大藤 敏行・侍ジャパンU-18ヘッドコーチ 「高校野球に触れる君たちへ」第3回

大藤 敏行・侍ジャパンU-18ヘッドコーチ 「高校野球に触れる君たちへ」第3回

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  • 更新日:2017/08/15

今年9月1日から10日間、カナダ・サンダーベイで行われる「WBSC第28回U-18ワールドカップ2017」で世界一を目指す侍ジャパンU-18代表。昨年、優勝を果たした「第11回BFA U-18アジア選手権」に続き、小枝 守監督(前:拓大紅陵<千葉>監督)の下でヘッドコーチを務めるのが、前・中京大中京(愛知)野球部監督・現在は同校顧問を務める大藤 敏行氏である。

監督時代は春5回・夏4回甲子園に出場し、2009年夏には堂林 翔太(現:広島東洋カープ)をエースに43年ぶり7度目の全国制覇。NPB通算2167安打の稲葉 篤紀(1990年度卒・2017WBC侍ジャパントップチーム打撃コーチ)、東北楽天ゴールデンイーグルスの女房役・嶋 基宏(2002年度卒)など、プロ野球やアマチュア野球界にも数々の人材を送り込んでいる名将。そんな大藤氏が今回、新入生に向けたメッセージを様々な角度から語って頂いた。

題して「高校野球に触れる君たちへ」。第3回では、高校野球と勉強の両立法や、食事、保護者との付き合い方「グラウンド外で大事なもの」について話します。

大藤 敏行・侍ジャパンU-18ヘッドコーチ 「高校野球に触れる君たちへ」第1回から読む

「野球『が』できる子」から「野球『も』できる子」へ

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大藤 敏行氏

前回(第2回)、野球の基本技術で大事なことは「勉強」だという話をしました。というのは高校では授業もある。中学時代の「野球『が』できる子」から「野球『も』できる子」になることが大事だからです。

高校を卒業すれば、皆さんは大学や社会人に進んでいく。その時、僕らは教員として「野球ができる」でなく「他のこともできる」にして社会に送り出さないといけないと考えています。

もちろん「得意なのは野球。一番好きなものは野球」。解っています。でも、「野球で学ぶ姿勢」を作るためには勉強することが必要。それはいつも私は言っています。

結局、研究熱心でない選手は何をやっても成功はしない。やんちゃさはあってもいいとは思いますが「怠け者」はダメ。野球は反復練習が多いですが、そこで「どうしたらよくなるんだろう」と疑問を持っていかないと、成長するのは難しい。

「アドバイスを言ってもらっているけど、これは本当のことかな」と、勉強をしていても思えることが大事だと、私は思います。

「食事」含め、情報を得て、考え、アピールすることは全ての源

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食事もトレーニングの一環 ※写真はイメージです

食事は私が中京大中京で監督をしていたころ、大変重要視していました。徹底的に食べさせました。そのきっかけはまだ中京大中京が甲子園から遠ざかっていた時。泊まった関西の旅館が帝京(東京)が泊まっていた宿で、そこのおかみさんにこう言われたんです。

「アンタらさあ、帝京より食べる量が3分の2くらいだよ。最初からそれじゃあ、試合でケンカにもならんでしょ」
それはそうです。トレーニングをするためには、休養も含めて心技体の「体」ができなければ、効果はありませんから。

ですから、中京大中京監督当時は食事の量も増やしましたし、摂れない時は食事の回数を増やしました。食事は生きていくうえで楽しみの1つではありますが、本気で勝負をするための身体を作るトレーニングの一環。「食育」「食トレ」と最近、言われるようになったのも、それがあるからだと思います。

今は情報も昔に比べていっぱいあります。いい選手になれる要素は食事の摂り方に限らずあります。それを得て実行できれば甲子園に行ける、プロ野球選手になる、好きな野球で結果を残せる可能性が高まってくる。

そのうえで考え、自分をアピールすること。嶋 基宏(東北楽天ゴールデンイーグルス)がその典型です。高校時代は二塁手。2年夏は実力でベンチに入らず、終わった時は一時期「マネジャーをやる」というくらいだったところから、今の位置まで来た。環境にも恵まれたと思いますが、自分を伸ばす能力に長けていたと思います。

保護者への敬意を常に忘れずに

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河合 完治(中京大中京ー法政大ートヨタ自動車)

2009年・中京大中京甲子園優勝メンバーの河合 完治(法政大~トヨタ自動車)は三兄弟すべてが私の教え子、全員甲子園にいきました。そのお父さんは僕と同じ年、社会人で日本拳法をはじめて日本チャンピオンになった人なんですが、そのお父さんが河合 完治の試合を見に行った帰り、車中で彼の態度が悪いのを見て、途中で彼を降ろして10㎞以上歩いて帰らせたことがあったそうです。彼が高校野球を終えた時にこのことを聞いて私は思いました。
「こういう親だから、こういった大成する子が育つんだな」と。

今は子どもが活躍すると保護者が遠慮するケースが非常に多い。それはダメだと思います。私が監督をしていた時、絶対に許さなかったのは、チームで決めた全力疾走をやらない、返事や気配り、掃除など、「誰でもできることをやらないこと」だったんですが、保護者に敬意を持つこともその1つ。扶養して頂いているんですから。

もっとも、選手たちが甘えられるのは家庭でしかない。娘2人の私の家庭でも妻によく「なんで杓子定規に厳しいことを言うの?」怒られるんですが(笑)。そこは大人が大人として判断すべき部分。保護者の方も「これだけは」というところを子どもに対して持っておくことが大事ですね。

私も妥協をすることを多くして、自分の弱みも平気で出せるようになったのは中京大中京監督経歴最後の方。2009年夏に優勝したときには、愛知大会開幕日の出発前、グラウンドで「栄光の架け橋」をアカペラで歌いました。それも自分自身が経験して、自分に少し自信や余裕ができてからです。

連載最終回となる第4回では大藤 敏行コーチが、中京大中京2009年夏・甲子園優勝時の秘話、そして新入生たちへ向かって熱いメッセージを送ります。お楽しみに!

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