ミッツ・マングローブ「モノマネ今昔物語と次世代コンテンツについて」

ミッツ・マングローブ「モノマネ今昔物語と次世代コンテンツについて」

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  • 更新日:2018/02/14
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ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、「モノマネコンテンツ」を取り上げる。

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私は子供の頃からモノマネが好きです。考えたら女装も、モノマネ要素が非常に高い行為です。ちなみに私にとって心の『女装の師匠』はコロッケさんです。コロッケさんの桜田淳子には『女装する悦び』が漲っていた。それは漠然とした女装願望を内に秘めていた少年に、とてつもない気付きをくれました。ほぼ同時期にとんねるずの木梨憲武さんもコントで桜田淳子を演じており、それもまた私の女装に多大なる影響を与えました。もしかすると私の『女装の師』は桜田淳子なのかもしれません。

それはさておき、エンタテイメント界に『モノマネ』というジャンルが確立して数十年の時が経とうとしています。戦後日本の『モノマネ5大コンテンツ』と言えば、(1)長嶋茂雄(2)田中角栄(3)森進一(4)桑田佳祐(5)ビートたけしといったところでしょうか。もちろんこれは世間一般のお父さんたちが飲みの席で披露する「ん~どうでしょ~」や「ダンカン! バカヤロー!」も含みます。ちなみにお店勤めをしていた頃、お客のカラオケで最も遭遇率が高かったのは松山千春と玉置浩二です。素人によるモノマネ消費量としてはまさに国民栄誉賞級。どちらも似ていたためしなど殆どないのですが、それでも世間はこれらの人たちをマネることを止めません。なぜでしょうか。それは『確然たるコンセンサスと安心感』があるから。他にも美空ひばりや黒柳徹子、ドラえもんにクレヨンしんちゃんなど、日本人がモノマネの選択肢に困ることは皆無なのです。

そんなわけで、今週は日本における『鉄板モノマネコンテンツ』の未来を想像してみようと思います。ぼちぼち21世紀生まれの世代も社会に出てくる昨今、少し寂しいですがミスターや角栄は通じなくなる時代はすぐそこです。しかしながら、その代わりにイチローや羽生くんをやるにしても、彼らの喋りは余りにもロジカル過ぎますし、角栄→小泉ときて、安倍首相のモノマネなどしようものなら、どこから何を言われるか分かりません。流行語や流行ギャグはたくさん輩出されど、飲み屋でモノマネしたくなる口癖や歌声のロングセラーが生まれ難いのが現状です。しかもハンズやドンキに行けば、ハロウィンでなくとも人気者のマスクや被り物を安く手に入れられる時代に、丸腰で桑田佳祐や松山千春に挑む若者なんて今後出てくるでしょうか?

それでも、私はコツコツと次世代コンテンツの収集と分析に日々勤しんでいます。まず、長嶋さんやドラえもんなどの『声色ワンフレーズ系』に是非君臨してほしいのがIKKOさんです。たけしさんの「コマネチ!」や志村さんの「アイーン!」的な『アクション系』ではオードリーの春日さんに期待をしています。森さんや桑田さんなどの『歌声系』で今のところ手堅いのはやはり福山雅治さんではないでしょうか。個人的にはKinKi Kidsの堂本剛さんにも頑張って頂きたいと思っている所存です。10年後のスナックで、酔っ払ったサラリーマンがこぞって剛くんの歌唱法をマネしている光景は間違いなく元気な21世紀の姿です。最後に、誰がやっても確実に笑ってしまうモノマネと言えば今も昔も小林旭ですが、B ’zのモノマネにも同じ文脈の破壊力があることに最近気付いたので記しておきたいと思います。B ’z軍団最高!

※週刊朝日  2018年2月23日号

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