旧村上ファンド、黒田電気のTOBで380億円稼ぐ...村上世彰氏の取締役就任を要求

旧村上ファンド、黒田電気のTOBで380億円稼ぐ...村上世彰氏の取締役就任を要求

  • Business Journal
  • 更新日:2017/12/07
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電子部品専門商社の黒田電気の株価が急騰した。11月1日は値が付かず、11月2日に2709円で取引を終えた。1週間で黒田電気株は33.6%上昇した。

10月31日、アジア系投資ファンドのMBKパートナーズ傘下のKMホールディングスがTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表。黒田電気もTOBに賛同を表明したことが買い材料となった。

買収総額は1000億円強となる。TOB価格は1株当たり2720円。MBKは過去6カ月の平均に約30%のプレミアムに乗せて買う。TOBの期間は11月2日から12月15日までで、TOB成立後に黒田電気は上場廃止する。

かつて「物言う株主」として一世を風靡した「村上ファンド」(M&Aコンサルティング、MACアセットマネジメントなどの総称)の関係者は、TOBに応じる意向を示している。

黒田電気の筆頭株主は、旧村上ファンド代表・村上世彰氏の長女、野村絢氏(持株比率9.43%)。次いで、顧問弁護士の中島章智氏(同9.03%)、旧村上ファンド系投資ファンドのレノ(同8.83%)、村上氏の個人会社であるオフィスサポート(同8.14%)。これら旧村上ファンド関係者の持株は合計1398万株、35.43%に上る(17年3月期末現在)。1株2720円で持ち株を売却すると380億円の現金を手にすることになる。

旧村上ファンドグループは2015年3月末に黒田電気の株主として登場した。それから2年半余。旧村上ファンドと経営陣の攻防が続いたが、すでに勝負がついていた。

今年6月29日に開いた株主総会で、レノが提出した社外取締役を選任する株主提案が賛成多数で可決されたからだ。会社側が総会後に開示した臨時報告書によると、株主提案の賛成率は58.64%だった。

レノ側はシャープ向け取引の減少で苦戦する黒田電気に対して、他社との経営統合や自社株買いによる株主還元の拡充を要求した。その推進役として安延申氏を社外取締役に選任するよう求め、認められた。安延氏は村上氏の元上司の通商産業省(現経済産業省)官僚OBで、一橋大学大学院客員教授を務めている。

レノは、15年6月の株主総会で村上氏ら4人の社外取締役選任の株主提案を出したが、この時は否決されている。今回は社外取締役候補を安延氏1人に絞り、旧村上ファンド関係者以外の株主に受け入れられやすいようにした。

黒田電気は総会前の取締役会で、今回もレノ側の株主提案に反対を表明していた。総会の焦点は株主提案が可決されるかどうかだったが、個人などの株主は株主提案に賛成した。

今年6月29日の株主総会の6人の取締役選任では、細川浩一社長の賛成率は54.54%で、かろうじて過半数を上回り再任された。他の取締役の賛成率も1人を除いて54~56%と低く、経営陣に厳しい結果になった。

旧村上ファンド関係者に完敗した経営陣はMBKのTOBを受け入れ、傘下に入ることを選択した。MBKは数年後、黒田電気を再上場させて投資資金を回収するシナリオを描く。

●次の標的はエクセル、三信電気

旧村上ファンドの新女王となった野村氏は次にどこを狙うのか。

野村氏は2枚のカードを持っている。1枚は、独立系エレクトロニクス商社のエクセル。筆頭株主は、2年前まで村上氏が代表を務め、現在は野村氏が代表となっているC&Iホールディングス(持株比率9.49%)。中島氏(同7.20%)も大株主(17年3月末時点)だ。C&Iはその後買い増しして、グループ全体での11月1日時点の持ち株比率は23.28%に高まった。

もう1枚のカードは、半導体商社の三信電気だ。筆頭株主であるC&I(同9.61%)をはじめ、野村氏(同9.60%)、オフィスサポート(4.47%)、中島氏(3.39%)と、旧村上ファンドグループの揃い踏みとなっている(17年3月末時点)。

三信電気のルーツはNEC系で、今ではルネサスエレクトロニクスの半導体を主に扱っている。旧村上ファンド関係者の三信電気株の持ち株比率は10月20日時点で32.98%だったが、その後C&Iが買い増し、11月8日時点で共同保有を含めた保有比率は34.07%に上昇した。

村上氏が指南役となり野村氏はエクセルと三信電気の合併を仕掛けて、高値で売り抜けることを狙っているのではないかとの観測が兜町で飛び交っている。
(文=編集部)

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