川田利明さん明かす「俺のラーメン店はなぜこんなにルールが多いのか」

川田利明さん明かす「俺のラーメン店はなぜこんなにルールが多いのか」

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2019/11/22
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全日本プロレスの元トップレスラーで、現在はラーメン店を経営している川田利明さん。その奮闘ぶりを綴ったのが、著書『開業から3年以内に8割が潰れるラーメン屋を失敗を重ねながら10年も続けてきたプロレスラーが伝える「してはいけない」逆説ビジネス学』(ワニブックス)だ。細かい「ハウスルール」がある川田さんのお店。なぜつくらざるをえなかったのか、本人が胸の内を語った。

賛否両論の「ハウスルール」

「必ず最初にラーメンを人数分、注文してください」

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これはひとつの例なんだけど、ウチの自動券売機にはさまざまな注意書きがベタベタと貼りつけてある。

これまでも、俺はいろんな「ハウスルール」を作ってきた。その度に「食べるものぐらい客に決めさせろ!」「どうして店にいちいち指示されなくちゃいけないんだ!」とネットなんかで叩かれまくった。たしかにそんなルール、作らないのにこしたことはない。でも、そうせざるを得なくなった理由はたくさんある。

冒頭に掲げた「必ず最初にラーメンを人数分、注文してください」というルールは、つまるところ、お客さんへの提供時間をなるべく早くしたいからだ。

これは自分で店を始めてから学んだことだけど、ラーメンが好きな人たちって、店の前で1時間でも2時間でも平気で並べるのに、いざ店に入って席に座ると、不思議なもので、そこで待たされることに我慢できない人が多い。

ほんの5分、10分の話なのに、とにかく早く出してほしいと願うのだ。長く並んだ分、お腹も空いてくるからすぐに食べたいんだろうね。その希望がわかったので、じゃあ、なんとかしてお客さんに早くラーメンを提供しよう、と考えるようになった。

ひとつの工夫として、厨房から離れた店内の一部にカーテンをかけて、そのスペースは通常の営業時には閉鎖するようにした。そこまでお客さんが入ってしまった場合、どうしても提供するまでに、時間がかかってしまうからだ。

目先の利益だけを考えたら、どんどんお客さんを詰め込むべきなんだろうけど、結果として、それがお客さんにとって「注文からの待ち時間が長い」というストレスになってしまうのであれば、その要因はこちらで排除すべきだ、と判断した。

お店の都合ばかりじゃない

お酒を飲みながら、おつまみも食べて、シメにラーメンを食べたい、という方もたくさんいるけれど、最後の最後にオーダーされてしまうと、どうしても待っていただく時間が長くなる。

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つまり、お客さんが食べたいタイミングでラーメンを提供できなくなってしまうので、それを避けるためにも、まずラーメンをオーダーしていただいて、お酒とおつまみのあとのシメで食べたいのであれば、その順番で出します、という形を取るようにした。ウチではラーメンの単価がいちばん高いという理由もあるけどね。

「俺がひとりで厨房を回している」という、こっち側の都合からできてしまったルールではあるけれども、最終的にはお客さんがストレスなく食事ができることを念頭に置いていることだけは、わかっていただきたい。

実はラーメン店ではこの状況を逆手に取ることが多い。

提供時間が長くかかれば、当然のことながら客席の回転は悪くなる。結果、待っているお客さんが店の外に並ぶようなことになる。いわゆる「行列のできるラーメン店」の何割かは、このトリックを使って、あえて行列を演出しているのだ。

これも立派な戦略だと思うし、「行列」は店にとって最高の看板になるので、多少、回転率が悪くなっても、最終的には損はしないだろう。

ただ、これは有名人の店の性なのか、ウチの場合、あまりお客さんは並んでくれないのだ。これは「俺が常に店にいる」ということをアピールしているからかもしれないけれど、「すいません、今は満席です」と言うと、たいがいのお客さんが「じゃあ、また今度来ます」と並ばずに帰ってしまう。

「いつ来ても、川田選手はいるんでしょ?」

だったら、わざわざ今日並ばなくても、今度、空いていそうな時にまた来ればいい、ということらしい。このあたりはなんとも難しいところだ。

こんな困ったお客さんもいる

もうひとつの理由としては、安いサイドメニューだけ頼んで長居をするお客さんが少なからずいるため「必ずラーメンを注文してください」とお願いしている。

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もちろん自慢のラーメンを食べてほしいという気持ちもあるんだけど、居酒屋感覚で来られてしまうと困る、というのが本音だ。

極端な例では、380円のデザートを頼んで、それを10人で分けて食べる、ということが実際にあった。ひとり頭38円だ!

こういったケースの多くは俺のファンだった人で、あれこれ話をしたいから、カウンターに座って、結構な時間、粘られる。それをやられてしまうと、文字どおり、こちらとしては「商売あがったり」だ。

いちいち注意して、お互いに嫌な気持ちになるぐらいだったら、最初からルールを決めてしまったほうがいい、というのが俺の考え方です。読者の皆さんには想像がつかないかもしれないけど、飲食の商売をやっていると、信じられない言動をする人が来るのだ。

自分の「デンジャラスK」というニックネームをもじった名前でお店をやっているので、昔からのファンの方がたくさん足を運んでくれる。それはありがたいことなんだけど、たまには困惑してしまうこともある。

「川田さんにずっと会いたかったんですよ!」

そう言ってくれることは、素直に嬉しい。でも厨房には俺ひとりしかいないので、個別にお客さんとおしゃべりをしている時間は基本的にない。カウンターに座っていれば、厨房の中が丸見えなので、「あえて説明しなくてもわかってくれるだろう」と思っていたけれど、現実にはなかなかそうはいかない。

ラーメン一杯で何時間もカウンター席を独占して、いろいろと話かけられても、俺は対応できないし、売り上げ的にも店としても困ってしまう。

写真撮影にもルールをつくった

一度、そういうことをツイッターでつぶやいたことがある。

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「お客さんに個別に対応はできません」

「厨房で調理中の声がけはご遠慮ください」

などなど。そのあとに来たお客さんが「川田さんの大ファンです!」と声をかけてくれたので「じゃあ、俺のツイッターも見てくれてます?」と聞いたら「もちろんですよ!」。あぁ、だったらわかってくれているかな、と安心していたら、そこからずっと話かけられて困惑したこともある。

念を押して「ツイッター、見てくれてるんですよね?」と遠回しに困っているサインを出しても「もちろんですよ! それでね、川田さん、聞いてくださいよ。ボクは学生時代に日本武道館で川田さんの試合を……」となる。

やっぱり、いろいろとルールは明文化しないとダメだ、とその時に思ったよ。俺だって本当はお客さんとコミュニケーションは取りたいんだけどね。

来店した記念に一緒に写真を撮りたい、というお客さんもたくさんいる。

オープン当初はそのすべてに応じていたけれど、その度に調理の手が止まってしまう。結果的に料理の提供時間が遅れてしまうようになった。

そこで「記念写真はTシャツを購入してくださった方のみにします」というルールをひとつ追加した。これもTシャツを売りたいがためではなく、すべてのお客さんに平等にラーメンを味わってほしいからだ。

重ねて言うけど、別にTシャツを売って儲けよう、という魂胆があるわけではなく、そういうハードルをひとつ設けないとキリがないとわかったから。

さらに「忙しい時は一緒に撮れないので、お待ちいただくこともあります」という但し書きも添えた。いちいちうるさいな、と思われるかもしれないけれど、これぐらいくどく説明しないと理解してもらえないのだ。

補足しておくけど、常識的なお客さんが大半で、困ったお客さんは一部だけ。でもその一部で支障が出るから商売は難しい。

最近、ほかのラーメン屋で「食事は15分以内に済ませてください」「店内の写真撮影はご遠慮ください」など、一見、厳しいなっていうハウスルールを見かけるけど、その店ごとの事情もあるんだよね。

ちなみに今ではもっと話したい方、コミュニケーションを取りたい方のために、店でイベントを開催することを増やした。

*川田利明さんのトークショー開催決定です!詳細は以下をご覧ください

川田利明さん著『してはいけない逆説ビジネス学』重版記念イベント
日時  2019年11月24日(日)17:00~
場所  芳林堂書店高田馬場店8階イベントスペース
詳細リンクhttp://www.horindo.co.jp/t20191105/

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元プロレスラーのラーメン店主が説く、ベンツ3台を売り払ってわかった「俺だけの教訓」。

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