歯列矯正を変えた3Dプリント技術、「破壊力」に投資家も注目

歯列矯正を変えた3Dプリント技術、「破壊力」に投資家も注目

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2019/07/22
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子供のころの最もつらい思い出の一つは、歯列矯正のために装着していたブラケットのワイヤーを調整してもらっていたときのことだ。

今では歯並びを矯正してよかったと思っているが、特に自分に対する自信を失いやすい10代のころには、あの装置を付けているのは恥ずかしことでもあった。口いっぱいに並んでいる金属のブラケットを、隠す方法はなかったのだ。

「消えゆく」金属製

その金属製のブラケットを最近あまり見かけなくなったことに、皆さんは気づいていただろうか?

何百万人ものティーンエイジャーたちの祈りに、米アライン・テクノロジー(Align Technology)が応えたのだ。同社が開発したマウスピース型の透明な矯正装置「インビザライン・システム」は、すでに8000万個以上が販売されている。

それだけではない。インビザラインは初期投資家たちにも大きな利益をもたらした。アラインの売上高は過去10年間で530%増加。19億7000万ドル(約2120億円)に達している。株価も3400%値上がりした。

開発期間は40年

金属製の歯列矯正装置は、1970年代から使われてきた。なぜプラスチック製の器具が開発されるまでに40年以上もかかったのだろうと疑問に思う人もいるだろう。その答えは、私たちには「技術がなかった」ということだ。

アラインは3Dプリンター技術によって、そうした状況を「破壊」した。口の中をスキャンして歯の「地図」を作成し、カスタマイズしたマウスピースを3Dで「プリント」することを実現した。

3Dプリントで作成されたパーツは多くの場合、より軽量で効率的、価格も安い。そして、過去に人間の手でつくられてきたものより精度が高い。さらに、それらは完全なカスタマイズが可能だ。この技術によって、企業は製品の新たなつくり方を考案できるようになった。

例えば、歯並びは人によって異なるため、歯列矯正装置と同様、義歯をつくる場合にも完全なカスタマイズが必要になる。これまでは、少なくとも6回程度は歯科医院に通わなければならず、痛みを伴い、何度もレントゲン写真を撮る場合もあった。だが、3Dプリント技術を用いれば、多くの場合は型を取る必要がなく、通院もせずに義歯をつくることができる。

急速な技術の向上

3Dプリント技術に関して残念な点だと考えられてきたことの一つが、時間がかかることだった。従来の組立ラインと競い合えるほどの速さで生産することができなかったのだ。

だが、この点においても変化は起きている。評価額15億ドルの非公開会社、米デスクトップメタル(Desktop Metal)の大型の3Dプリンターは、その他の数多くのプリンターよりも、100倍近い速さで製品をつくることができる。

デスクトップメタルの調査によれば、同社製の3Dプリンターは1日当たり546個の複雑な形の部品を生産できる。一方、米ゼネラル・エレクトリック(GE)製のプリンターでつくれるのは、1日わずか1ダース分ほどだ。

さらに重要な点は、デスクトップメタルはステンレス鋼、アルミニウムその他の金属にも対応していることだ。初期の3Dプリンターの主な欠点は、プラスチックのようなもろい材料でしかプリントできないことだった。

破壊的な企業は、それまでには不可能だったことを成し遂げようとする。それに成功すれば、投資家たちにも利益をもたらすことができる。3Dプリント技術はちょうど今、そうした位置付けにある。

3Dプリント業界が専門の米コンサルティング会社ウォーラーズ(Wohlers)の調査によれば、同業界は昨年、前年比33%の成長を記録。99億8000万ドルの規模となった。最大手である米3Dシステムズ(3D Systems)の売上高は、過去最高を更新している。

また、調査会社IDCの予測によると、3Dプリント向けの支出額は2022年までに、今年の140億ドルから230億ドルにまで増加するとみられる──3Dプリンター業界は今、静かなブームを迎えようとしている。

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