インタビュー:村山彩 旅先で何を食べる? トライアスリートの体を作る食事【特集:トライアスロンと旅】

インタビュー:村山彩 旅先で何を食べる? トライアスリートの体を作る食事【特集:トライアスロンと旅】

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  • 更新日:2018/02/15
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長いレースでは10数時間もの間身体を動かし続ける競技、トライアスロン。一般人から見ると「超人的」とも思えるスポーツですが、それを可能にする食事とはどんなものなのでしょうか? また、海外遠征の際の食べ方や食べるものの選び方のコツとは? 全5回に渡ってお届けする特集「トライアスロンと旅」。今回はアスリートフードマイスターで、自らトライアスリートでもある村山彩さんにお話を伺いました。

■特集「トライアスロンと旅」全5回
1. 対談:謝孝浩×酒井絵美 トライアスロン旅の楽しさを語ろう
2. インタビュー:村山彩 旅先で何を食べる? トライアスリートの体を作る食事
3. 対談:角田尚子×宮塚英也 ハワイとトライアスロン――その深い関係(2018.02.21 UP)
4. 旅の醍醐味が味わえるトライアスロンレース(2018.02.28 UP)
5. レース前の休息 海外でぐっすり眠るためには(2018.03.07 UP)

――まずはトライアスロンというスポーツにおける食の重要性を教えてください。普通の人の食事とは、どこが違うのでしょうか?

村山 トライアスロンは「ショート」※1と言われる短いもので3時間前後、「ロング」※2では最長16~17時間もの間続く競技です。こういった持久系スポーツに不可欠な栄養素といえば、エネルギー源となる糖質です。ご飯やパン、パスタなどがそれに当たります。アスリートにとって糖質とはいわばガソリンで、切れてしまうと動けなくなってしまいます。レース中だけではなく、普段も日々、時には1日2回2種目をトレーニングしている人も多いトライアスリートは、普通の人の食事よりも主食となる糖質は多めに摂った方がいいでしょう。

※1ショート:スイム1.5km、バイク40km、ラン10kmで行われる種目。オリンピックのトライアスロン競技がこの距離のため「オリンピックディスタンス」とも呼ばれる。

※2ロング:スイム3.8km、バイク180km、ラン42.2km。アイアンマンと呼ばれるものがこれ。競技の制限時間は16~17時間ほど。

村山 もちろん糖質だけ摂ればいいわけではありません。身体を作る素となるのがたんぱく質。さらには脂質も大事です。これらは肉、魚、卵、大豆製品などから。そして栄養を身体にうまく回す役目を果たすビタミン、ミネラルが摂れる野菜、海藻、きのこ類も。つまりは、バランスのいい食事ということですよね。

――トップ選手も同じ食事なのでしょうか?

村山 リオで金メダルを取ったアメリカの女子選手、グウェン・ジョーゲンセン選手の旦那さんのパトリック・レミューさんはよく食事メニューや買い物の中身をインスタグラムにアップしているのですが、それを見ても食べているものは肉や野菜、フルーツ、米、パスタなど普通のもの。ただ、フレッシュな状態ものをバランスよく食べているし、ケールなど栄養素が高い食材がよく登場していて、食への意識の高さもわかります。

――食べ方にもコツはあるのでしょうか。

村山 食べたものをしっかり身体に取り込むことも大事です。そのためには1日3食+間食や、5食などがおすすめです。逆に朝食を抜いてお昼と夜にドカ食いするような食べ方はNGですよ。一気にたくさん食べても身体が消化できる量や体に効率よく摂り入れる量には限界がありますから。

――手軽に取り入れられる理想的なアスリート食材はありますか?

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村山 なんといっても納豆。発酵食品なのでただの大豆を食べるよりも、アスリートにも是非意識してほしい「腸内環境改善」に繋がるなどおすすめです。そして日本ならどこでも売っているし、安価です。そして調理も不要。すべてにおいて理想的。サポートしているボルダリング日本代表選手にもお菓子の代わりの間食でとってもらっています。あとは味噌汁もいいんですよ。アミノ酸や塩分が含まれているので天然のスポーツドリンクみたいなものです。味噌と具材、出汁をまぜてまるめた味噌玉は、作り置きしておくといつでも手軽に味噌汁が飲めて便利ですよ。

――こんなに普通の食べ物が理想のアスリート食とは逆に意外です。

村山 もちろん他にもいい食材はたくさんあります。でも高かったり、手に入りにくかったりするものも多い。そうなると続けられなくなってしまいます。一番大事なのは継続すること。その意味で、こういった身近な食材は最強なんです。

――では遠征先、特に海外ではどんな食べ方がいいのでしょう?

村山 レース前、コンディションを整えるためには、やはり食べ慣れたものを食べることをおすすめしたいですね。食べ慣れない現地の料理はレース前にはリスクが高いと思います。私自身が海外レースに行く時は、レトルトパックのご飯や真空パックの魚、うめぼし、味噌汁の素や粉末の青汁などを持参します。食べ慣れたものと言っても、衛生面を考えると手作りのものはよっぽど意識した環境でない限りは避けた方が無難でしょう。現地で調達できるもので安心なのはバナナやパンなどですね。「これを食べたらパフォーマンスが上がる」というものなんてありません。大切なのは、練習してきたことを100%発揮できるように体調を整えることなんです。

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――ということは、お酒は……?

村山 ありきたりですが、レース前は控えるべき、と私はみなさんに言っています。お酒を飲むことで身体に負担をかけてしまうと、何ヶ月もがんばってきたトレーニングがそれこそ台無しですからね。トライアスロンはスイムもあるので、前日飲みすぎると危険でもあるんです。お酒はぜひ、完走後までとっておいてくださいね。メリハリが大事。我慢した分美味しいと思います!

――レース中もエネルギーを補給するということですが、どんなものを?

村山 ガソリンとなる糖質をどうやって摂るか、ということを考えてください。多くの人は手軽に携帯できるジェルを使いますが、市販のジェルが1個120kcalほどだとして、1時間に消費するエネルギーとレース時間から計算すると、いくつ持てばいいかがわかるはずです。一方で、疲労や暑さなどで身体がジェルを受け付けなくなることも多いんです。その時に備えて、食べ慣れた普通の食べ物、例えばナッツやカステラ、ういろう、ワッフルといったものを用意しておくのも手です。このあたりは人によって千差万別なので、過去のレースや練習の中で自分オリジナルのやり方を編み出していかなければなりません。私はジェルとスポーツドリンクの甘ったるさをリフレッシュするために酸味のあるプチトマトを途中で食べたこともありました。いずれにしろ、強いアスリートは必ずといっていいほど勝負食を持っています。

――レース後はどうでしょう? リカバリーに効く食べ方はありますか?

村山 20~30分以内に糖質とたんぱく質を摂ることが大事です。ただ、この時間帯はまだレース会場にいる場合がほとんど。すぐに食べ物にありつけないこともあります。ゴール後の着替えの袋の中にアミノ酸入りのゼリーなどを入れておくのもひとつの手です。そしてその日の夕食にはたんぱく質と糖質は必須。ビタミンやミネラルも不足しているはずですから、野菜も忘れずに。胃も弱っているのでビールで流し込んだりせず、よく噛んで食べるようにしてください。その点では、以前台湾のレースで出たお粥はよかったですね。

食の力は偉大です。栄養補給だけでなく、時にはレース中に勇気をくれたり、気分転換になったり。食を味方につければ、アスリートライフはもっと楽しくなると思いますよ。

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村山彩 Profile
ロバスト株式会社代表、食欲コンサルタント、アスリートフードマイスター。アスリートの食事指導やダイエットレシピ開発などを行う。著書に『あなたは半年前に食べたものでできている』『豆皿しあわせレシピ』などがある。自らトライアスリートとして数々の大会に出場。2012年館山トライアスロン優勝。

取材・文/東海林美佳 撮影/後藤秀二

■特集「トライアスロンと旅」は全5回の連載企画です。次回は、トライアスロン専門誌『LUMINA』編集者の角田尚子さんとトライアスロン界のレジェンド、宮塚英也さんがトライアスロンの聖地・ハワイについて語り合います。

1. 対談:謝孝浩×酒井絵美 トライアスロン旅の楽しさを語ろう
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4. 旅の醍醐味が味わえるトライアスロンレース(2018.02.28 UP)
5. レース前の休息 海外でぐっすり眠るためには(2018.03.07 UP)

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