「作っても売れない」 悩む中国のEVメーカー

「作っても売れない」 悩む中国のEVメーカー

  • WSJ日本版
  • 更新日:2017/11/20
No image
No image

【広州】中国の自動車業界は政府の指示に従い、販売できる台数以上の電気自動車(EV)を生産している。だがEVの売れ行きはまだ宣伝ほど盛り上がってはいない。

中国政府は自動車メーカーに対し、2019年は総生産台数の3〜4%前後をEVとするよう要求している。だが広州国際モーターショーに参加した各社は、買い手を呼び込み、さらに利益を生み出すことの難しさを認めている。

ドイツのフォルクスワーゲン(VW)はエコカー生産目標の達成に向け、20年までに40万台のEV生産を目指している。だが中国事業を統括するヨッヘム・ハイツマン氏は、消費者だけにそれほど多くの車を販売できると予想するのは非現実的だと指摘する。ハイツマン氏によると、VWは消費者が車を共同で利用するカーシェアリングサービスなどで余剰分を吸収するなど、その他の選択肢を検討している。

EVは既に供給過剰の状態にある。業界団体の中国汽車工業協会(CAAM)によれば、今年1〜9月のEV生産台数は42万4000台。一方、販売台数は39万8000台にとどまった。アナリストらは、このうち消費者に販売した割合は4分の1程度にすぎず、残りは国営のタクシー会社や公共サービスが購入したとみている。

ドイツのダイムラーの中国統括責任者、フベルトゥス・トロスカ氏は「顧客はEVに多額の代金を支払うことに二の足を踏んでいる」と語る。気前のよいEV購入補助金があっても、ガソリン車との価格差は大きい。中国政府は20年にEV補助金を打ち切る計画だ。

それでも、自動車メーカーは取り組みを加速させている。米フォード・モーターは先週、中国に7億5600万ドル(約850億円)を投じてEV新工場を建設すると発表した。米テスラは上海にEV工場を建設する計画だ。

確かに、政府の政策である程度の需要は保証される。広州など交通量の多い都市では、ガソリン車用の新規ナンバープレートは厳しく制限されているためEVの魅力が増している。当面は多額の補助金も利用できる。例えば「宝駿 E100」の購入時に消費者が支払うのは5400ドル(約60万円)だけ。米ゼネラル・モーターズ(GM)と上海汽車集団(SAICモーター)の合弁会社には政府からさらに8760ドルが支払われる。

フィッチ・レーティングスの副ディレクターを務める楊菁氏は、電池などEVに不可欠な部品の原価は下がっているが、補助金が打ち切られれば多くのメーカーはEVで利益を上げるのが不可能になると指摘。メーカーは「市場シェアのために目先の採算を犠牲にする」か、単にEV事業からの撤退を余儀なくされるとの見方を示した。

一部の中国自動車メーカーの業績は好調だ。だがEVの先駆者である比亜迪(BYD)と北京汽車工業(BAICモーター)の1〜9月の販売台数はそれぞれ19%減、26%減となった。両社は中国EV市場で合わせて半分近くのシェアを占めており、EVに傾注し過ぎたことが災いしたとアナリストらはみている。

広州モーターショーで17日発表されたEVには、北京汽車の2人乗りEV「LITE(ライト)」などがある。この新型EVは航続距離200キロメートルで、外装にLEDパネルを採用。陸皓・副総経理は、若年層の呼び込みが期待できると話す。価格は補助金込みで1万3100ドル(約147万円)前後。補助金が打ち切られれば値上がりし、販売が大きな打撃を受けかねないと陸氏は言う。そのため、北京汽車がEV事業を存続させるにはサービス収入の開拓が必要になる。

一方、比亜迪の広報担当者によると、同社の18年のEV販売目標は20万台で変わらない。今年のEV販売目標は17万台だが、1〜10月の販売実績は8万8000台だ。

中国のEV大手が苦戦を強いられており、需要の強さにも不透明感が漂う一方で、大手外資メーカーは中国市場への投資を拡大している。VWのハイツマン氏によると、同社は中国でのEV開発に120億ドル近くを投じ、25年まで年に5つのEVを発売する計画だ。ダイムラーは高級車「メルセデス・ベンツ」のEV版向け電池を製造する中国工場に7億5000万ドル前後を投資する。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

経済カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
酒屋配達員が見た! つぶれる飲食店の意外な特徴
ユニクロが未払い賃金を負担するのは世界の常識だ――インドネシアの下請け工場倒産
「年収850万円超は増税」それより低い年収層への影響は?
日本調剤、社長の年間報酬は7億円...薬局は「儲けすぎ」なのか?
【三菱 エクリプスクロス 試乗】操縦性の良さに感じた「三菱の本気」...齋藤聡
  • このエントリーをはてなブックマークに追加