「ソーシャルレンディング」ならサラリーマンでも金貸しになれる?

「ソーシャルレンディング」ならサラリーマンでも金貸しになれる?

  • @DIME
  • 更新日:2017/09/14

■連載/ファイナンシャル・プランナー山崎俊輔の「フィンテック入門」

フィンテックと個人のつながりについて考えている本連載、今回はソーシャルレンディングを取り上げてみます。

■ソーシャルレンディングとは何か

フィンテックのひとつとして、ソーシャルレンディングがあります。これは、お金を借りたい個人や企業と、お金を貸したい個人や企業をマッチングさせる仕組みのことです。

仮にあなたに「貸してもいい」と思えるお金があったとしても、借りたいと思う相手をみつけること、返済能力に応じた金利設定を行うこと、また返済期日に取り立てを行うことは個人がなかなかできることではありません。もちろん国内でそれを業務としてやろうとすれば貸金業法にもとづく免許も必要です。

(講談社現代新書の「月給百円のサラリーマン」(岩瀬彰著)によると戦前の会社員はしばしば同僚相手に金貸しをやっていたそうで読んでいておもしろいのですが、さすがに今はNGでしょう)

しかし、海外で金融システムが未成熟である地域では、銀行が十分な資金と与信能力を持っておらず、お金を借りて事業を興したいという人に十分にお金が回っていない実態があるとされます。

フィンテックの活用により、ITが金融の利便性を向上し、もっと個人にとって利便性の高いものとなれば、こうした人たちにお金を貸してあげられるかもしれません。そういう提案は魅力的に思えます。

ただし、私たちにとっては「貸す」としてのソーシャルレンディングはあっても「借りる」としてのソーシャルレンディングはおすすめしません。いくつか募集をしているサイトを見る限り、金利は高く(最大年17.8%であれば消費者金融や銀行系カードローンと変わらない)、さらに別途契約手数料を取るようです(例えば借入額の4%相当)。返済の振込手数料も自己負担になる場合、さらに返済の実質的負担額は増加します。これなら普通に借金すれば十分ですし、普通に借金できない人はなおさら手を出すべきではありません。

あくまで、個人が手軽に「お金を貸す」しくみとして、ソーシャルレンディングを考えてみます。

No image

SBIソーシャルレンディング

No image

ソーシャルレンディング最大手の「maneo

■悪いニュース ソーシャルレンディングのひとつ「みんなのクレジット」が大問題に

ソーシャルレンディング会社はいくつかあり、実績を競い合っている段階ですが、今現在では良くないニュースがひとつあります。あるソーシャルレンディング会社が業務停止命令を受け、破たんの可能性が出てきているのです。

「みんなのクレジット」というソーシャルレンディング会社が、不適切な業務内容を指摘され、金融庁と東京都から業務停止命令を受ける状態に陥っています。

No image

みんなのクレジット

証券取引等監視委員会が検査をした結果によれば、集めた資金は特定の会社(親会社)に集中していたうえ、利払いやキャッシュバックキャンペーンに投資資金が流用されていたとのことです。財務状況をみても借り入れの返済を継続することが困難であるとしています。

オフィシャルホームページでも最初は体制の立て直しを図る旨のプレスリリースと、きちんと配当や償還がされている旨のお知らせが掲載されていましたが、7月からそれも途絶えています。証券取引等監視委員会の報告が正しければ(たいていの場合、正しいのですが)、近々に破たんは避けられない状態です。

■ソーシャルレンディングの問題というよりは匿名投資組合の情報開示や資産保全体制の問題だが……

毎年数件くらいは起こるこうした金融商品のトラブルのほとんどは、初期に集めた資金への配当や償還のために、後期に集めた資金を用いています。一見すると高利回りが確実に実現されているようにみえますが、実態としては自転車操業で、本来の利益が出ていない以上、いつかは破たんする仕組みです。ポンジスキームと呼ばれます。

ポンジスキームの問題は、外見的にはなかなか判然としないことです。完全に破たんして行き詰まったとき初めて明らかになるか、今回のように証券取引等監視委員会の検査で発覚するまでは、平然と業務を続けていることがほとんどです。

証券取引等監視委員会の検査もAIJ投資顧問のように一度はすり抜けた例もあります。いつかはバレるとしても、全力でバレないように偽装するわけですから、なおさら外見的には見分けることが困難なのです。

匿名投資組合という仕組みがソーシャルレンディングにはよく用いられるのですが、この匿名投資組合こそ、ポンジスキームのトラブルが起こりやすい投資のしくみです。過去、ワインファンドなどいくつもの投資トラブルが匿名投資組合で起きています。

今回もソーシャルレンディングそのものに問題があるのではなく、匿名投資組合の仕組みが悪用されたというケースなのですが、だからといって「ちゃんとやっているソーシャルレンディング会社」が外見的には見分けることが困難である、という事情は変わりません。

■フィンテックとかソーシャルレンディングという「きれいな言葉」に引きずられないこと

フィンテックの種類はいろいろありますが、個人の生活改善に役立つもの、例えば「家計簿」や「オンラインバンキング」などと異なり、ソーシャルレンディングはお金を増やすためにITと金融の技術を活用する「儲け」の手段といえます。

過去に取り上げてきた例では、オンライントレードと並べてもいいでしょう。あるいはFX(外国為替証拠金取引)にも近いかもしれません。

私たちはついつい「フィンテック」とか「ソーシャルレンディング」というような新しい言葉、見た目のいい言葉に引かれてしまいます。しかし、これは「金貸し」なのだとシンプルに考えてみるほうがいいかもしれません。

金貸しと考えれば、ソーシャルレンディングに回ってきているのは「いろんな事情があって、銀行やベンチャーキャピタルがカネを貸さない案件」かも、と考えてみることもできます。

また、あなたの手元に残る利回りはソーシャルレンディング会社が利益を「抜いた」あとの利回りであって、実際はもっと高利回りが貸し手には生じていると考えるべきです。

担保や保証はないよりマシですが、元本を保証してくれることはありません。あなたに「なくしてもいいお金があって、遠い外国の名前も知らない人に全額もっていかれてもいい」というなら別ですが、そういうお金は誰も持ち合わせていないはずです。むしろそうしたお金は「貸す」のではなく「寄付」をしたほうがいいかもしれません。

No image

■結論としては、金貸しをしてあなたのお金を増やさなくてもいいのではないか

私はフィンテックの中でもソーシャルレンディングはあえて個人が活用しなくてもいいしくみと考えます。

「借りる」しくみとして利用しなくてもいいのは最初に述べたとおりです。銀行などで貸してもらうのが優先ですし、貸してもらえない案件をさらに悪い条件でソーシャルレンディングに頼むべきではありません。

「貸す」しくみとして考えた場合も、現在の投資信託やETFの仕組みでできる範囲で行えるはずです。不動産で投資をしたいならREITという投資信託の一種がありますし、中小企業を支援したいならそうした企業に投資する投資信託があります。新興国の経済発展を支援したければ、そうした国の公社債あるいは株式に投資する投資信託があればいいわけです。

あなたが投資についてあまり理解がないとしたら、ソーシャルレンディングを手軽かつ簡単に高利回りを得られる安全確実な手段とは考えない方がいいでしょう。どんなにホームページがオシャレで親しみやすいものであっても、そこには高いリスクがあります。

そして投資に理解を深めた人であったらなおさら、無理にソーシャルレンディングをしなくてもいいのではないでしょうか。

文/山崎俊輔

フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。企業年金研究所、FP総研を経て独立。新聞や経済誌サイトでのネット連載10本を抱える人気コラムニスト。

■連載/ファイナンシャル・プランナー山崎俊輔の「フィンテック入門」

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

コラム総合カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
山田優、SNSに投稿した動画に非難殺到 「人としてどうかと思う」と厳しい声も
【凶悪事件】夫の歯ブラシに「ウンコ」を塗り付けた妻が逮捕される
誰にも言えない!女子が赤裸々告白「ひとりエッチの体験談」3つ
おぞましい!タバコによる影響を実験した動画が禁煙効果がありすぎると話題となる!
このリアリティはヤバい。指が溶けて真っ赤な血が流れ出し最後は骨になる「血みどろの手キャンドル」が販売されちっち(※閲覧微注意)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加