ロボットが理想の「家族」になるための3要素

ロボットが理想の「家族」になるための3要素

  • WSJ日本版
  • 更新日:2018/01/15
No image
No image

――筆者のウィルソン・ロスマンはWSJパーソナルテクノロジー担当エディター

***

ロボットの進化につれ、家庭では「スター・ウォーズ」に出てくる「R2-D2(アールツーディーツー)」型ロボットの需要が減退し、「C-3PO(シースリーピーオー)」型の需要が高まりそうだ。ピーピー音がするゴミ箱と、腕や脚があり背の高い金ピカのフィギュア、あなたならどちらを選ぶだろうか。

ラスベガスの家電見本市「CES」には数十種類のロボットがお目見えした。人間の形をしたロボットを見たなら、それはおもちゃだったはずだ。脚があった場合は特にその可能性が高い。もっと大きく有用なロボットには、たいてい車輪があり、背が低くがっしりしている。彼らは駐車場の巡回やルームサービスの運搬、買い物客へのあいさつをする設計になっている。おなじみの掃除用ロボットの親戚だ。

こうした状況は今後10年で変わるとみられる。業務用ロボットが細分化された仕事をこなし続ける一方、私たちが家庭に持ち込むロボットは多目的型になるだろう。そうしたロボットたちは掃除機ではなくなる――私たちの掃除機や他の家電・道具を使うようになると、新興企業「ミスティー・ロボティクス」の創業者イアン・バーンスタイン氏は話す。同氏はボール型ロボット「スフィロ」を共同で発明した。

バーンスタイン氏は「いずれは、家に帰るとロボットが夕食の準備を済ませ、洗濯物をたたみ終えているようになるはずだ」と話す。

私たちは、「ロボットは階段を上れるのか」「ジャグリングができるのか」などと考える。こうしたことは技術であり、スマホにおけるアプリに相当する。ロボットには物をつかむ能力はあるかもしれない。だがアイロンをつかむことができたとしても、シャツのアイロンがけをするには技術がいる。

そこに至るには、現在のロボットはいくつかの点で進歩しなくてはならない。例えば、周囲に対する理解の精度を大幅に高める必要がある。人間の住居の中にある物すべてと交流できる能力も要るが、そのためには形が人間に近いほど良い。開発者の業界が繁栄することも必要だ。ロボット本体の発明者が考えもしなかったことをする技能を開発し、ハードウエアのアドオンを作ってもらわなくてはならない。

バーンスタイン氏の新たな冒険はこの道に踏み出している。今のところは、手作りのロボット「Misty I(ミスティ・ワン)」をわずかながら開発者に提供しているだけだ。だが以前のスフィロ――特にそこから進化したスター・ウォーズの「BB-8」玩具――の成功や同氏の新たな使命を見れば、ロボットを家庭で本当に活躍させるための課題とは何かを理解するのに役立つ。

センサーと賢さ

ロボットは、最初は白紙だ。能力はハードのスペックで決まる。ミスティ・ワンは、無限軌道で動き、物の形や顔を認識し、障害物を感知し、音を立てる。追加センサーやモーターといった追加のハードにも対応できる。

ミスティ・ワンのようなロボットが存在しているのは、「Xbox(エックスボックス)」に接続させる「Kinect(キネクト)」や「iPhone X(アイフォーン・テン)」に内蔵されているのに似たマッピングセンサーによるところが大きい。このセンサーは視界にある全ての物に赤外線のドットパターンを投影し、近くにある物と遠くにある物を見分ける。キネクトは室内の人やソファを、アイフォーン・テンは顔の中の目や鼻を見る。

データ収集は簡単だが、そのデータの解釈は難しい。私たち人間には人とソファ、目と鼻の違いが分かるが、そうした機器には分からない。どうにか自分の仕事をこなす程度の知識しかない。それ以上のこと(家の状況を正確に把握することなど)には多大な演算能力が必要になるとバーンスタイン氏は話す。

腕と脚

人工知能(AI)の画期的な発明でロボットが進歩し、迷わずに道を見つける能力を得たとする。人間はその時、腕や脚があれば自宅の全てに対応できると思うことだろう。

腕の方が簡単だ。CESに出展された人型ロボットの大半は車輪で動くタイプだったが、腕があり、一部には手さえあった。これは重要だ。ドアノブを回したり、ケチャップのボトルを絞ったり、靴紐を結んだりといった動作が簡単なのは人間の身体構造のおかげなのだから。ロボットの「手」にはかぎ爪、吸着カップ、投げ縄など多くのパターンがあるが、指にはかなわないとバーンスタイン氏は言う。「ロボットは私たちが使うのと同じナイフやフォークを使いこなす必要がある」

今年のCESに出展されたロシアの「Promobot(プロモボット)」には指があるが、片手に4本ずつだ。漫画ではアニメーションのコストを抑えるために指は4本しか描いてこなかった(「ホーマー・シンプソン」が一例)。だがプロモボットの指が1本少ないのは別の理由からだ。

プロモボットの共同創業者オレグ・キボクルツェフ氏は自身の小指を指して、「最後の指はあまり役に立たない」と述べた。

脚はどうか。脚は非常に高価だと同氏は言う。「想像してほしい。1本脚で立っているときにそのことは考えないと思う」が、立つためには足を常に調節しているのだ。「それには膨大な計算が絡む」

だがバーンスタイン氏は、ロボットに階段を上らせ、車の乗り降りをさせるには、脚は不可欠だと語った。

アプリとアクセサリー

SF映画では、同じロボットを大量生産する独占企業がしばしば登場する。どのロボットも外見や音や動きが同じで、1台が壊れるまで区別はつかない。

現実の世界ではそうなりそうにない。2007年にアイフォーンが初めて登場した時はどれも同じに見えた。だが「アップストア」がオープンしてほんの数カ月後には、ホーム画面のアプリを見ただけで誰の物か分かるようになった。現在ではケースやドックやアクセサリーによるカスタマイズが進み、1台1台かなり違う。

前もってプログラムされた特定の作業をこなす仰々しいロボットの域を出るには、ロボット界にはアイフォーン(アンドロイドと言うべきかもしれない)に匹敵するエコシステムが必要だろう。ここに、「鶏が先か卵が先か」と同じ大きなジレンマがある。開発者を引きつけるプラットフォームには有料の顧客が必要だが、顧客がお金を払うのは開発者が騒ぐのを見た後なのだ。

そのプラットフォームが軌道に乗ることがあれば、その時にはロボットが急速に分化するだろう。おそらく私のロボットは悪ふざけの達人になり、あなたのロボットはカンフーを習得する。

自分のロボットに階段を上り下りさせたりジョギングにつきあわせたりするために、脚の購入資金をためる人も出るだろう。私の場合は料理の下準備ができる腕の方が大事かもしれない。だが待て。ロボットにタマネギやニンジンを全部切らせた場合も家庭料理と呼べるのだろうか。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

IT総合カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
超人気アダルトサイトが2017年をまとめた統計レポートを公開、日本人ユーザーのフェチも明らかに
「新型ゲームボーイ」が2018年に登場!ソフトも全部互換
『一太郎』利用の農水省が『Word』に完全移行へ 「働き方改革の一環」報道にネットでツッコミ殺到
古いパソコンをスピードアップさせる方法
Google、スマホの画面をスピーカーに
  • このエントリーをはてなブックマークに追加