沈むデイリーヤマザキ、6期連続赤字で山崎製パンの足を引っ張る

沈むデイリーヤマザキ、6期連続赤字で山崎製パンの足を引っ張る

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  • 更新日:2018/05/11
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2018年1~3月期の連結決算で、デイリーヤマザキを含む流通部門が6期連続の営業赤字となった山崎製パン。かつてはコンビニ大手3社としのぎを削っていたデイリーヤマザキは、なぜここまでの惨憺たる状況にまで陥ってしまったのでしょうか。今回の無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』では店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんが、さまざまな要素を分析しつつその原因を探っています。

山崎製パン、本業好調もデイリーヤマザキ不調で流通事業が6期連続で営業赤字

食パン「ロイヤルブレッド」や菓子パン「ランチパック」などでおなじみの山崎製パンは4月27日、2018年1~3月期の連結純利益が前年同期比19.6%減の37億円だったと発表しました。

同社は日本最大の製パン会社です。コンビニやスーパーなどで同社の製品を目にしないことはそうないのではないでしょうか。

同社の業績はこれまで順調に推移してきました。2017年12月期は、売上高が前年比1.1%増の1兆531億円と15期連続で増収を達成し、純利益が38.1%増の251億円と2年連続で過去最高益を更新しました。

16年8月末に連結子会社のヤマザキビスケット(元ヤマザキ・ナビスコ)が長きにわたって製造・販売してきたビスケットの「オレオ」やクラッカーの「リッツ」など4商品の製造を終了したことで同社の収益が悪化し山崎製パンの連結収益の押し下げ要因となりましたが、食パンやサンドイッチなどが好調に推移し穴埋めする形で連結決算は増収増益となりました。

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しかし、前述した通り18年1~3月期は純利益が大幅に減ってしまいました。

主力の食品事業の売上高は前年同期比2.6%増と悪くはありません。「苺大福」などの和菓子部門が1.8%減と減収でしたが、「ダブルブレッド」などの食パン部門が1.5%増、「ランチパック」などの菓子パン部門が1.5%増、「まるごとバナナ」などの洋菓子部門が2.0%増、調理パン・コメ飯類部門が6.5%増と多くの部門が増収でした。ただ、食品事業の営業利益が前年同期から7億3,000万円減ってしまいました。

食品事業が営業減益となったのは痛手です。しかし、好調だった前年同期の反動減という要素が強く、また、減益額が事業売上高の0.3%程度とごくわずかで誤差の範囲内といえるため、それほど問題視する必要はないといえるでしょう。

問題視すべきは流通事業です。コンビニエンスストアチェーンの「デイリーヤマザキ」「ニューヤマザキデイリーストア」「ヤマザキデイリーストアー」が大部分を占める事業ですが、18年1~3月期の営業損益が5億8,300万円の赤字だったためです。

実は、同社の流通事業は17年12月期まで6期連続で営業赤字が続いています。直近の17年12月期は8億円超の赤字でした。14年12月期には23億円もの赤字を計上しています。好調な食品事業の足を引っ張り続けている状況です。

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ヤマザキ製パンのコンビニ店舗数は減少の一途をたどっています。97年には2,900店程度の店舗網を誇っていましたが、その後は減少が続き、17年12月末には1,553店にまで減っています。店舗数業界5位と言えば聞こえは悪くないのかもしれませんが、経営は厳しい状況にあるといえます。

ヤマザキ製パンがコンビニ運営事業に参入したのは1977年です。デイリーヤマザキが誕生する前に展開していたコンビニ「サンエブリー」が始まりです。翌78年にはコンビニ「ヤマザキデイリーストアー」の1号店が誕生しました。83年には両コンビニで1,000店を達成しています。

初期の頃の国内店舗数はセブン-イレブン・ジャパンとファミリーマート、ローソンの大手3社に劣らない規模を誇っていました。セブンが1,000店を達成したのは山崎製パンよりも3年早い80年のため山崎製パンはセブンに遅れをとっていましたが、一方で、ファミマが1,000店を達成したのは87年のため、ファミマよりも山崎製パンの方が4年早く1,000店を達成しています。

しかし、その後は山崎製パンが失速することになります。セブンは84年に2,000店を達成。ローソンはかつて存在したコンビニ「サンチェーン」との合計で86年に2,000店を達成しています。その3年後の89年にようやく山崎製パンが2,000店を達成しました。

その後、ヤマザキ製パンのコンビニ店舗数は伸び悩みます。現在の店舗数は約1,500店です。一方、セブンとファミマ、ローソンは加速度的に店舗数を伸ばしていきました。現在、セブンは約2万店、ファミマは約1万7,000店、ローソンは約1万4,000店、大手3社合計で約5万1,000店もの店舗数を誇ります。

なぜヤマザキ製パンと大手3社で店舗数にこれだけの差がでてしまったのでしょうか。事業主がメーカーか流通かという違いがまず考えられます。ヤマザキ製パンにおける流通事業はメーカー機能の補完的な意味合いがどうしても強くなってしまうため運営がおろそかになりがちです。そのため、ヤマザキ製パンのコンビニは大手3社と比べ、品ぞろえやクリンリネス、接客といった店舗運営の基本において甘さが目立ちます。これは大きな弱みといえるでしょう。

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とあるデイリーヤマザキの店内。成人雑誌のすぐ近くに、子供向け玩具やお菓子などが置かれている

一方で、山崎製パンのコンビニには00年から始めた店内調理システム「デイリーホット」という独自の強みがあるにはあります。パンや弁当、サンドイッチ、総菜などを店舗内で製造するというもので、設置店舗ではできたてを提供することができます。これは大手3社のコンビニにはない独自の武器といえるでしょう。

ただ、圧倒的な店舗数の差により、その独自の強みがかき消されてしまっています。大手3社は店舗数の多さからくるバイイングパワーがあるため、高品質の商品を低価格で仕入れたり、ブランド力の高さがあるため、好立地の場所に出店することができます。一方、ヤマザキ製パンにはそれらがありません。

コンビニ業界の未来に対する見通しの甘さも指摘できそうです。デイリーヤマザキ(13年7月にヤマザキ製パンに吸収合併され「デイリーヤマザキ事業統括本部」に移行)の当時社長だった田嶋誠氏はコンビニ業界専門誌「月間コンビニ」の07年12月号で次のように述べています。

「コンビニ業態は、ニッチ市場もふくめると、1万店の出店余地があると推測する人もいる。私は1万店という数は難しいと考えている」

この発言からわかる通り、ヤマザキ製パンはコンビニの大規模展開には消極的でした。ただ、現状のコンビニ店舗数の状況に鑑みると、1万店の出店余地があったとする推測の方が正しかったといえます。大手3社は自社競合もいとわずに出店攻勢に打って出たことが奏功しました。山崎製パンも同様に出店攻勢を強めていれば、規模のメリットを享受できるほどの店舗網を構築することができたといえるでしょう。

6期連続で営業赤字が続く流通事業を抱えるヤマザキ製パン。メーカーが本分とはいえ、無駄に赤字を垂れ流す事業があっていい理由はありません。抜本的な改革が必要といえるでしょう。

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