なぜ10月に「給料の手取り額が変わってる!」と驚く声が多いのか

なぜ10月に「給料の手取り額が変わってる!」と驚く声が多いのか

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  • 更新日:2019/06/13
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毎月の給与や賞与から天引きされる厚生年金保険料。年度の途中にその額が変わり一喜一憂、などというケースもよく聞かれますが、どのような方法で保険料は決められるのでしょうか。今回の無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』では著者のhirokiさんが、給料額に影響を及ぼす厚生年金保険料の計算方法を解説しています。

4、5、6月に貰う給与は将来の厚生年金額に影響し、徴収される保険料にも大きな影響を与える

僕は記事を書く時に「標準報酬月額」とか「標準賞与額」っていう用語をよく書きます。この標準報酬月額という用語を書くたびに読者様に何それ?って思われるだろうなという不安がよぎるんですよ(笑)。でもこれは将来の年金額を計算する時に重要なモノであり、この額により将来の厚生年金額も左右されます。だから時々こうやって標準報酬月額の事を記事にして説明しています。

ザックリ言うと標準報酬月額というのは年金計算に使う時の給与額です。60歳以上の在職中の年金受給者の年金停止額を算出する時もこの標準報酬月額を使います。よって年金を理解する時には標準報酬月額とか標準賞与額というのはある程度の基本的な事は必ず覚えておかなければいけないものです。

そして皆さんが会社で厚生年金に加入して働く時に、給与を見るとそこから厚生年金保険料や健康保険料が引かれてますよね。あれって、直接給与から保険料率をかけて天引きされてるというふうに見えますが、そうではありません。毎月決まった標準報酬月額に保険料率をかけて出した保険料額を給与から天引きしています。だから単純に給与に保険料率をかけても保険料金額が合わないです。

ちなみに賞与からも厚生年金保険料率をかけて、保険料が賞与から天引きされますが、こちらも実際の賞与からではなく標準賞与額に保険料率をかけて保険料を徴収します。

標準賞与額は毎回支払われた賞与(年3回以内の支払いに限る)の1,000円未満を切り捨てた額に保険料率をかけて徴収されます。ただし、どんなに高い賞与を支給されても標準賞与額の限度は150万円になります。

今の厚生年金保険料率は18.3%ですが、実際は事業主と社員で半分して支払うので社員の支払い分は9.15%。たとえば7月に1,000万円、12月に800万円の賞与が支給されても、標準賞与額は1回の支給につきそれぞれ150万円が限度なので、7月と12月にそれぞれ150万円×9.15%=137,250円が賞与から天引きとなる。

標準賞与額に関しては単純ではありますが、毎月厚生年金保険料や健康保険料徴収に使われる標準報酬月額は一体どうやって決められてるのでしょうか?基本的には4月、5月、6月に貰う給与収入(報酬)の平均で向こう1年間の標準報酬月額が決まってしまいます。なお、新しい標準報酬月額が適用されるのは9月から翌年6月までの1年間です。

厚生年金保険料はその月の分は翌月の給与から天引きします。つまり9月分の保険料は10月の給与から引くという事です。10月になるとなんだか保険料天引き額が変わって、手取り額が変わってる…(・・;)!というのはそういう事です。

巷でよく、この3ヶ月に働きすぎて標準報酬月額が高くなって天引きされる保険料が高くなってしまった~!とか、逆にあんまし給料が高くなかったおかげで標準報酬月額が下がった事で保険料が下がって嬉しい!という声がありますよね。だからこの6月までの3ヶ月の時期に貰う給与は標準報酬月額に影響を与えるので大事な月ではあります^^;

なお、給与と書いてますが何も基本給に限った事ではなく、給料とか賃金、手当、報酬などの名称がどうであれ「労働の対償として会社から支払われるすべてのもの」が対象になります。食事や住居などが現物支給の場合も時価に換算して含まれます。ただし、臨時に支払われるものは含まない。

たとえば基本給が35万円、皆勤手当が1万円、通勤手当が3万円、残業手当が3万円、住宅手当が4万円なら合計の45万円が給与収入(報酬)となる。

とりあえず計算で示しますと去年の月の給与収入(報酬)が4月は450,000円、5月は478,000円、6月は533,500円だったとします。

この3ヶ月の報酬合計は

450,000円+478,000円+533,500円=1,461,500円

報酬を平均すると

1,461,500円÷3ヶ月=487,166円

となります。この487,166円を標準報酬月額表というものに当てはめます。

標準報酬月額表(協会けんぽ東京都)

485,000円以上から515,000円未満の間に入るので、この場合の標準報酬月額は50万円になります。この50万円の標準報酬月額が平成30年9月から令和元年8月まで適用されて、この1年間の保険料は50万円×9.15%=45,750円となるわけです。

途中で見た目の給与が上がろうが下がろうが、この標準報酬月額50万円に9.15%をかけた45,750円が徴収され続ける。そのように保険料率をかける金額を1年間統一する事で徴収事務の煩雑を軽減させています。

じゃあ、令和元年度の4月の給与(報酬)支払い分から上記の住宅手当が4万円無くなったとします。あと、6月は休みが多くて勤務日数が15日しかなかったとします。そうすると平成31年4月の報酬は41万円+令和元年5月の報酬は438,000円=848,000円。

あれ?6月は?と思われたかもしれませんが、この3ヶ月の間に勤務日数が17日に満たない月は省かれます。よって848,000円÷2ヶ月=424,000円が平均報酬となり、これを標準報酬月額表に当てはめると、395,000円以上425,000円未満の間に入るので令和元年9月から適用される標準報酬月額は41万円となる。

令和元年9月から標準報酬月額が41万円になるので保険料率9.15%をかけると37,515円が翌月10月分の給与から天引きになる。平成30年9月からの45,750円の保険料額から令和元年9月分(10月給与から天引き)の保険料額から37,515円に下がった。この標準報酬月額の決め方を定時決定といいます(算定ともいう)。

原則はこうですが、初めて厚生年金に加入した人の場合はどうなるのか。たとえば令和元年11月に中途採用で入ったとか。その令和元年11月に入社した人は厚生年金資格を取得した時の給与(報酬)の見込み額で決める。資格取得時決定という。

例えば11月の給与と手当の条件が、給与20万円、通勤手当3万円、残業手当15,000円だったら総計245,000円になりますよね。標準報酬月額表に当てはめると23万円以上から25万円未満の間に当てはまります。だから標準報酬月額は24万円になる。

じゃあいつまで?というと、翌年令和2年8月までの適用となります。厚生年金資格を1月から5月までの間に取得したらその年の8月まで適用し、6月から12月の間に取得したら翌年8月までの適用です。

では最後に、年の途中で大きく給与(固定給)が変動した場合は随時で標準報酬月額を変更します。たとえば基本給が35万円、皆勤手当が1万円、通勤手当が2万円、残業手当が3万円、住宅手当が4万円なら合計の45万円が毎月の給与(報酬)だった人が、令和元年10月から新たに技能手当4万円が付く事になったとしましょう。合計の給与が45万円だったから、標準報酬月額に当てはめると44万円だった人。

まあ、技能手当が増えて報酬の総額が49万円(標準報酬月額表に当てはめると等級が2等級上がって50万円になる人)まで上がりましたよね。準報酬月額の等級が2等級上がってる状態が3ヶ月続くと4ヶ月目から新たな標準報酬月額に変更になります。

つまり、45万円の報酬(標準報酬月額44万円)だった人が令和元年10月、11月、12月まで49万円(標準報酬月額50万円)の状態が続くと令和2年1月から新たな標準報酬月額50万円に変更となります。これを随時改定といいます。1月から6月の間に随時改定されたらその年の8月まで適用し、7月から12月の間に随時改定したら翌年8月まで随時改定による標準報酬月額を用います。

※追記

4、5、6月の平均を取るのが原則ですが、業務の性質上他の月に比べて著しく変動する場合は、直近1年(去年の7月から今年6月まで)の平均と比べて2等級以上の差が出る場合は、直近1年の平均を標準報酬月額として使う事ができる。

ちなみに天引きされる保険料を下げたいから給与額を減らして標準報酬月額を下げたいと思い人も多いですが、標準報酬月額は将来の厚生年金額に影響を与えるので、標準報酬月額が高かった人ほど老齢厚生年金、遺族厚生年金、障害厚生年金額は高くなる。標準報酬月額が低かった人は厚生年金額が低くなる。

image by:Shutterstock.com

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