「がんの新常識」意外に知らない医療の最前線

「がんの新常識」意外に知らない医療の最前線

  • 日刊大衆
  • 更新日:2017/11/24
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「がんの新常識」意外に知らない医療の最前線

医学の世界は「日進月歩」。少し前まで当たり前だった療法や診断が、今では時代遅れの場合もあるという!

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■副作用が少ない“標的型抗がん剤”

日本人の2人に1人が生涯で1回はがんになり、男性の4人に1人、女性の6人に1人が、がんで命を落とす時代。81年から日本人の死因のトップを独走しているこの疾病、ナノテクノロジーやコンピュータ解析技術などの進歩で、この十数年、診断法や治療法なども飛躍的に進歩している。たとえば抗がん剤。かつては「副作用が死ぬほどきついわりには、効果がそれほど期待できない」というのが一般的な印象だったかもしれない。しかし最近は「副作用が少なく、よく効く抗がん剤」が治療現場で使われるようになっている。

「従来の抗がん剤は副作用が大きく、思ったような効果が出なかったのは、薬が体全体に作用することも大きかったのです」 こう解説するのは医療ジャーナリストの牧潤二氏。科学の発展により、がん患部にピンポイントで薬剤が到達する“標的型抗がん剤”が開発されたというわけだ。

■「免疫療法」が医療の現場で注目

さらに最近は、自分の免疫力でがん細胞をやっつける「免疫療法」が医療の現場で注目を集めている。「大阪大学の保仙直毅准教授が11月6日付の米医学誌に発表した多発性骨髄腫の免疫療法も、その一つです。骨髄のがん細胞を死滅させる免疫細胞を遺伝子操作で増やし、これを体内に再び戻して、がんを攻撃させる方法で、自分の免疫細胞を使うため副作用が格段に少なくなる利点があります」(健康雑誌記者)

●抗がん剤、手術、放射線治療以外にも有効な治療法が

この骨髄腫の免疫療法は19年から治験がスタートする予定だというが、すでに医療現場で使われている免疫療法もある。京都大学が開発し、小野薬品が製造販売する『ニボルマブ』がソレ。これは、がん細胞を直接叩く抗がん剤ではなく、がん細胞の“抵抗力”を弱める作用がある。これで抵抗力が弱まったがん細胞を、リンパ球など自身の免疫システムで殺すから、副作用も少なくてすむのだ。ただし、「以前の半分になったものの、ひと通りの治療を行った場合、『ニボルマブ』の薬価は1750万円と、かなり高価です」(前出の牧氏)

幸いにも、この抗がん剤は保険適用されるので、患者の負担は高額医療扶助を使えば10万円くらいですむ。とはいえ、これはつまり、国の負担がかなり大きいという意味でもある。「このため、今は悪性黒色腫――いわゆる皮膚がんなど、数種のがんにしか保険適用がされていません。ただ、今後は『ニボルマブ』のように自身の免疫力で、がん細胞をやっつける治療薬が増えてくると思います」(前同)

なお、がん治療の三本柱と言えば、1・抗がん剤(化学療法)、2・手術(切除・摘出)、3・放射線治療といわれてきた。この3つが保険適用の治療法とされてきたが、ついに『ニボルマブ』のような免疫療法の医薬品も治療薬として認められたというわけだ。

■『がんゲノム医療』も保険適用される見込み

さらに、もう一つ。抗がん剤や放射線治療の効果を上げて副作用を低減させることが期待される『がんゲノム医療』も、がん治療として保険が適用される見込みだという。平たく言えば、ゲノムとは遺伝子のことで、「抗がん剤や放射線の効果は個人差が大きいんですね。どんな抗がん剤が効くのか、放射線治療がどのぐらい有効なのかを、あらかじめ患者のゲノムを調べて効果や副作用を見極めるというものです。来年度から、このがんゲノム医療も保険が適用される見込みです」(同)

■厚生労働省では“がん診療連携拠点病院”を指定

さて、ひと昔前は、がんと診断されたら、「どこの病院で治療を受ければいいのか」「仕事は、どうなるのか」「もしかして死ぬんじゃないか」などという不安や心配があったが、最近のがん医療は、これもシステム化しているという。「厚生労働省では都道府県・地域単位で、がん治療の中核となる“がん診療連携拠点病院”を指定して、ここでがん患者に対応するよう体制を整えました。現在、こうした拠点病院は全国に434病院あり、保険が利く一般的な治療を誰でも受けられます」(同)

●『緩和ケア』と『がん相談支援センター』の設置を義務づけ

こうした拠点病院では『緩和ケア』と『がん相談支援センター』の設置が義務づけられているという。『緩和ケア』は、がんを告知された患者の精神的ケアなどを行い、『がん相談支援センター』は治療費の相談や治療中の仕事、職場への対応などの相談に乗ってくれる。さらに、『相談支援センター』には治療法などに関するセカンドオピニオンについてアドバイスする部署があるところもある。拠点病院は心のケアや費用、仕事のこと、治療の不安についても相談に乗ってくれるというわけだ。

■内視鏡検査や胃カメラの進化

最近は、検査や診断の技術も格段に進歩し、古い常識が通用しなくなってきている。特に進化したのが胃や腸、肺の内視鏡検査だ。かつて「胃カメラは死ぬほど苦しい」「大腸内視鏡が痛くて全身麻酔をしてもらった」という体験をした向きも少なくはないだろう。だが、医療機器と技術の発達で、こうした苦痛が大幅に緩和している。大腸内視鏡検査を診療科目に取り入れる『野村消化器内科』の野村喜重郎院長によると、「大腸検査は5分ぐらいで終わる」と言う。「昔と比べて可動性が高いので、腕がいい医師なら患者が痛がることもほとんどありません」(野村院長)

ちなみに大腸がんは、部位別死亡数2位のがん。しかし、「2年に1回の内視鏡検査を受けると、大腸がんリスクがほとんどなくなる」(前同)と言う。「検査をしているとき、疑わしいところは切除して早期がんの芽を摘み取るからです」(同)

胃カメラも同様で、差し入れる管の先端はいよいよ細くなり、苦痛が少ない鼻入れ方式の機器を導入する病院も増えている。

■バリウム検査は見落としやすい

こうした内視鏡の進化で相対的に地位が低くなったのが、胃の検査でおなじみのバリウム検査だ。「検査の苦痛は少ないのですが、胃カメラと比べて小さな病変を見落としやすいのです。バリウム検査をして異変が見つかったときは、改めて胃カメラで検査をすることになります」(同)

バリウム検査はがん患部の見落としがあるうえ、疑わしいときは胃カメラで再検査になるというわけだ。

■1滴の血液で肺、胃、大腸など13種類のがんを発見できる!

健診でがん検診を受けるときは部位ごとに検査しなくてはならないが、これも大きく変わる可能性がある。国立がん研究センターがなんと「1滴の血液で肺、胃、大腸、食道、肝臓、膵臓など13種類のがんを発見できる新検査法」を開発したのである。この検査法は、がん細胞から血液中に分泌されるマイクロRNAという物質を検出して行う。がん患者ら約4万人の保存血液で実験したところ、ステージ1の初期がんを含め、13種すべてのがんで95%以上の確率で診断できたというのだ。一度に複数種のがんを早期発見できる検査法は、世界でも初めて。この検査法は3年以内に事業化申請の予定だとか。

「実際のがん治療では、どこに、どのぐらいの大きさのがん細胞があるか、詳しく調べなくてはならないため、生検などが必要になるのでしょうが、早期の段階でいくつもの検診ができるのは、がんの早期発見の有力なツールになると思います」(牧氏)

最後に、野村院長が次のように締めくくる。「がん医療は患者数が多いだけに、日進月歩で検査法や治療法が進歩しています。がんの疑いがあるときは、なるべく早く検査を受ける。これが、がんを回避する一番の方法だと思います」

古い「常識」に固執せず、ぜひとも新しい知識で治療に臨んでもらいたい。

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