【音楽ギョーカイ片隅コラム】Vo.92「働く母の癒やされ処(1)~美容院~」

【音楽ギョーカイ片隅コラム】Vo.92「働く母の癒やされ処(1)~美容院~」

  • BARKS
  • 更新日:2017/11/12
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音楽を好きになり始めた10代では髪の色を茶色、金、ピンク、赤などに染めて楽しみ、20代では就職した先すべての規定が厳しくなかったので色はやや明るめ程度に自粛し、型は当時の流行に乗ってソフトドレッドやゆるふわ系、縮毛矯正などを短いスパンで繰り返した結果、美容師から「触るのもイヤ」と言われるほどまでいじめ倒され、傷めつけられた筆者の髪。音楽好きにはよくありがちな話でしょうが、筆者もご多分に漏れることなく傾倒するミュージシャンを真似てみるなど、自己主張=外見と強く信じていた時期があり、当時の思考では美容院は自分を創りあげる上でなくてはならない非常に重要な存在でした。

その後は渡英を機にカットのみとする休毛期間を設けたことや、異国の人々とその文化に触れたことで自分を形成する上で外見はそれほど重要ではないと考えられるようになったこと、30代になって生活環境に変化が生じたことなどが相まって髪型を変えることへの執着は消えて美容院を重要視しなくなり、いつの間にか髪質も戻りました。それから時が流れ、美容院が再び筆者の暮らしにおいて重要な存在へと変化して現在に至るのは、子に恵まれたことによるライフスタイルの変化に起因します。

まずは妊娠時に、「カラーリング剤やパーマ液が胎児に悪影響を及ぼす恐れがある」という情報に触れてしまったせいで、筆者はカットのみを選択しました。都市伝説かもしれませんが、こうした類いの負の情報は命を宿す身として無視することはできませんでした。

そして産後は、初めての育児に際して余裕がまったくなくなり、髪はおろか、子以外のことに気を配ろうと思うことすらできなかったのは筆者の性分によるところではありますが、お産直前に短くカットしてもらったのを最後に美容院の敷居は一気に高くなりました。とはいえ新生児期はほぼ引きこもり状態でしたから、実際には髪なんぞはどうでもよくて、髪に櫛を通さず鏡も見ないような日々でしたのに、人間とは面白い生き物で、できないと思うとどうしてもやりたくなる衝動に駆られ、「母になると髪すら切れないのか!」「美容院に行きたい!」と現実と反する思いを抱えて悶々としていました。

なんと気負いの大きかったことだろうと今は思いますが、パートナーなどの助けを借りられない俗に言うワンオペ育児は、当時は赤ちゃんを一時たりとも放ってはいけないと思い込んでしまうほどに孤独でした。

そうこうして、ようやく美容院に行けたのは息子が生後6ヶ月の頃のこと。育児に人の助けを借りることを覚えた筆者は、実母に息子を預かってもらって地元の美容院へ行きました。

その美容院を選んだのには訳がありました。新生児は生きるために数時間置きに授乳が必要なので、育児者は数ヶ月間満足に眠ることができない状態が続き、何よりも「寝たい」という状況に身を置いています。そんな中、新たな美容院探しのために時間を割く余裕も、飛び込みで冒険するような気力もなかった当時の筆者にとっては、過去に通ったことがあり、安心してお任せできる美容師さんのいるその美容院の存在は大変有り難いものでした。

あれから2年半経った現在に至るまで、育児、家事、仕事に追われてボロボロの筆者の外見の一部と心を、定期的に、しっかりと整えてくれる栃木の片田舎にあるその空間は筆者の生活の拠り所です。もともとあまりない美への関心が産後さらに薄くなった筆者が唯一美に直結している場所でもありますので、その敷居をまたぐことは美を若干でも意識している証でもあり、女として、なくしてはいけないものをギリギリ繋ぎ止めてくれている所ともいえます。

カントリー調でまとめられた店内には筆者と同世代であるご夫婦のお人柄が醸すアットホームな雰囲気とカントリー・ミュージックが心地よく流れ、人、モノ、BGM、すべてにおいて暖かみの感じられることに癒やされます。つい先日も、夏からの疲れが溜まった髪と心を癒やしてもらった際には筆者の書いた朝霧Jamの記事を読んでくださったという話から3人の子を持つご主人と子連れキャンプ談義に花が咲き、ギアの話で盛り上がったことから5人家族となってサイズアウトしたワハ・ファミリーのテントをお譲りいただきました。

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この狭い音楽ギョーカイにおいては働く母の数は圧倒的に少なく、結婚を機に転職、または家業に専念する人も多いのが実情です。しかし、どのギョーカイで働く人も、家事に専念する人も、様々なものに追われて自分を二の次にしてしまいがちな性分の人も多くあるはずです。世の母たち、父たちよ、どうか育児と仕事の狭間を見つけて自愛することを忘れず、他人とふれ合い、健やかな心をキープして、今日も共に踏ん張ってまいりましょう。

写真・文:早乙女‘dorami'ゆうこ
協力:ヘアーズホームWA☆HA

◆早乙女“ドラミ”ゆうこの【音楽ギョーカイ片隅コラム】

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