米セクハラ問題、職場の年末パーティーにも変化

米セクハラ問題、職場の年末パーティーにも変化

  • WSJ日本版
  • 更新日:2017/12/06
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米国内でセクハラ行為が次々と告発される中、広告大手FCBワールドワイドは年末のパーティーシーズンに向け2600人の社員宛てに電子メールを送った。「Stupid Fun vs. Responsible Fun」(愚かな楽しみ方と責任ある楽しみ方)と題されたこのメールには、オフィスで開かれる年末パーティーで「やってはいけないこと」が羅列されている。

クリスマスの習慣に従ってミッスルトウ(ヤドリギ)の下で同僚とキスすることや、ダンス中に同僚と極端に密着することなどが禁止された。ソーシャルメディア(SNS)に「愚かな楽しみ方」をしている写真を投稿すべきではないとも書かれ、下品なジョークも「誰かが神経を高ぶらせるかもしれない」ため禁じられた。

「残念ながら、愚かな楽しみ方は翌日になると後悔すべき楽しみ方だった場合が多い」とも記されている。

エンターテインメントやメディア業界などがセクハラ告発で揺れる中、過度のお祭り騒ぎを控えさせようとしている企業はFCBだけではない。年末のパーティーシーズン中に問題行為が発生しないよう、多くの企業がオープンバーや強いお酒の提供を中止するほか、ナイトクラブのように薄暗くなく家族で楽しめる雰囲気の会場を準備するケースもある。

オフィスの年末パーティーではトラブルになる要素が混ざり合うため、各企業は警戒を続ける。会場ではアルコールが提供されるだけでなく、パーティー中も職場のルールが適用されるのかどうかが分かりづらいか、あるいはルールを無視する社員もいるからだ。不適切な行為に対して社会が敏感になっている以上、交流の意味合いが変わってきていると、人材派遣企業エンゲージPEOのジェイ・スタークマン最高経営責任者(CEO)は話す。同社では年末パーティーが来週開かれるが、ハグを交わす社員の数は少なくなるだろうとスタークマン氏は予測する。

エンゲージPEOでは数年前、年末パーティー後に女性社員が人事部にクレームを入れたことがある。スタークマン氏はパーティー中にその女性や他の男性従業員らとハグを交わしたが、すべての女性に同じように接しなかったことは問題だとの告発だった。「年末パーティーではもう一切、誰ともハグすべきではないのだろうか」と思ったと同氏は振り返る。

ワインスタイン氏以降で何が変わったか

ハリウッドの映画プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン氏からセクハラや暴行を受けたと主張する最初の女性が出てきたのは10月だった。その後、数十人の女性が同じような主張をした。スタークマン氏によればそれ以降、年末パーティーをどう開催すべきか十数社から相談があった。「不適切な行為はいかなるものであれ会社は許容しない」と社員に再認識させることが主なポイントだと同氏は述べる。

オフィスの年末パーティーをトーンダウンさせる企業の中には、全米に広がるセクハラ疑惑の波が目の前に押し寄せた企業もある。米オンラインメディア企業ボックス・メディア(Vox Media)は昨年末のパーティーをニューヨークの人気スポット、ハイライン・ボールルームで開催。会場を埋めた社員はカクテルを好きなだけ楽しめた。しかし今年は無制限に飲めるオープンバーが廃止され、その代わり参加者には2枚のドリンクチケットが配られる。スタッフ宛てに送られたメモによれば、それ以降はノンアルコール飲料のみとなる。

ボックスでは10月、ジム・バンコフCEOがエディトリアル・ディレクターのロッカート・スティール氏の解雇を発表。同氏は「会社の理念とは一致しない行為をしたと認めた」という。解雇の一週間前には同社の元社員がボックスの名を挙げず、以前働いていた複数の職場で嫌がらせや暴行を受けていたとブログサイト「Medium」に投稿していた。スティール氏はこの件についてコメントは控えるとした。

企業の中にはドキュメント・ソリューションズのように予防措置を取るケースもある。ニュージャージー州にある事務用品メーカーの同社は67人前後の社員を抱えるが、今年の年末パーティーでは例年と異なり、強いお酒を提供しないことに決めた。同社のパートナー(共同経営者)、ケビン・オコナー氏は、次々と明るみに出るセクハラ告発に加え、飲酒運転を防止するための手段だと話す。

調査会社ガートナーの人事総務トップ、ブライアン・クロップ氏は、雇用主側はワインスタイン氏の一件以前から年末パーティーがこうした告発につながる可能性を認識していたと話す。だがこれまではそのリスクを承知した上で、「パーティーで嫌がらせを受けたと告発があれば、人事部としてはそのことをお金で解決し、いかなる情報ももみ消すことが定番の対策だった」という。「今は何が起きて、なぜ特定の人物が会社を去ることになったか、全員に伝える必要があると企業側は考えている」

クロップ氏が助言するある大手製薬企業は、年末パーティーに参加する人事部社員に対して通常の勤務時間と同じように対応するよう通達。イベント中も不適切な行為がないか監督する役割を担うためだ。人事部のスタッフは「どこか怪しいと思ったら、会話に割り込んでいくよう指示された」とクロップ氏は話す。「高校生のパーティーに付き添う親のような存在だ。ダンスはさせるが、密着させすぎないということだ」

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