c.月額賃金が8.8万円以上、d.学生以外、e.従業員501人以上の企業に勤務している)とされています

この、(1)と(2)の要件を満たせば原則として社会保険に加入しなければなりません。社会保険に加入されている人で、勤務形態が非常勤の会社役員や高齢の人は自分のライフスタイルに見合った働き方をすることも考えてみてはどうでしょう。

○在職老齢年金は必要か

在職老齢年金は見直すべきという意見も存在しています。その理由としては、この制度は働く意欲のある高齢者のやる気を削ぐ、社会保険の被保険者ではない自営業者やフリーターには影響を及ぼさないこと等が挙げられます。

一度定年退職をしても、その後働き続けることが一般的になってきた現代社会において、それは自然なことといえるのではないかと思われます。

しかし、年金受給者には公的年金等控除という多額な控除がある上に、給与所得控除も受けることができることからも、世代間で不公平が生じていることも考慮する必要があるでしょう。

○著者プロフィール

塚本泰久ツカモト労務管理事務所 代表社会保険労務士・FP。関西地区を中心に、地域に密着した事務所を目指しています。会計事務所出身であるという視点から、企業の宝である人財と企業会計のバランスに重点を置くことで、より強い企業の体制作りをサポートしています。「ツカモト労務管理事務所」

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