顔認証システム「気持ち悪い」 防犯の最新技術に不安を覚える人々

顔認証システム「気持ち悪い」 防犯の最新技術に不安を覚える人々

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  • 更新日:2017/12/07
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防犯カメラが街の安全に貢献するとはいえ、集めた情報が悪用されたりする危険はないのか(撮影/写真部・片山菜緒子)

監視カメラや顔認証システムなど、防犯のための技術が進化している。安全のための技術ではあるが、監視されることに不安を覚える人も少なくないようだ。

10月18日、法務省は東京・羽田空港で、日本人の入国審査手続きに顔認証を使った「顔認証ゲート」の運用を始めた。帰国する日本人が対象で、ゲートで撮影した顔写真をパスポートのICチップに記録されている画像と照合、本人と確認できればゲートが開く仕組みだ。運用について、法務省東京入国管理局の羽田空港支局・島津真佐志総務課長は強調する。

【顔認証市場はどこまで拡大する?規模推移と予測はこちら】

「撮影した顔写真は一切保存していません。あくまでも、パスポートの名義人と目の前にいる人とが同一人物であるかどうかの確認です」

しかし、韓国から帰国して顔認証ゲートを通過した女性(34)は驚いた。

「便利でびっくりしました。でも、国がしていることだから信用してますけど、データが漏れたら怖いです」

顔認証技術で世界トップを走るNEC(本社・東京)。わずか1秒で3千万件の顔画像と照合でき、正面など好環境ならエラー率はわずか0.8%。群衆や、それまで難しかったとされる様々な角度を照合できるのも大きな特徴だ。

同社セーフティ事業戦略室マネジャーの鈴木武志さんは、顔認証システムには次のような利点があると話す。

「まず、人は相手が誰であるかと認識するとき顔を見るので、顔認証は利用者の心理的不安が少ない。指紋認証などと違い、非接触で非拘束。さらに照合結果の顔画像を人間が確認することで不正抑止効果があり、専用機器も不要です」

このバイオメトリクス(顔認証)市場も拡大。富士経済によると、7億5千万円(2016年)から、東京五輪がある20年には倍以上の15億7千万円になると予測する。

顔認証も防犯や犯罪捜査に有益なのは間違いない。全国に100店舗近くを展開中のある大手書店は14年6月、顔認証システムを全国の店舗に本格的に導入。万引き犯や、疑わしい行動をした人などの顔データを蓄積しているという。都内にある店舗を覗くと、「防犯カメラ作動中」と掲示し、カメラで撮影中であることを来店客に伝える貼り紙があった。

書店の万引き被害は深刻だ。全国の被害額は年間100億~200億円といわれ、経営を圧迫。倒産に追いやられる書店も少なくない。先の大手書店について、NPO法人「全国万引犯罪防止機構」の関係者は「万引き以外にも盗難や痴漢といった防犯が目的。顔認証の導入で、防犯効果は出ています」とする。

ただ、使い方次第で「防犯」は容易に「監視」に転じる。監視することはプライバシーの侵害と背中合わせでもあるのだ。

この大手書店に顔認証システムが導入されたことを、新聞で知ったという都内の会社員女性(42)は、不安を口にする。

「知らない間に監視され、自分の情報を勝手に取られるのは気持ち悪いです。悪用される可能性もありますから」

顔データは指紋などと同様「個人情報」として扱われる。だが収集データをどう利用するかは、業界ごとに自主的にルールを検討しているのが現状だ。

そうした中、NECは今年4月、プライバシー保護とデータ活用の両立を考える「データ流通戦略室」を社内に新設。室長の若目田(わかめだ)光生さんは「顔認証で個人情報を取得する際のルールづくりが必要。そのために、例えば設置の目的や使い道、問い合わせ先など、業界が横断的に連携し、統一したルールづくりを行っていきたい」と話す。(編集部・野村昌二)

※AERA 2017年12月11日号より抜粋

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