テレビ解説者・木村隆志の週刊テレ贔屓 第2回 テレビマンの夢込められた規模の大きさ『さんま・玉緒のお年玉』

テレビ解説者・木村隆志の週刊テレ贔屓 第2回 テレビマンの夢込められた規模の大きさ『さんま・玉緒のお年玉』

  • マイナビニュース
  • 更新日:2018/01/14
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テレビ解説者の木村隆志が、今週注目した"贔屓"のテレビ番組を紹介する「週刊テレ贔屓(びいき)」。第2回は『さんま・玉緒のお年玉 あんたの夢をかなえたろかスペシャル』(TBS系、1月8日21:00~22:54)をピックアップする。

今年で24回目の放送となる正月番組の超定番だが、いまだ人気は衰え知らず。その秘けつは、「スタジオ撮影か、ゆるい街ブラばかり」のバラエティ番組とは一線を画す、スケールの大きさだろう。

そもそも、夢の募集からして規模が大きい。ホームページや手紙で1年中募集しているだけでなく、昨年8月の岐阜県下呂温泉から、仙台、岩手、郡山、愛知、茨城、栃木、東京、浜松……ディレクターが放送直前の12月まで全国をくまなくめぐり、「夢インタビュー」を敢行。過去最高となる1万1千人もの夢を集めた。

○夢実現の鍵を握るインタビューのリアクション

明石家さんま

今回実現した夢は、大阪の小学6年生(12歳)の「図鑑でしか見たことのないような鉱物の景色を見てみたい」、岡山の高校2年生(16歳)の「プロと一緒にプロジェクションマッピングを作りたい」、大阪のOL(25歳)の「『A-Studio』に出て鶴瓶さんに友達を褒められたい」、神奈川の"加藤綾子"さん(28歳)の「さんまさんに結婚する彼と逢ってほしい!」、映画『チア★ダン』のモデルとなった福井商業チアリーダー部の「サンボマスターの生演奏で踊りたい」の5つ。

正直、「サンボマスターの生演奏で踊りたい(顧問の先生に大好きな曲のサプライズで恩返し)」は、2年前の「箕面自由学園高チアリーディング部員が恩師に木村拓哉と会わせてあげたい」にそっくり……と感じたが、当番組の楽しみは夢の内容のみではない。「うれしい~!」と目を輝かせた鉱物少年、震えが止まらず「無理です」を繰り返したOL、驚きでのけぞる明石家さんまファンの新郎など、ドキュメンタリー番組らしい一般人のリアルな描写だ。

2010年代に入ってから一般人の出演する番組は増える一方だが、当番組ほど大きなリアクションが見られる番組はない。これは裏を返せば、「夢インタビュー」で大きなリアクションをしておくことが夢実現の近道とも言える。実際、「鉱物を熱く語る小学生」はインタビュー時から、オープニングを飾るにふさわしいインパクトを残していた。「夢インタビュー」は番組公式ツイッターで出没予告をしているだけに、どうしても実現させたい人は、ネットや手紙の応募ではなく、ロケ地を訪れてみてはいかがだろうか。

当番組を語る上で、どうしても挙げておきたいのが、テレビ番組本来の"あおり"演出。「夢が実現する直前で、あらためてインタビュー時の映像をフラッシュバックさせて視聴者のドキドキや感動を高める」という、あおり本来の効果が出ている。近年、視聴者に嫌われている「意味のない引っ張り」でも、「露骨なCMまたぎ」でもないから、視聴者は繰り返し同じ映像を見せられることへのストレスを感じず、むしろ素直にドキドキや感動を得られるのだ。

○日本一おめでたいドキュメンタリー番組

もともと当番組には、「テレビでなければできない予算と実現力で、視聴者の夢を叶えてあげたい」というテレビマン自身の夢が込められている。だからこそ、これまで「マイケル・ジョーダンに会ってバスケを教えてほしい」「西オーストラリアでマンタやイルカと泳ぎたい」といった"ワールドワイド"から、「巨大クレープに包まれたい」「尊敬するデーブ・スペクターに会いたい」といった"おバカ"まで、ギャップの大きい企画が放送されてきた。

今回最も経費をかけたのは、「2000万円以上のビッグプロジェクト」とうたわれた「『A-Studio』に出て鶴瓶さんに友達を褒められたい」。ただ、番宣とタレント絡みである上に、費用の多くは撮影関係者=すなわち身内に払われているため、スケールの大きさを感じられないのがもったいなかった。

一方、最も経費がかかっていないと思われるのは、意外にも「さんまさんに結婚する彼と逢ってほしい!」。映像の大半が結婚式当日のみで済み、大がかりな演出も特になし。それでも「大きな夢の実現」を成立させ、大ファンの新郎が「もう十分です」と思わせるほどガッチリ絡むのが、明石家さんまたるゆえんだろう。

ただ贅沢を言えば、高齢者が「数十年来の夢」「『もう無理』とあきらめた夢」を実現させて涙を誘う企画も見たかった。2011年に放送された「大阪に住む97歳の女性が、30年ぶりに広島に住む109歳の姉に逢いたい」が、いまだ語り継がれる名企画だったからだ。

とはいえ、当番組が正月放送にふさわしい「日本一おめでたいドキュメンタリー」であることに疑いの余地はない。スタッフは「実現する」と決めたものは一切妥協しないし、どんな夢でもチープなものにはせず、依頼者の予想を必ず超えてくる。

しかし、芸能人絡みの夢実現が増えているのも、また事実。民放のテレビ放送である以上、ある程度、番宣絡みの企画が入るのは仕方ないし、依頼者の喜びを考えればそれもアリだろう。ただ、「よくテレビ番組で見る」人気芸能人よりも、「ふだんテレビに出ない」その業界の英雄が出演したときのほうが反響も感動も大きい。ファンの1人として来年はそのあたりも期待している。

○来週の"贔屓"は…「攻めるEテレ」の旗頭『ねほりんぱほりん』

『ねほりんぱほりん』1月17日放送より (C)NHK

来週放送の番組からピックアップする"贔屓"の番組は『ねほりんぱほりん』(NHK Eテレ、1月17日23:00~23:30)。「毎回エッジの効いた出演者をキャスティングし、山里亮太とYOUのツッコミで過激にエグりつつ、NHKのノウハウが詰まった人形劇で中和する」という絶妙のバランスで、すでに「名番組」の声もあがっている。

次回のテーマは、「ガチ恋トップオタ」。応援コールを先導するなどアイドルファンの頂点に君臨する一方、「本気でつき合おうと思っている」という筋金入りのヤバ系だけに、暴走トークは普段以上ではないか。

さらに、アイドルと言えば、山里亮太の得意フィールドでもあり、腕の見せどころ。トーク相手に迎合しない本来の「怖い山ちゃん」が見たいところだ。いずれにしても、「攻めるEテレ」の旗頭的な番組だけに、ど真ん中のテーマでその現在地点を確かめたい。

■木村隆志

コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月20~25本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などに出演。取材歴2,000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

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