JリーグMVP初受賞の小林悠を支えた美人妻「悔しいとき一緒に泣いた」

JリーグMVP初受賞の小林悠を支えた美人妻「悔しいとき一緒に泣いた」

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  • 更新日:2017/12/07
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MVPの川崎フロンターレ小林悠に奥さんと2人のお子さんが祝福するサプライズ演出(写真・アフロスポーツ)

これ以上はないサプライズだった。ユニフォームを漆黒のタキシードに変えた川崎フロンターレのキャプテン、FW小林悠(30)がまばゆいスポットライトを浴びながらぼう然としている。

「個人的なことで申し訳ないんですけど、一番感謝を伝えたい人がいるので言わせてください」

横浜アリーナで5日夜に開催された、恒例の年間表彰式「Jリーグアウォーズ」。ハイライトとなる明治安田生命Jリーグ最優秀選手賞(MVP)を初めて受賞し、客席にいるとばかり思っていた夫人の直子さん(30)にありがとうと伝えた直後だった。

その直子さんが長男の結翔君(3歳)、次男の真翔君(1歳)を連れて檀上に登場してきた。

25回目を迎えたJリーグアウォーズで、おそらくは初めてとなる家族同伴の晴れ舞台に会場もどよめく。無邪気さを全開にする川崎のユニフォーム姿の子どもたちと、涙をこらえる最愛の夫人に見つめられながら、小林は感無量の思いで体を震わせていた。

まだ記憶に新しい2日のJ1最終節。ホームの等々力陸上競技場で大宮アルディージャを5‐0で一蹴した川崎は、キックオフ時点で首位だった鹿島アントラーズに勝ち点72で並び、得失点差で上回る奇跡の大逆転劇で、クラブ悲願の初タイトルをJ1制覇という最高の形で成就させた。

しかも、大宮戦で小林はプロ8年目で初めてとなるハットトリックを達成。今シーズンのゴール数を「23」に伸ばし、2差をつけられていたFW杉本健勇(セレッソ大阪)を抜いて得点王も初めて獲得した。ダブルの栄冠に表情を崩しながらも、実はこんな言葉を残している。

「シーズンを通して全試合に出ることを、個人としては一番の目標にしていたので。本当にめちゃくちゃ嬉しいですね。全試合に出れば得点も多く決められるという自信もあったので、すべてが上手くいきすぎている感じもします」

今シーズンのJ1で初めて全34試合でピッチに立った。そのうち途中出場は1試合だけで、2951分に達したプレー時間は、川崎のなかではフルタイム出場(3060分)のDF谷口彰悟、3041分のDF車屋紳太郎に次ぐ数字となっている。

責任感が誰よりも強く、体に負荷がかかる場面で余計に頑張ってしまうがゆえに故障を繰り返してきた。拓殖大学4年になったばかりの2009年4月に卒業後の川崎入りが決まったが、その年の秋に右ひざの前十字じん帯を断裂。担当スカウトに涙声で電話を入れた。

「契約が取り消しになったりはしないでしょうか……」

電話越しに「サッカーにけがはつきもの。ウチは大丈夫だから」と言われてまた号泣。ルーキーイヤーの大半はリハビリに費やされたが、2年目の2011シーズンから、自分をあえて追い込む意味も込めて、ちょうど空き番になった、いま現在も背負う「11番」に背番号を変更した。

迎えた2年目のオフ。背番号にちなんだ2012年1月11日に結婚したのが、同年齢の直子さんだった。大学時代から約4年間の交際を実らせてのゴールイン。入団前年の大けがで、小林が打ちひしがれた時期ももちろん知っている。

プロになっても故障禍は続いた。異能と形容してもいい得点感覚が日本代表の指揮官にも評価され、アルベルト・ザッケローニ元監督からは代表候補合宿、ハビエル・アギーレ前監督からは代表合宿に招集されたが、ともに練習中にけがを負って離脱を余儀なくされた。

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の初陣となった2015年3月も、メンバーに選考されながら直後のリーグ戦で右太もも裏に肉離れを起こしてしまう。代表辞退を決断した直後に更新されたブログの文面からは、いつしか「ガラスのエース」と揶揄された小林の断腸の思いが痛いほどに伝わってくる。

「誰かが言っていました。『神様は乗り越えられる人にしか試練を与えないんだよ』と。神様に言いたい。何回目だよ!そんな俺強くないわ!笑」

この年は5月に右ひざにメスを入れ、7月に復帰したかと思えば、今度は右ふくらはぎに肉離れを起こし、2年目以降では自己ワーストタイの5ゴールに終わった。胸中に募らせた悔しさを、しかし、直子さんが常に共有することで半分にしてくれた。

大宮戦後の取材エリアで、小林は目をやや潤ませながら直子さんに感謝している。

「代表合宿中もそうだし、シーズン中も体にすごく気を使っているのにけがをすると本当に悔しくて。家へ帰って奥さんの顔を見ると申し訳ない気持ちになって、涙が出ちゃうときもあったんですけど、そこで奥さんは一緒に泣いて、乗り越えようとしてくれました」

ただ泣くだけではない。管理栄養士の資格を取得した直子さんは、食事面と栄養面から小林を懸命にサポート。けがをしにくい体を目指して、内側から夫を変えていった。食卓に並ぶおかずの品数も多い、見るからに美味しそうな献立を頻繁にブログへアップする小林は、こんな言葉を紡ぐことも忘れなかった。

「子どもが2人いるなかで、シーズンを通して料理もしっかり作って健康を管理してくれる。他の選手の奥さんがどうなのかは僕にはわかりませんけど、僕の奥さんは一緒に戦ってくれるというか、本当にめちゃくちゃ感謝しています」

サッカー人生で初めてキャプテンという役割も担った、30歳になった年でこれまでの自己最多だった2016シーズンの15ゴールを大きく更新。得点王にJ1制覇、2年連続のベストイレブン、MVP、そしてリーグ戦全試合出場という“5冠”を達成したが、今シーズンの戦いはもう少しだけ続く。

これまで国際Aマッチに8試合出場しているものの、得点数はまだ「0」のままだ。愛する家族と至福の思いに浸った小林は、代表に選出されている9日開幕のEAFF E-1サッカー選手権モードにスイッチ。国内組だけで挑む北朝鮮、中国、韓国との戦いで、来年のロシア大会へ希望を紡ぐゴールを貪欲に追い求めていく。

(文責・藤江直人/スポーツライター)

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