長打力アップの秘訣は「それ、僕に聞きますか?(笑)」 元帝京・森本稀哲に聞く 球児に贈る練習法 バッティング上達編

長打力アップの秘訣は「それ、僕に聞きますか?(笑)」 元帝京・森本稀哲に聞く 球児に贈る練習法 バッティング上達編

  • スポーツナビDo
  • 更新日:2019/08/18
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1998年に名門・帝京高校の主将として、夏の甲子園に出場した森本稀哲さん。プロでは、北海道日本ハムファイターズで主にリードオフマンとして活躍。「打つ」「走る」「守る」のすべてにおいてファンを魅了し、2006年のリーグ優勝、日本一に貢献しました。今回は、そんな森本稀哲さんにバッティング上達の極意を教わりました!

実戦を想定してフルスイングの素振りを!

――「素振り」の大切さは、今も昔も変わりませんか?

高校生もプロもみんな素振りをしています。ただ僕は100回、200回と数をこなせばいいわけではないと思っています。カウントやランナーの状況、ピッチャーのボールの軌道やコースを想定してフルスイングで振ったら、20〜30スイングくらいでもいい。自分でコースを意識して、しっかり振る素振りをした方がイメージトレーニングにもなりますし、スイングスピードも上がります。僕は高校時代、自宅では素振りしかしていませんでした。

――グラウンドではどんな練習が効果的でしたか?

人も場所も取らずにできるティーバッティングは僕の土台を築いてくれました。「スイングをしっかり固める」、「ボールを捉える感覚」はティーバッティングですごく養えたと思います。高校時代、大会中にものすごく調子が悪くなったときがあって、前田三夫監督に「ちょっとたたきすぎている」と言われたことがあったんです。試合が終わってから2人で学校に戻って、ティーバッティングをしながら「ゴルフスイングみたいに振れ! それくらい極端に振った方が今のお前には合っている」と言われて、それで調子を戻して、次の試合でホームランを打つことができました。

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森本さんをはじめ、幾多のプロを輩出してきた帝京高校の名将・前田三夫監督

――「当てよう」とし過ぎていたのでしょうか?

プロのバッターでも「当てよう」という意識が強すぎると、キャッチャー側の肩(右バッターの場合右肩)が無意識にピッチャーの方へ近づいていくんですよね。そうなると「ゆるむ」んです。当然、右肩が前に出るよりも、後ろに残して振り抜いたほうが力強いスイングができますよね。僕は調子が悪くなってくると、肩がだんだんと前に出てきてしまう。そんなときはゴルフスイングのように反対方向へ打つ練習をして修正していました。この高校時代の経験をプロになっても生かすことができました。

――プロではリードオフマンだった森本さんは、実は高校時代に通算34本塁打を放っています。長打力アップの秘訣も教えてください。

それ、僕に聞きますか(笑)? でも、トレーニングでパワーをつけるのはひとつの方法ですが、当てに行かないでしっかりとスイングすることが条件のひとつです。当然、当てにいこうとすると力が入りません。強くたたこうとすると強く振れます。でも、上体の力はできるだけ抜いたほうがよくて、必要最小限の力加減ですね。「力は勝手に入る」ものなのでインパクトで力を入れようとすると逆に力が逃げてしまうんです。インパクトはあくまでも通過点。インパクトの瞬間でいかにヘッドを走らせられるかを追求していくほうががいいと思います。

――自分がどんなバッターのタイプか把握することも大切ですか?

でも、それは監督が見つけてあげることじゃないかな。高校生の段階で「自分はこういうタイプ」と決めつけてしまうと、幅がすごく狭まってしまう気がします。だから、高校生のみなさんには、いろんな練習をしてほしいです。「今日はホームランを打ってみる」、「今日はライナーだけ打つ」とか。毎日テーマを決めて練習に取り組めば、いろんなことが見えてきます。漫然と来たボールを打っているだけじゃ面白くないでしょ。

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打順が何番であろうと「自分らしさ」を大切に!

――とはいえ、実際の試合で練習の成果を出すにはメンタルも重要だと思います。森本さんは打席でどんなことを考えていましたか?

僕は高校2年生の秋くらいまでは、自信もあったし、ただただホームランを狙っていました。高校最後の夏に限っては、劣勢の展開のときに「突破口を開かなきゃいけない」、「塁に出るために広角に打たないといけない」と、打席で考えていました。自分はプレッシャーとは無縁なタイプだったんです。怖さを知らないというか(笑)。

――怖さを知ったのはプロに入ってからですか?

そうですね。チャンスで自分に打順が回ってきそうなときに、前のバッターに「先にランナーを返してくれ」とか思い出したのは…。高校まではピッチャーのレベルもプロほど高くないですし、イケイケでいけたんです。高校時代は練習や練習試合で委縮している選手を見て、「もっと思い切ってやればいいのに」と、そのときはただ思っていました。気持ちも分からずに…。

――弱気な自分をどう克服されたのですか?

プロで1軍に昇格してプレッシャーを感じたときもありましたけど、レギュラーを獲ってからまた自信が出てきてイケイケでしたね。4打席打てなくても「最後にいいところで打てばいいでしょ」くらいの図太さがありました。でも、2008年にケガをして結果が出なくなったときに、打順が1番から2番になったんですよ。2番になってから、1番の(田中)賢介と3番の稲葉(篤紀)さんがうまく打席に入れるように調整しないといけないとか考えるようになって、「自分らしさ」がなくなっていきました。弱気な部分がまた出てきたんです。いま思うと、結果的には一緒だったんですけどね。1番でも2番でも「自分らしさ」を出さないといけなかった。自分で考えすぎてしまったかなと。

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――2番を打っている高校生にアドバイスはありますか?

2番どうこうよりも、大切なのは「自分の長所はなんですか?」というところですよ。2番らしいプレーができる選手はいっぱいいますが、自分らしくプレーできる選手は自分1人だけ。自分らしさを出して2番を任せられるということは、監督はその選手らしく2番を打ってほしいと思っているんです。選手は2番らしくやろうなんて考えなくていい。試合の中で、例えばランナー1、2塁。ここはつなぐバッティングが求められていると。引っ張ってホームランを打っても3点しか入らない。つないだらもっと点が入る可能性が出てくる場面で、「じゃあ反対方向に打った方がいいですよね」と。しかも1、2塁間が空いている。「その1、2塁間に打った方がチームのためにも、自分のためにもベストだ」というように、状況を考えながらプレーすることは、打順関係なく全員共通なんです。

――右打ちの極意を教えてください。

右打ちの極意は体で覚えるしかないですね。さっきと一緒で、右に打とうとすると当てようとして、肩が前に出て引っ掛けさせられるんですよ。自分のお腹付近で反対方向への感覚をつかんで振り切ってほしいです。

真ん中からアウトコースのストレートを反対方向に打つ感覚だけは練習で絶対に養える。そのボールが来た時に100パーセント捉えられる自信があれば、変化球が来ても応用しやすいです。調子が崩れたときにまた、外のストレートを反対方向へ打つ感覚を自分でつかんでいれば、修正は易しいと思います。

毎日の練習でいろんなことをした方がいいと先ほど言いましたが、つなぎのバッティング、ランナー1塁のときにどうやったら自分が思い切って打てるかという想定をして、練習していくことも大切です。

――最後に、高校時代はバット選びのこだわりはありましたか?

そこは憧れですよね(笑)。あの選手が使っていたからとか、この先輩が使っていたからとか。僕は中学生の時に見に行った帝京の試合で、ミズノの「701」がものすごくカッコよく見えたんです。高校に入ってもそのバットを使いました。でも関西の選手はSSKが多かったかな。バットによって全然弾き方も感触も違いますよ。僕の中では「701」が憧れだったし、それで結果も出たので、最高のバットでしたね(笑)。

■プロフィール
森本稀哲(もりもと・ひちょり)
1981年1月31日生まれ。東京都荒川区出身。帝京高校では主将として、第80回全国高校野球選手権大会に出場。内野手として活躍し、高校通算34本塁打を記録。1999年にドラフト4位で日本ハムファイターズ(現北海道日本ハムファイターズ)に入団。2006年には1番レフトとして活躍、チームを日本一に導く。新庄剛志、稲葉篤紀とともに鉄壁の外野守備を形成し、3年連続ゴールデングラブ賞を受賞(2006年、2007年、2008年)、2007年にはベストナインに選ばれた。2011年に横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。2014年に埼玉西武ライオンズへテスト入団し、翌2015年に現役を引退。現在は野球解説やタレントのほか、ビジネス関係の講演など幅広く活躍中。

(取材・文/株式会社スリーライト)

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