『アンナチュラル』 全国で毎年7000人以上が溺死。その死因を突き止めろ!

『アンナチュラル』 全国で毎年7000人以上が溺死。その死因を突き止めろ!

  • HEALTH PRESS
  • 更新日:2018/02/15
No image

ドラマ『アンナチュラル』第5話は溺死の理由(depositphotos.com)

joy(女医)に対する世間の好奇と偏見! それを阻止するために、週刊誌に心を痛めながら別のネタを売ってしまう久部。『アンナチュラル』は、回を追うごとにスピーディーに話が展開し、今後の展開にあらゆる布石がちりばめられているようです。

さて、今回は溺死でした。

「平成28年 厚生労働省人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると不慮の溺死及び溺水が 7682人もいます。そんな沢山……。溺死は、何らかの原因で気管や肺に水が入り、呼吸が停止して死ぬことですから、洗面器一杯の水があれば、状況次第では溺死が起り得ます。怖い……。

事故死か殺人か、同じ水中死でも死因はさまざま

溺死を起こす液体はほとんどが「水」です。だから水の成分とその移動の仕方が大切な証拠になっていきますね。

淡水中(河川、湖、プール、浴槽)、あるいは海中の事故なのかといったように水を調べることで、事件発症の場所や時間特定やその経過までも、ご遺体から推測することが可能です。法医学の教科書には時間経過と臓器の変化、水の動きの表までのっていました。先人の研究者の方々の功績です。

ミコトも「肺がしぼんでいるから死後5日くらいは経っているね~」といっていましたね。最後の段階でもその肺の大きさに違和感を覚えて真相を突き止めた、わけです。

水中で一生懸命呼吸をしたら肺に水が入ります。その肺の中の水の状態や珪藻(プランクトン)の有無などで水の種類が判別可能なのです。(これ、以前偶然見た番組で、我らが上野正彦先生の研究成果だと語っておられました!)

淡水か海水かによって体の反応が違ってきます。淡水では血中の電解質のアンバランスからの心房細動(心臓がきちんと動かなくうなる不整脈の一種)、海水では同じ電解質バランスが崩れでも肺浮腫(肺がむくんでしまう)で死に至るそうです。今回は心臓の中の水の電解質の濃度の違いで判断されていましたね。

でも、一概に「水中死」といっても水辺をお散歩中に心臓発作やてんかん発作で倒れて溺死したのか、あるいは殺害後の水中遺棄の可能性もあり、その死因が溺死とは限らなくなってくるので、事細かな診断がこれまたと~っても大切になってくるのは言うまでもありません。

アンナチュラル第5回ともなると、ここら辺の推測はできるようになってきますね!ドラマの中盤で、私は、これはきっと母親が娘と口論して事故で落としてしまったんだ、とか、ネックレスを落として拾おうとして事故死か?などとあらゆる推測をしながら見ておりました。

法医学は死因を確定することで遺族を救う

以前、私の知人がサーフィン中に命を落としたことがありました。もちろん泳ぎも上手でサーフィンはしょっちゅうやっていました。この方は心臓の問題が起きた結果の溺死、という事でした。

この様に泳げる人の溺死は、疾患が先行する場合と、咽頭鼻部・気管に入った冷水が刺激しての意識消失(心臓が反射的に停止する)の場合、そして過呼吸からの意識消失の場合があるそうです。過呼吸からの意識消失→溺死は素潜りの現場で耳にします。この場合、血中の酸素を上昇させ、二酸化炭素を減らしての潜水なので、呼吸が苦しいと感じる前に意識が低下して溺死を派生させてしまうのです。

そして今回は「エベック反射」だと。正直私、この反射聞いたことありません……(汗)。

基本的に人の身体の反射は本来、生命維持のために防御反応です。それが過剰反応をきたして体に異常をきたしてしまう時に、こういったことが起こってしまうのです。

一般的に有名な反射は迷走神経反射ですよね。これはストレスや強烈な痛みなどの刺激により、迷走神経が脳血管中枢を刺激してしまい、心拍数の低下や血管拡張が起きてしまう生理反応です。

臨床の現場ではこの反射を利用して不整脈を治療することもあります。ただ、良くない状況でこの反射が起きてしまうとホームからの転落や今回のような溺死につながってしまう可能性があります。

こう考えていると、『世界の果てまでイッテQ!』の女芸人が寒中水泳している映像を見ると、いきとめてね~っ!と祈りながら見てしまったりして……(笑)。

そして、今回は深イイ言葉が沢山出てきたような気がします。UDIの一番の存在理由ではないであろうかと思わせる言葉もありました。

「焼いてしまったら本当の死因はわからない」
「死因を確定することが事件解決とともに遺族を救う」

実際に法医学解剖を行っている先生がまさに同じような文章を書いておられました。遺族のその先の人生のためにも死因を究明する必要があると。

その言葉の中に、ミコトと中堂のつながりも見えてきました。正装服は喪服しか持たない?らしい中堂の人間っぽいところが垣間見えて、少しほっこりしませんでしたか?

愛に飢え、憎しみを糧に生きている彼はミコトとどういう関係になっていくのでしょう……。中堂のお部屋も生きる目的の無い感じが表れていましたね。いつビーカーでコーヒーを飲むかなあ~と期待してみておりましたが、なかった……(笑)。

さて、来週は陽気なムードメーカーの東海林がやらかしてしまう感じでしょうか。

今後ますます久部のミコトに対する態度も気になります。ミコトと中堂は一瞬心を通わせましたが……、やっぱりまさかの三角関係に発展か?

No image

井上留美子(いのうえ・るみこ)
松浦整形外科院長
東京生まれの東京育ち。医科大学卒業・研修後、整形外科学教室入局。長男出産をきっかけに父のクリニックの院長となる。自他共に認める医療ドラマフリーク。日本整形外科学会整形外科認定医、リハビリ認定医、リウマチ認定医、スポーツ認定医。
自分の健康法は笑うこと。現在、予防医学としてのヨガに着目し、ヨガインストラクターに整形外科理論などを教えている。シニアヨガプログラムも作成し、自身のクリニックと都内整形外科クリニックでヨガ教室を開いてい。現在は二人の子育てをしながら時間を見つけては医療ドラマウォッチャーに変身し、joynet(ジョイネット)などでも多彩なコラムを執筆する。

シリーズ「本能で楽しむ医療ドラマ主義宣言!」 バックナンバー

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

コラム総合カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
絵の中に何が見える?最初に見えたものであなたの性格がわかるらしい!
娘は親のもの? 「30歳を過ぎている娘」に過保護な親がした最低行動3選
セックスレスと束縛がきっかけで... AVデビューした主婦・黛あおに直撃
宇野昌磨は“例外”? 記者が「二度と取材したくない!」と叫ぶアスリートを実名暴露
  • このエントリーをはてなブックマークに追加