「エナジードリンク率高い系」はもう限界がきている

「エナジードリンク率高い系」はもう限界がきている

  • ITmedia ビジネスオンライン
  • 更新日:2017/09/15
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「ファイトー! 一発!」でおなじみの「リポビタンD」(大正製薬)のCMが話題となっている。熱血路線からお笑い路線に変わっているのだ。ボルダリングの場面で、一緒に登っている女性が落ちそうになり、「ファイトー!」とケイン・コスギが叫んで手を差し伸べるのだが、女性は手を掴まずにするすると登っていくという内容だ。

この商品のCMは以前から、時代錯誤だと言われていた。最近までこのCMが熱血路線で続いていたのは、やはり日本が過労礼賛社会だということなのだろう。笑えるものになったこのCMも、男性の方は熱血、ファイト路線である、相変わらず。

リポビタンDといえば、このCMと、勉強や仕事で忙しかったときの思い出しかない。最初に入った企業では、新人時代に飛び込み営業研修があったのだが、その初日は事業部の全体朝礼でキックオフが行われ、リポビタンDをイッキ飲みさせられたあと、ダッシュで会社を出て行くという儀式があった。今思うと、社畜そのものだ。

滋養強壮剤と言えば、「24時間戦えますか」のCMで一世を風靡(ふうび)した、「リゲイン」(第一三共ヘルスケア)も懐かしい。その後、いやし系のCMに変わっていったり、サントリーと「24時間戦えません」というCMメッセージのコラボ商品をつくったりしてびっくりしたが。

「リポビタンD」の新CMは、熱血路線からお笑い路線に変わった

若い人の中には「リポビタンD」や「リゲイン」という商品、さらには滋養強壮剤という名前を聞いてもピンとこない人もいることだろう。そう、時代は「エナジードリンク」なのである。このエナジードリンクという名前自体が相当、意識が高い。「レッドブル」に代表されるこれらの飲み物はスタイリッシュなデザインが受け、ビジネスパーソンに支持されている。

しかし問題は、滋養強壮剤を飲む人が昭和の社畜であるならば、この「エナジードリンク率高い系」とも言える人たちも、21世紀の社畜だということだ。

「気合いで何とかする」日本人の体質は変わらない

エナジードリンク率高い系の特徴は、何と言ってもSNSの投稿だ。「エナジードリンクを飲んで、仕事を頑張っている俺」アピールである。うまい具合に社外秘の資料やPCの画面をぼかしつつ、ノートPCやスマホの横にエナジードリンクを置く様子は芸術的だ。

それに対する「いいね」や「励ましコメント」なんかも熱いのだが、それに対して「みんなは俺の、レッドブル以上の存在です!」なんてことを書いているから、もう絶句してしまう。さらに、カロリーオフのレッドブルを載せつつ「ダイエット中だから、カロリーオフレッドブル。でも、みんなが僕のエナジーだから大丈夫」なんていう奴もいる。

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エナジードリンク率高い系は21世紀の社畜?

このように、エナジードリンクは当初、スタイリッシュな存在だったと思うのだが、徐々にこれもまた「ネオ社畜アイテム」「意識高い系アイテム」になってきている。

ここで可視化されるのは、結局のところ、日本人の「気合いと根性で何とかしよう」という体質ではないか。そもそも、エナジードリンクにしろ、滋養強壮剤にしろ、飲まなくてもいいように適度に仕事をするという気にはならないのか。そろそろ、普段の食生活や睡眠時間のコントロールで難局を乗り切るという発想が主流になってもいいはずだ。ちなみに私は最近、家事や育児で疲れ気味だが、エナジードリンクは全然飲んでない。コントロールできている。

エナジードリンク率高い系は危険な状態

過労で倒れたり、鬱になった経験があるので分かるのだが、エナジードリンクを飲んで「頑張っている俺」アピールをする人は、既に相当疲れており、危険な状態だ。いくら本人の顔が笑顔でも、精神が疲弊している可能性が高い。みんなのSNSの「いいね」で自分を奮い立たせるというのは、もう無理をしている状態なのだ。だから周囲も、励ますだけでなく、「働きすぎだ」と突っ込むべきである。エナジードリンク率高い系、働きすぎを予防するのは、みんなの助け合いである。

拙著『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)でも指摘したように、いまの働き方改革は、成果を落とさず労働時間を減らすという無理を生じさせている。表向きの残業は減っても、隠れてサービス残業をしている。

さらに、今度は「人づくり革命」の大合唱だ。「人生百年時代だからもっと勉強しなくちゃ」と、エナジードリンク率高い系がより増えてしまいそうで心配である。

常見陽平のプロフィール:

1974年生まれ。身長175センチ、体重85キロ。札幌市出身。一橋大学商学部卒。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。

リクルート、玩具メーカー、コンサルティング会社、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。長時間の残業、休日出勤、接待、宴会芸、異動、出向、転勤、過労・メンヘルなど真性「社畜」経験の持ち主。「働き方」をテーマに執筆、研究に没頭中。著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』『エヴァンゲリオン化する社会』(ともに日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)『普通に働け』(イースト・プレス)など。

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