Fカップ美人ジョブホッパー、実は「消耗しています」

Fカップ美人ジョブホッパー、実は「消耗しています」

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2017/12/06
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元日本経済新聞記者にして元AV女優の作家・鈴木涼美さんが、現代社会を生きる女性たちのありとあらゆる対立構造を、「Aサイド」「Bサイド」の前後編で浮き彫りにしていく本連載。今回は、第7試合「職場」対決のBサイド。

今回は6つの仕事を渡り歩いてきたアラサー美女。ジョブホッパーを体現するような軽やかさの持ち主だけど、実は……。

*バックナンバーはこちらhttp://gendai.ismedia.jp/list/author/suzumisuzuki

大学は人生のお試し期間

彼女の社会人1年目は、インターネットの転職サイトにある、読み物やインタビューの企画を考える、とても楽しい仕事でスタートした。サイトの本丸である採用情報やクチコミ投稿に興味は持てなかったが、おまけ的なコンテンツは自由に企画できたし、比較的新しく小さい会社ならではの、新人でもガンガン会議に参加できる状況はありがたかった。

学生時代、結構色々な経験はできた。インドも行ったし、アウシュビッツも行ったし、サークルのイベントで1日2人とセックスもした。キャバの体入荒らしもちょっとしてみたし、ガールズバーでバイトもしたし、キャンペーンガールでタバコを配るお姉さんもやった。企業のOLのようなアルバイトも期間限定でしたし、イベントコンパニオンは何回も経験した。飲み会は死ぬほど行って、恵比寿と麻布と青山の店に詳しくなった。

ただ、長く一つの部活やサークル、バイトやゼミに入れ込んだわけではないので、一生の友というほど仲が良くなった友人はいないし、一番長く付き合った彼氏とも1年ちょっとで別れた。

「スポーツ漫画読んだときくらいは、なんか1個くらい一生の趣味とか一生の仲間との思い出とかあった方が楽しそうとは思うけど、別に普通だよね?大体みんなこんなもんじゃない?」

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彼女の言葉通り、別に私も学生時代をラグビーに捧げたりしていないし、多くの人がそうだと思う。そもそも大学という場所が人生のお試し期間であるならば、彼女のような、ものすごく入れ込むものはなくとも結構多忙に色々やってみる、という選択は大変に正しい。そして彼女もまた、スポーツ漫画を読んでいる最中以外はそういった性質を恥じることなく、誇り高くごちゃまぜの大学を卒業した。

転職サイトの企画では、アパレル会社の社長にも会ったし、元芸能人の営業マンにも会ったし、企画でお世話になったライターさんとセックスもしてちょっと付き合った。ただ、やはり会社の規模が小さく、転職サイトの性格上、それほど大きな企画は非現実的で、読者の反応やバズり方も小さかった。1年間は楽しく仕事をしたが、2年目に入って早々に、自分が他社の転職サイトばかり見るようになる。

「IT系だし中小規模だったら、人の定着は本当に悪いから、私真面目に働いてたし、簡単に辞めますっていうのは残念がられたけど、でも別にニュースとしては大したことない感じ。次の会社がいい会社だったし、しょうがないねーみたいな。すっごく仲良しの人はいないけど、ご飯とか何回か行ったことある先輩とは、辞めた後も2回くらい会ったよ」

2回くらい会った後、結局会わなくなったが、SNSで繋がっているせいか、別に疎遠になったという感じはしないらしい。2つ目の会社はウェブコンテンツをいくつも持っているメディアで、契約社員として採用された。

常に転職情報興味あります

今までで一番長く勤めたのはその2つ目の会社だった。ウェブメディアの編集部で、少人数だったため、記事も書いたし取材もした。給料は以前勤めていた会社より良かったし、1人だけ無能で厚かましい社員がいること以外は人間関係も悪くなかった。1つ年上の男性社員と付き合って、彼女の住んでいた中野坂上のマンションで半同棲状態になった。

「正社員にこだわりないし、普通にお給料ちゃんともらってたし、サイト運営色が強いところより、編集の仕事の方が楽しいって思った。でも大きい会社だから正社員は多分なれないし、やっぱり正規の編集者さんたちがいて、アシスタントだから、なんかバイトっぽい気分が抜けなくて、彼氏と別れようと思ったタイミングで、会社辞めちゃおっかなーとか思ったんだよね」

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タイミングよく、知り合いの知り合いがいる会社の条件の良い募集があったため、面接を受けたら一発で採用となった。占いアプリのライター採用だったが、何より仕事時間が完全フレックスで、慣れれば自宅勤務可能、というのが理想的な気がした。ただ、占い記事をかなり適当にかく、というライター仕事は性に合わなかったため、3ヵ月もすると次の仕事を探すことにしか興味はなくなっていた。

そもそも、学生時代のアルバイトでも、ものすごく合わないとか、向いてない、と打ちひしがれた経験は彼女にはなかった。上司や同僚の悪口はすぐに口をついて出るが、人間関係で病むほど嫌な思いもしたことはない。

それなりに気に入った職場を簡単に捨てられるのは、高いコミュニケーション能力と適応力があるからとも言えた。若干退屈な仕事でも、慣れるまでは新鮮だし、職場が変わると気分も変わる。そこそこ飽きっぽく、刺激を求める性格の彼女には、慣れた職場より、新しい職場の方が魅力的だった。

「転職すると、全然会うことなかった人たちにも会うし、仕事内容変われば出会いの場とかも変わるし、使う駅が変わるからランチ場所探すとか、基本、楽しいよ。派遣とか、本当は向いてたのかもね。でも事務職興味ないから、出版系とかウェブ系で良さそうだな、と思うところがクチコミとかでもあったら、とりあえず調べてみたり、場合によっては話聞きに行ったりしてた。割と、常に転職情報興味あります、っていう状態」

毎回違う彼氏と揉めている

29歳、独身、顔面偏差値高めでFカップ、経験した仕事は現在の仕事を入れて6つ。長く勤めたことはないが、どこでも比較的楽しい仕事生活を送ってきたし、クビになったことも逃げるようにして辞めたこともない。彼女の生活は、決して退屈ではなったし、条件の悪いものでもなかった。

「福利厚生とか、年金とか、保険とか、お産するなら、とかは事務職でも大きい企業の正社員やってる同級生に比べると不利だな、とは思うけど、正直、60代とかで引退した後のこと考えて事務とかやるのも違うなって思うし、完全なフリーランスとかになったことはないから、家の契約とかですごい苦労したっていう経験ないんだよね。クレジットカードあんまり使わないからゴールドカード欲しいとかもないし。引っ越しは学生時代から数えて2回しかしてないのもあるけど」

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それなりに偏差値の高い都心の大学を出た同級生は、大企業の正社員もいれば、未だにバイト状態のような自由人もいる。彼女だけ特別に不安定なわけではない。長く一つの会社にいる正社員たちに、ある程度の優位性があることはわかるが、条件が悪い場所で働いたことのない彼女は比較的楽観的である。

「でも、やっぱり、ふわふわしてると、ふわふわはしてるなって思うよ。サークルとかバイトも長くやってるとなんか強いじゃん、先輩後輩仲間とか。絆みたいな。そうだね、絆、ないね、私。すぐ友達できるけど、会社の友達は会社辞めてまで会う子はほとんどいない。だから若干男性依存ぽく、すぐ彼氏とかとドロドロするのかも」

確かに、彼女とごくたまに連絡を取ると、大抵毎回違う彼氏と何かしらの揉め事の最中にある。軽やかに人生のお試し期間らしい大学時代を過ごした彼女は、良くも悪くも未だにその軽やかさを一切失わず、軽やかに会社から会社、仕事から仕事、同僚から同僚、男から男を渡り歩いている。

「なんか、別に困ったことはないけど、地元遠いから疎遠だし、帰る場所って感じもしないし、かと行って東京に確固とした居場所があるわけじゃないし、この仲間は一生もの、みたいのもないし、常に新しい出会いはあるけど、割と上積みの付き合いで終わるから、消耗はするかもね」

最近の彼女は、再び大手のメディアが運営するウェブサイトの編集部にいる。以前勤めていた環境と似ているが、出会う男性が、年上は既婚、未婚は年下、になりつつあることだけは変わった。結婚願望がないわけではないが、恋愛体質は変わらず、理性で結婚相手を探そうとは思わない。最近また彼氏と別れたが、友達が開いた合コンで会った医者とちょっといい感じの関係にはなっている。

転職サイトで始まった彼女の社会人人生は、今のところ転職サイトが扱うべき話題に満ち満ちているというのは、皮肉というより面白い偶然だと私は思っている。

〈次回に続く〉

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