フジテレビに失望「あの番組」だけは終わらせてはいけなかった

フジテレビに失望「あの番組」だけは終わらせてはいけなかった

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2017/09/17

低予算かつ評判がいいのに…

各テレビ局の2017年秋改編のニュースが続々入ってきていますが、やはり近年目立つのはフジテレビの不調・迷走を伝えるニュースです。

中でも最も驚いたのはフジテレビ系「久保みねヒャダこじらせナイト(以下「久保みねヒャダ」)」のレギュラー放送終了の報です。

深夜番組であり、全国ネットしているわけではないので、ご存知ない方もいらっしゃると思いますので簡単に説明いたします。

「久保みねヒャダ」はフジテレビで毎週土曜深夜25時台に放送されている番組で、久保ミツロウ、能町みね子、ヒャダイン(前山田健一)の3人がトークしたり、投稿を受け付けたりするAMラジオの雰囲気を色濃く残したテレビ番組です。

2012年に数回のスペシャル番組での放送を経て、2013年10月にレギュラー化した同番組は、パーソナリティ三者三様の才能とキャラクターから数々の名コーナーを生んでいました。

例えば、節分や一人きりの正月などといった、これまであまり注目されてこなかった分野の曲を即興で作る「スキマソング」。

他にも、運動が苦手な子が感じる、体育授業の公開処刑経験を成仏させる「体育へのうらみつらみ川柳」など、従来の地上波テレビとは異なる価値観、異なる視聴者層の代弁者として異彩を放つ番組でした。

さらにこの番組が特別だったのは、本当の意味でネットと地続きな番組だという点です。

従来、テレビ番組にとってネットのトレンドは「別世界のこと」として「わざわざ」紹介するものでした。しかし「久保みねヒャダ」は、ツイッターでの日常トレンドもテレビ番組評論も、同列のものとして区別せずに俎上にのせて話しており、一般的にネット利用者層にとって常識とされる単語は注釈なしで使っていました。

テレビ業界の方は勘違いしがちですが、無理にネットからの参加を募る番組とか、ユーチューバーと共演とかそういう肩肘を張った企画をするのがテレビ・ネットの融合ではありません。

この番組のようにネットとテレビを区別しないことこそが真の融合だと思うのです。そういった意味でも「久保みねヒャダ」は革新的な番組でした。

また裏番組であるテレビ東京系「ゴッドタン」の佐久間宣行プロデューサーを番組に迎えてテレビ談義をするなど、もともとテレビタレントではない3人だからこそ、タブーなく今のテレビの抱える問題を視聴者・作り手双方の目線から語れる番組でもありました。

このような地上波テレビの枠をはみ出した異物のような番組が、深夜に細々とでも継続しているという事実は、「この番組があるから、フジテレビにまだ希望を残している」と言われるほど、フジテレビの最後の良心とみられていました。

根底に流れる「こじらせ」を共通項につながった確固たるファン層を誇るこの番組が終わってしまうことは、ただ単純に「深夜の20分番組が終わる」という以上に大きい意味を持つことだと思います。

かつてフジテレビの深夜番組は他局よりも一歩も二歩も先を行く実験場でした。「カノッサの屈辱」「カルトQ」「たほいや」など番組名を挙げればきりがないほど、冒険心にあふれた場所でした。

実験精神、斬新な切り口、ふところの深さ、そういったフジ深夜の伝統を継いでいた番組が「久保みねヒャダ」だっただけに、残念でなりません。

テレビ局が画一的な価値観で埋め尽くされてしまわぬように、視聴率などの指標に関係なく、残すべき番組というのが各局ひとつはあります。変化しなくてはならない時期であればあるほど、残さなくてはならない、そういう番組があります。

残念ですが、終了報道の際に、出演者のヒャダイン氏がブログに書いた「低予算の20分深夜番組の地上波を終わらせねばならないほど今のフジテレビは深刻な状態」という言葉がすべてを物語っているのかもしれません。

若手は発掘するのに…

フジテレビの未来を悲観視してしまう要素をもうひとつ挙げるならば、近年、とくにバラエティ番組において、新しいタレントを抜擢する場所が足りないということです。

「新しい波24」など人材発掘を目的とした番組はありますし、各種バラエティも発掘には力を入れています。しかし、せっかく発掘したタレントを抜擢する場所がないのです。

例えば今ちびっこに大人気の芸人、ANZEN漫才のみやぞんのケース。

彼が最初にバラエティで爪痕を残したのは、フジテレビの「とんねるずのみなさんのおかげでした」です。

とんねるずの質問に対して、度が過ぎる天然で返す彼を、番組はその後プッシュし、何度か出演する機会がありました。しかし、それはあくまで大御所からいじられる役としての彼。

現在の彼の人気の要因となっている、たぐいまれな身体能力、信じられないほどのいい人キャラ、漫画のようなエピソード、そういったものは、ほとんどが後発で彼を抜擢した日本テレビ「世界の果てまでイッテQ」で発揮されたものです。

今のフジテレビには若手を発掘する意欲はあっても、主役として抜擢する場所がないのです。

もちろんタレント業界、とくに芸人業界は上がつかえていて、なかなか中堅以下のタレントにチャンスがまわってこないのも事実です。

しかし、かつて多くの若者にチャンスを与え、バラエティ王国として君臨していたフジテレビの現状がこれというのは寂しいものがあります。

以前、この役を担っていたのは「笑っていいとも!」でした。

前段で書いた「久保みねヒャダ」のセンター、久保ミツロウが、「笑っていいとも!」発の最後のスターと言われたように、かつては「いいともで見つけ、いいともで試し、ゴールデンや深夜で抜擢」というサイクルがしっかりとまわっていました。

加えて、「夕やけニャンニャン」を皮切りとした夕方の若者向けバラエティや、ニッポン放送のラジオ番組などもその一翼を担っていました。

今、「いいとも」も、夕方バラエティも終わり、ニッポン放送はせっかく人材を育てても、他局にとられるというサイクルを繰り返しています。そしてフジテレビのバラエティは大御所芸人が主役の番組ばかりが残っています。

たとえ番組内の1コーナーでもいいのです。大御所にいじられるのではなく、発掘したスターが主役となる場面があればいいのですが、その場所はありません。

今回の改編においては、残念ながらそこには大きくメスは入らないようです。別に長寿番組を終わらせることだけが選択肢だとは思いませんが、改編テーマが「再起動」というのであれば、ひとつでもいいからゴールデンやプライムの番組でそういう姿勢を見せてくれればよかったのに、と思います。

フジはどうすればいいのか

最後にもうひとつフジテレビの悲観的要素を挙げるならば、情報番組や報道番組での局アナ起用を中心としたコスト削減の動きです。

ニュース等で伝わってくる今現在の経営状況をみるに、コスト削減に舵を切ること自体はやむを得ないことでしょう。しかし、コスト削減だけを目的としたような番組リニューアルは、コンテンツの枯渇化をより促進する結果にしかならないと思います。

たとえばテレビ東京は最初から予算が潤沢でないというハンデがあるからこそ、企画勝負の番組作りで「無いなりの戦い方」をしています。

しかし元々は予算があり「無いなりの戦い方」をしてこなかったフジテレビがシンプルにタレントを切って局アナにするようなリニューアルをしてしまっては、縮小均衡に向かうしかありません。

先般、動画配信サービスのNetflixのCM企画で明石家さんまが「正直言うと民放さんよりもいい制作費を出していただいて」「自由にできるしね。『Jimmy』っていうドラマ企画も、民放に企画書を出していたらどうやったやろかとか思う感じ」と動画配信サービスの予算の潤沢さ、企画の自由度について語りました。

「地上波に育ててもらった自分としては複雑ながら」という前提付きとはいえ、大物中の大物タレントがこのような発言をする時代です。

おそらく今後、制作費と企画力において動画配信サービスと地上波民放テレビの差は広がり、優秀な人材の流出も招くことでしょう。そして、とくにドラマやバラエティにおいて出演者や質の差が徐々に拡大していくという未来も容易に想像できます。

このように、地上波民放にとってさらに厳しい時代となっていく中、いち早く危機に直面しているフジテレビはどうしていくべきなのでしょうか。

地上波、とくにフジテレビをみて育ったテレビっ子の私としては、経費削減を焦るあまり、四六時中、局アナがグルメレポートをし続ける情報番組ばかりを垂れ流すような道が正解とは思えません。

地上波テレビの特性を見つめ直し、減っていく制作費の中でも貪欲に異なる価値観を取り込んで、文化づくりに挑戦していく。そういう姿勢が必要なのではないでしょうか。

もちろん、今のフジテレビに光明がゼロかというとそうではありません。

2016年は平均視聴率が10%を超えるドラマがゼロだったのに対し、2017年に入ってからは過去のヒットドラマのシリーズものとはいえ、「コード・ブルー」など、各クール1本は平均10%超えドラマが出ています。今回の改編でもドラマに関しては捲土重来を狙う姿勢が見えています。

しかし総じてみれば、悪い材料の方がまだまだ多い状況に変わりありません。

フジテレビの復活を願って、自分のような視聴者ができることはなんだろう。そう考え、まずは「久保みねヒャダ復活希望」のメールを局に送りました。

フジが再び文化創出の担い手となりますように。

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