“女らしさ”に意味なーし!って37歳で悟った/ジェーン・スー×中野信子

“女らしさ”に意味なーし!って37歳で悟った/ジェーン・スー×中野信子

  • 女子SPA!
  • 更新日:2019/08/24

6月27日に発売されたコラムニストのジェーン・スーさんと脳科学者の中野信子さんの対談本『女に生まれてモヤってる!』(小学館)が話題になっています。

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ジェーン・スー/中野信子 『女に生まれてモヤってる!』(小学館)

「女だから」「女なのに」といった言葉に対する苛立ち。

「普通」とされる女の人生コースから外れてしまった!? という不安と劣等感。

こうした多くの女性が抱える「モヤり」、それを生み出している“正体”がおふたりの語りから軽やかにあぶり出されます。ジェーン・スーさんと中野さんの対談を3回シリーズでお届けします(今回はその1回目)。

◆「かわいげがない」って何万回も言われた

――本書にはおふたりの体験も多く語られています。女であることに対し、とくに呪いとして強烈に残っているものは何でしょうか。

スー:若い頃は「私らしさ」を出すとギョッとされるというのが、異性に対しては顕著で、これは大きなダメージでしたね。話につっこんだりおもしろいことを言うと女の子は笑ってくれるのに、男性相手だと押しやアクが強いと受け取られる。弁が立つのは功を奏さないんだって思いましたし、「かわいげが足りない」というのは、何万回も言われていると思います。

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中野信子氏(左)、ジェーン・スー氏(右)

中野:あーそれは私もです。男からというより、大人から言われましたね。私は成績のことで言われることが多く、「男だったらね」「女の子なのによくできるね」「結婚できないんじゃない、そんなにできちゃうと」って。いまでも言われます(笑)。

スー:中野さん、結婚しとるっちゅうねん。

中野:私を講演会に呼んだ人が言うんですよ。「こんなにご活躍されて、旦那さんがかわいそうですね」って。ちょっとびっくりしてしまいますよね。「あなたは、妻が活躍すると自分がかわいそうになるんですねえ?」って思いますし、そんな男と結婚する女性がむしろかわいそう。

スー:そんなこと言われたら「(いいサンプルを)もらった!」って思うよね。

中野:その場では「うふふっ」って言っておいて、講演会本番では「こんなことを言う人いるんですよね」ってお話ししちゃいます(笑)。お名前は出しませんけど。

スー:ただ、それって男性側の「女より活躍していないと男として面目が立たない」というプレッシャーと対なんですよね。どっちもどっちの話なんだけど、それ言っちゃうと話がそこで終わってしまう。だからこそ、「どうして、こうなってるのか?」っていう仕組みを、我々の経験から解説したいというのが、この本の意図したところでもあります。

◆役割として振り分けられた「男」「女」

中野:ありとあらゆる人が、自分で選択していまの状態を選んだわけではありません。生まれた環境も選べないし、満足しているかどうかはさておき、男だろうと女だろうと望んで生まれたわけでもない。気づいたらカードを配られていて、ゲームが始まってしまっている。勝負の仕方からわからない。「どうしたらいいかね、モヤモヤするね」っていうところから語ろう、という気持ちがこの本をつくったモチベーションです。

スー:システムの問題だからね。

中野:男でも「モヤってる」と言いたい人もいると思うんです。でも、それも女のせいではないんですよね。誰が悪いわけでもなく、両方とも困っていて、モヤっている。

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ジェーン・スー氏

スー:個人としての「男」「女」ではなく、役割としてふりわけられた「男」「女」という概念について考えようということ。我々はたまたま、そこに、ひよこがオス・メス分けられるみたいに、振り分けられちゃっただけ。

「我が軍の話だけれど、我が悪いわけではない」ということ。つまり、個人の能力の問題ではなく、期待されている役割の話だと、いい意味で思えるといいんですけどね。女性も男性も。言い方を変えるといいのかな。概念としての男を「トントン」、概念としての女を「ポムポム」と呼ぶとか。

中野:パンダか(笑)。

◆「男って」「女って」の違和感。バカに性別は関係ない

スー:たとえば「女ってバカじゃないですか」って言う人がいるとする。それ聞いたら、女性は全員「カチン」とくるでしょ。でも、それは概念としての男「トントン」と、概念としての女「ポムポム」との話であって、個人の話じゃない。性別と個人の資質が一緒くたにされすぎだから、それを切り離したいんだけど。ポムポムは私個人ではなく私に割り当てられた属性の一つであり……。すみません、わかりづらくなっちゃった。とにかく、友達同士の駄話レベルならいいけど、真顔で「男って、女って」となると……。

中野:男女お互いに「ホント、バカだよね」になっちゃったりする。それはちょっと……バカな人もそれぞれ中にはいるかもしれないけれども。

スー:そうそうそうそう。バカに性別は関係ないぜ!っていうことも本では話しています。

中野:エモーショナルなところではなくて、冷静にフラットに会話をしたい。意見の交換もしたいし、もうちょっとお互いいい感じでやっていきません?っていうことなんですよね。

◆「女らしさ」を脱いでいったらめっちゃ楽になった

――「自分らしく」いられない原因が、単純に割り当てられた概念的な「男」「女」の役割にあって、それは社会のバグであり、システムの問題。だとしたら、解決はより難しい気もします。

中野:死ぬまで解決されない問題、問題そのものを解決するのが難しいとなったら、認知を変えるしかないんですね。でも、脳の性質として、問題を完全に解決するとつまらなくなるんです。解決するとやる気がなくなる。やる気というのは、つまり生きる力のことです。

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中野信子氏

スー:完全なる解決までは長い道のりだとしても、改善はできると思うんですよね。中野さんによると、我々は何かを解決しても、次から次へと不具合を認識していくらしいので、そういう意味でも「完璧な解決」は難しいだろうし。

中野:満たされないのがモチベーションになるという特性があって、解決したと思っても、問題を見つけてしまうんですね。だから、「満たされないことも大事だ」っていうのも裏テーマとしてあるんです。

――おふたりが自分自身を評価できた、自信を持てたのが37歳ぐらいのときとのことですが、何かきっけがあったのでしょうか。

スー:さっき、中野さんが「解決できない問題なら、自分の認知をどう変えていくか」っておっしゃいましたけど、実際、我々は自分たちの認知を変えたことによって、ものすごく楽になりました。 “清楚”とか“協調性がある”とか、誰が決めたかわからない「あるべき女」の定義を一個ずつ、ポコンポコンと手放していったら、「ああ! めっちゃ楽!」「可動性が高い!」って気がついた。

◆幸せの枠はひとそれぞれ

中野:「ここから覗いてくださいね」というフレームを渡されて、小さな頃から「ここから見るものだ」と刷り込まれてきたわけです。「うそなんじゃない?」と薄々は感じつつも、「そういうものだ」って思い込もうと、自ら努力したりさえする。でも、いずれ人間は、別の角度から見える景色の美しさに気づいてしまう。

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中野信子氏(左)、ジェーン・スー氏(右)

「私、こっちのほうが気に入ったから」と自信を持って言えるようになることの豊かさを、衒い(てらい)なく受け止められるようになる。それはすごく気が楽だし、みんなが見ていないから得した気分にもなる。

スー:私たちもそうですけど、みんなと同じことが幸せに直結するわけではない人って男女ともにいると思うんですよ。

中野:もともと、「どうして、その枠にはまらなきゃいけないんだろう?」という疑念は、たぶんふたりとも持っていたんですよね。だけど、世の中で生きていくためには、適応しなくてはいけないっていう強迫観念もあるわけです。

それが、歴史的事実を知ったり、他の国で暮らす機会があったりして日本独特のものだっということに気づく。枠を外す勇気を与えてくれたのは、知識を得たこと、そして人との交流が大きかったと思います。

スー:私の場合、単純に「無理の臨界点」を超えたのが35歳あたりでした。本にも書きましたが、ちょうどその頃、女らしくふるまって結婚寸前までいったことがあるんです。式場の仮予約までしたんですけど。そのときすでに、コップはいっぱいで溢れる寸前だった。中野さんもそうだと思うんですけど、不真面目なんだけど真面目な性格で、「できない」ということが嫌なんです。

中野:一緒ですね。

◆世間一般の“らしさ”に意味なしと気付いた35歳

スー:ふわふわのワンピースとか着て、「素敵な女の子ってこういうことでしょ」みたいなことを35歳にもなって手探りでやっていたわけですよ。だけど、そもそも自分の内側から湧き上がる欲望ではないから失敗ばかり。相手にギョッとされることの連発で、毎日、ビクビクして。

中野:つらいね……。

スー:でも、当時の私はうっとりしていたんですよ、やれていることに。無理難題をひとつずつクリアしているような気持ちだから。でも、当時の自分の写真をみると、マジで気持ち悪いんですよ。顔つきも、髪型も違って、友達が「キモい!」って言うくらい。

やれることなら一生懸命やる!って頑張ってきたけれど、気づいたんですね、「意味なーし!」って。「意味なーし!」って気付いたのが35歳ぐらい、「撤収!」ってなったのが37歳ぐらいかな。

◆彼に合わせようと無理したら、デートに遅刻するようになった

中野:ぁああ。なんか、いろんなことを思い出してしまった。私ももう少し若い頃ですが、条件は申し分なく就職先も超一流という男性とおつきあいしていたことがありました。そのときはいいと思っていて、彼に合わせようと頑張るんだけど……だんだん、つきあい続けたい自分と嫌になっていく自分とが乖離(かいり)していくんです。会いたくてデートの約束をしたのに、待ち合わせの時刻に遅れるようになって。

スー:うわぁ、まるで五月病の新入社員!

中野:もーうね! なんか意図的に遅れるんじゃないの。行けないの、もう。

スー:精神的負荷が強すぎたんだね。

中野:私、ダメなんだって思った。それで別れちゃったんですけどね。あとあと人からいろいろ聞いて、別れたことは間違いではなく、彼を選ばなかったからいまがあるとも思うんですけど。

スー:自分にとって心地よいかわからないのに、「これが世間の正解なんだろう」と、なかば当てずっぽうでトライするのって、キツいんですよね。恋愛なら、なにより相手に失礼だし。そういう思い込みがなくなって、いまは本当に楽。もちろん、人間としては課題も問題もあるので、そこは向き合わないといけないんですけど。

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次回、女性と結婚にまつわるよくある「モヤり」から脱出する術については、近日公開です。

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ジェーン・スー氏(左)、中野信子氏(右)

【ジェーン・スー】

1973年、東京生まれ。作詞家・コラムニスト・ラジオパーソナリティ(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』など)。著書に第31回講談社エッセイ賞を受賞の『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎文庫)や、『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』(ポプラ文庫)、『私がオバさんになったよ』(幻冬舎)など多数。

【中野信子】

1975年、東京生まれ。脳科学者・医学博士・認知科学者。東京大学工学部を卒業後、東京大学大学院医学系博士課程を修了。2008年からフランス国立研究所に博士研究員として2年間勤務した後、帰国。現在は、東日本国際大学教授。著書に『脳内麻薬』(幻冬舎新書)『サイコパス』(文春新書)、『キレる!』(小学館新書)など。また、テレビコメンテーターとしても活躍中。

<文/鈴木靖子、写真/渡辺秀之>

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