瀬戸康史、『透明なゆりかご』由比院長で完成した『あさが来た』以降の男性像

瀬戸康史、『透明なゆりかご』由比院長で完成した『あさが来た』以降の男性像

  • サイゾーウーマン
  • 更新日:2018/09/25
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金曜夜10時から放送されている『透明なゆりかご』(NHK)は、沖田×華(ばっか)の漫画『透明なゆりかご 産婦人科医院 看護師見習い日記』(講談社)を原作とする医療ドラマだ。

物語の舞台は由比産婦人科という小さな医院。看護師見習いの青田アオイ(清原果耶)は、この医院でさまざまな事情を抱えた女性と出会う。9話では、アオイと仲良くしていた10歳の女の子が何者かに性的暴行を受け、この医院を訪れる場面が描かれた。

つらい話が多いが、見せ方は実に淡々としている。だからこそ緊張感が凄まじく、毎回圧倒される。これは脚本家の安達奈緒子の筆力によるところが大きいだろう。『リッチマン、プアウーマン』や『失恋ショコラティエ』(ともにフジテレビ系)といった月9ドラマを多く手がけている安達は、働くとはどういうことか? 母親になるとはどういうことか? といった問題意識を強く打ち出す脚本家だ。月9の華やかなドラマで執筆する際には、その生真面目な作家性が違和感となって印象に残っていたが、NHK地上波の本作では、原作漫画との相性の良さもあってか、安達の作風が良い方向に作用している。

何より素晴らしいのが、出産に対する距離感だ。第2回の「母性ってなに」というタイトルが象徴的なのだが、産婦人科を舞台にした医療ドラマでは、どうしても母性と出産の美化が行われがちだ。もちろん、本作でも出産シーンは感動的だが、中絶をすることになった女性にも丁寧に寄り添い、彼女たちを裁かないようにしている。そんな作品のスタンスを象徴しているのが、瀬戸康史が演じる由比産婦人科の院長・由比朋寛だ。

由比は、以前は大きな病院に勤めていたが、患者に時間を掛けすぎるため大病院には合わず、一人ひとりを丁寧に診ることができる医院を開業した。第8回で由比は、妊娠してノイローゼ気味になっている妻の気持ちがわからないという男性に対して、以下のように言う。

「僕も産科医ですが、妊娠した女性の体の中で起きていることは医療的にはわかっても、気持ちはわかりません。それが無性に悔しく思うこともあります」
「でも、わからない分、わかりたいって思う気持ちは強いです。女性の医師が女だからわかるって流してるところも、僕は勉強して経験を積んで、わかろうとします」

冷静に物事を見つめる由比院長の包容力があるからこそ、つらい場面が続いても、安心して本作を見ることができるのだ。

それにしても、由比を演じる瀬戸康史を見ていると、こんなに頼りがいのある俳優に成長したのかと驚かされる。

瀬戸は現在30歳。2005年に『第2回D-BOYSオーディション』準グランプリを獲得して芸能界デビュー。2年後に出演した『仮面ライダーキバ』(テレビ朝日系)の主人公を演じたことで大きく注目された。「平成ライダー」と称される仮面ライダー・シリーズは、古くはオダギリジョーや要潤、近年では菅田将暉、福士蒼汰、吉沢亮、竹内涼真といった若手イケメン俳優の登竜門となってきたドラマ枠で、若手女優にとっての連続テレビ小説(以下、朝ドラ)のような役割を果たしてきた。瀬戸も、そうやって世に出たライダー俳優の1人だった。

その後、瀬戸は『オトメン(乙男)』(フジテレビ系)等のイケメンドラマに多数出演。NHKでは『眠れる森の熟女』というドラマで、草刈民代が演じる熟年離婚をした46歳の年上女性と恋愛関係になる、御曹司で高級ホテルの総支配人の男性を演じており、少し頼りないがしっかりしているお坊ちゃんという役柄だった。大きな転機となったのは朝ドラ『あさが来た』(NHK)だろう。本作は幕末から明治を舞台に、女性実業家・白岡あさ(波瑠)の生涯を描いたドラマだ。瀬戸が演じたのは物語終盤に登場する、日本初の女子大学を作ろうとする成澤泉。何を考えているかわからない変人だが、女子大設立の理想に燃える熱い姿が視聴者から支持された。

これ以降の瀬戸は、見た目こそ線が細いイケメンで、少し頼りないが、女性主人公を支える先生的ポジションという役が増えていく。今年の1月クールの月9ドラマ『海月姫』(フジテレビ系)では、クラゲオタクで引きこもり気味の少女・月海(芳根京子)と一緒にファッション・ブランドを立ち上げる青年・鰐淵蔵之介を好演した。政治家の御曹司で女装男子という変人キャラだが、それ以上に、月海を支えて成長を見守る“お師匠さま”的なポジションがハマっていた。

『透明なゆりかご』の由比院長は、『あさが来た』以降の集大成といえる役柄だ。一見頼りないが、包容力のある“教師キャラ”というイメージは、今作で完全に定着しただろう。若手イケメン俳優は成長するほど、次のステップが難しくなっていくものだが、瀬戸の場合は歳を重ねた現在の方が生き生きとしており、新しい魅力を次々と開花させている。
(成馬零一)

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