6月に確認すべきは住民税。そもそも所得税や住民税はどう決まる?

6月に確認すべきは住民税。そもそも所得税や住民税はどう決まる?

  • MONEY PLUS | くらしの経済メディア
  • 更新日:2019/06/25

6月に確認すべきは住民税です。6月の給与から天引きされる住民税が変わります。そして、7月から来年の5月までは住民税の額はずっと変わりません。今回は会社員の住民税がどのように決まっているのかを、所得税と比べながらお伝えします。

実は所得税より負担が重い住民税

給与天引きされる税金には、国税である所得税と、地方税の住民税の2つがあります。

所得税はその月の給与収入が少なければ、徴収される税金は減り、年の途中で扶養家族が増えて会社に伝えれば、それを織り込んで、徴収する税金が減ります。また、賞与があれば賞与からも税金が徴収されます。

一方、住民税は前年の所得に対する住民税を、6月~翌年5月までの給与から12カ月で分割して徴収されます。住民税はその月の給与収入や扶養家族の状況、賞与などとは全く連動していません。前年の賞与も含めた給与収入合計に対する住民税を1/12ずつ徴収しますから、月々の負担は、所得税よりもどうしても重くなりがちです。

所得税は5%~最高45%まで7段階の超過累進税率となっています。所得が多いほど高い税率になるように工夫されているのですが、実は所得税の税率が5%の人が納税者の約6割で、10%の税率の人は全体の2.5割。残り1.5割の人が税率20%~45%です。

一方、住民税は所得に対して一律10%の税率。ということは、税金を納める人の約6割は、住民税の負担が所得税の2倍となっているのです。

税金を計算するうえで所得控除の制度があります。一人一人の生活の事情を考慮して、税率をかける前の金額(所得)から差し引くもので14種類あります。

養わなければならない親族がいたり医療費がたくさんかかった場合、障害がある場合など、税金を納める力が弱くなっている状態のときに、税金の負担を軽くするために所得から差し引けるようになっているのです。税率をかける前の金額が小さいほど税金負担は少なくなります。

所得控除の項目は所得税も住民税もほとんど変わりありません。ただし、所得から差し引く金額が住民税の方が小さいのです。

例えば、所得控除を引く前の金額が100万円とします。ここから誰でも差し引ける金額(基礎控除といいます)が、所得税は38万円。一方、住民税の基礎控除は33万円です。

所得税なら100万円-38万円=62万円、5%の税負担で、3万1000円。ところが住民税なら100万円-33万円=67万円、10%の税負担で、6万7000円。また、住民税は均等割と言う年会費のような定額の税金(5000円)が加わります。

所得税の税率が住民税と同じ10%の人でも、所得控除は住民税の方が小さいため、結局住民税の負担の方が重くなってしまうのです。つまり、所得税率10%以下である約85%の納税者は住民税の方が税金が重いといえます。

住民税で負担額が給付額が決まるものも

さらに、行政サービスに対する負担額や給付額が、住民税の額で決まる側面もあります。保育施設の保育料や高等学校就学支援金制度、高額療養制度の自己負担額などです。

このように住民税は、私たちの負担する税金としてかなりの部分を占めるうえに、行政サービスの給付や負担を決定する基準となり、家計に大きな影響があります。

ところが一般的には、所得税に比べ住民税はどうしても添え物なように捉えられてしまうのはなぜでしょうか? これは、住民税の税額の決定システムに原因があると言えます。

所得税と住民税はどのように決まる?

所得税がきまるまでの流れ

まず、所得税はどのように決定するのでしょうか?

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税金は、儲けに対して税金がかかります。個人事業者などの儲けは「収入金額」から「必要経費」を差し引いて、儲けである「所得」を計算します。

給与所得者は個人事業者と大きく異なる点があります。必要経費に個人差がないところです。給与所得者は会社の備品、設備、道具を使って労働を提供して、対価として給与を受け取ります。自腹を切ることはあまりないと考えられます。

ただし、スーツが必要だったり、スキルアップのための支出なども考えられ、給与収入に連動した必要経費を概算で計算します。これを「給与所得控除額」といいます。

収入から差し引く必要経費が、自動計算されるならば、本人でなくても計算ができます。利便性と税金の確実な徴収のために、会社が従業員の所得税を計算し、徴収・納付します。

会社は従業員が扶養している家族などの個人的な情報を、「扶養控除等申告書」などで確認できます。所得税は12月の最後の給与の際に計算します。

12月末に結婚すると所得税は?

扶養する家族の状況などはその年の12月31日時点で判断します。極端な話ですが、例えば、ずっと独身だった人が、12月末のクリスマスに結婚して所得の少ない人を扶養する場合、1年間まるまる扶養していたとして、配偶者控除などを所得から差し引くのです。

年末に給与に対する所得税が正しく計算されるまでの1月から11月は、この月給でこの家族の状況であれば、年間の税金はおそらくこれぐらいであろう金額の12分の1を毎月の給与から徴収(源泉徴収)しておきます。

12月末の扶養家族の状況などを組み込んで、税額を計算しなおして調整します(年末調整)。

住民税が決定するまで

会社は所得税の計算結果の報告書として「源泉徴収票」を従業員に交付します。同じ情報を従業員の住む市区町村に翌年1月末までに報告(給与支払報告書)します。市区町村はその情報から住民税を計算して、結果を5月ごろ従業員の給与から天引きする住民税を会社に通知。会社は、それを受けて、6月~翌年5月の給与から、前年の給与収入に対する住民税を徴収します。

給与所得者は給与収入だけなら、所得税も住民税も全く計算することなく、給与天引きで納税も完結します。ただ、医療費控除や雑損控除、寄付金控除、初めて住宅ローン控除を受ける場合などは会社が年末調整で計算できません。

住民税は申告する必要ナシ

そこで、自分で所得税の確定申告をして納めすぎた税金の還付申告をします。その情報が自動的に市区町村に報告されます。確定申告した人の情報は、会社から届いた給与支払報告書に上書きするようなシステムになっているので、住民税は申告する必要はありません。

給与以外に副収入があるため、確定申告する必要がある人も、原則として住民税は別途申告をする必要がありません。

つまり、所得税は、給与所得者も還付や納税のためには、情報を得て自分で行動を起こさなければなりません。一方、住民税は、給与収入だけの人はもちろん確定申告をする人も、住民税の仕組みを知らなくても、給与天引きで終了してしまうのです。

この結果、住民税の方が負担が重かったり、行政サービスの給付や負担に影響があるにも関わらず、どうしても関心が薄くなってしまうのです。

住民税の決定通知書の確認を

私の顧客から「住民税が、去年の2倍なのはなぜですか」と質問を受けたことがあります。家族経営の事業所で、家族の給与が計算に入りこんでいたあり得ない市役所の計算ミスでした。住民税の決定通知書を見ていたからこそ、税額の多さに気が付いたのです。

2018年には東京の自治体で数年にわたり住民税が間違っていた報道もあり、他の自治体でも住民税の計算ミスは結構あるようです。

会社から住民税の決定通知書を受け取って見ない人も多いですが、少なくとも、年間税額だけでも見ることをお勧めします。

住むところによって住民税は変わる?

国税である所得税は、課税所得が全く同じであれば、日本国であればどこに行っても、同じ税額です。ところが、「○○市は住民税が安い」とか耳にします。

住民税は、所得割と均等割の合計です。所得割は、所得に対して課される税額で、均等割は定額の年会費のようなものです。それぞれ道府県と市町村へ納めます。(東京23区は特別区民税)

いずれも、地方税法で標準税率が決まっています。道府県の所得割の税率は4%、市町村は6%で合計10%です。道府県の均等割は1,500円、市町村は3,500円で合計5,000円。(指定都市は割合が2%と8%となっていますが、合計10%で合計税率は他と同じです。)

ほとんどの自治体は、この標準税率によって税額を計算しています。ところが「地方自治体」という言葉に表れていますが、「自分たちのことを自分たちの責任において処理する」のであれば、自治体にある程度、決定権が与えられています。

例えば神奈川県は道府県民税を0.025%上乗せして4.025%、均等割も300円上乗せして1,800円。一方、名古屋市(指定都市)の所得割は▲0.3%の7.7%、均等割は▲200円の3,300円としています。

ですから、住むところによって住民税が異なることは確かですが、その差はそれほど大きなものにはなりません。

(備 順子)

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