中村雅俊、高度経済成長期は青春真っ只中だった 朝ドラでおじいちゃん好演

中村雅俊、高度経済成長期は青春真っ只中だった 朝ドラでおじいちゃん好演

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  • 更新日:2018/04/22
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中村雅俊(2015年撮影:志和浩司)

NHK朝ドラ『半分、青い。』が16日から第3週に突入し、いよいよメインキャストの永野芽郁、佐藤健が登場した。高度経済成長期から始まった物語はバブル期まで進み、永野演じるヒロイン鈴愛と佐藤演じる律は高校生になった。同ドラマは岐阜のあと舞台を東京に移すが、現在はまだ岐阜編。中村雅俊が演じる鈴愛(すずめ)の祖父・楡野仙吉は、すでに妻・廉子(風吹ジュン)に先立たれ寂しさがただようが、まだ健在だ。伴侶を失った悲しみに暮れたが家族の支えで立ち直り、ギターの弾き語りを趣味に五平餅作りを楽しんでいる。

高度成長期にまさに青春真っ盛りだった中村雅俊

1951年生まれの中村雅俊は、高度成長期にまさに青春真っ盛りだった。宮城県石巻高等学校を卒業後、慶應義塾大学経済学部に入学するが、学生時代は日記がわりに曲を書いていたという。以前、中村を取材したときに青春時代の話を聞いたのだが、当時は学生の一人暮らしで定番だった四畳半一間のアパートに住み、テレビもなければ冷蔵庫もなくトイレは共同。楽しみといえばギターぐらいだったそうだ。まさにフォークソングの世界観。

アルバイトも横浜のホットドッグ屋をはじめ、デパートや靴店、工場、土木作業、ビル清掃など20職種以上を経験したという。そのなかで一番よかったのが家庭教師で、青山学院高等部に通う高1の女子に数学と英語を教えていたのだとか。東急池上線の雪が谷大塚の家で、生徒の母親も貧乏学生だった中村を気遣い、授業日以外も「夕飯食べにいらっしゃい」と可愛がってもらった思い出に、目を細めていた。

その後、大学在学中に英語劇を始めたのがきっかけで芝居にはまり、文学座の研究生に合格。1974年にはいきなり日本テレビ系のドラマ『われら青春!』の熱血教師役で主演デビューし、挿入歌「ふれあい」もミリオンヒットと、またたく間にスターになってしまった。下積みらしい下積みを経験しないまま、あれよあれよとテレビ俳優としてブレークしたため、文学座のベテラン座員は中村が座員であることを知らない者が多かったほどだという。

さらに翌年には、松田優作と若手刑事役でW主演し、後に結婚した五十嵐淳子と出会うきっかけともなった『俺たちの勲章』、続いて三流私学のバスケ部キャプテン役で主演した『俺たちの旅』と、中村の青春スターとしてのイメージを決定づけるような作品に恵まれた。

『半分、青い。』では、最初から孫の鈴愛(すずめ)を目の中に入れても痛くないというほど可愛がるやさしいおじいちゃんが板についた感のある中村だが、アラフィフ以上の世代にとっては、やはり往年の青春もののイメージが強いのではないだろうか。

歌手としての中村雅俊

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中村雅俊(2015年撮影:志和浩司)

そんな中村だが、俳優業のみならず歌い手としても有名だ。前述の「ふれあい」をはじめ「恋人も濡れる街角」などいまでも多くの人に愛唱されるヒット曲を持っている。そのひとつに「想い出のクリフサイド・ホテル」という曲がある。筆者は90年代、カメラマンとして駆け出しのころ横浜は元町の「クリフサイド」というダンスホールを撮影する機会があった。

戦後まもない1946(昭和21)年に「山手舞踏場」として開店した伝説の名店で、なんとなく歌詞に符号する点を感じ、曲のモデルはここでは?、と思った。ただ、クロークも待合室もホテルの風情なのだが、実際にはダンスホールであってホテルではない。長年の疑問を中村にぶつけると、嬉しそうに「そうですよ! 横浜のクリフサイドをモデルにしたとレコーディング当時、作詞の売野雅勇さんが言ってました」と即答が返ってきた。後に売野氏とも知り合い聞いてみたところ、クリフサイドという言葉の響きも好きだが、学生のころ先輩たちの会話に出てくるのを聞いて、大人の世界の匂いに興奮していたのだとか。

青春スターだった中村雅俊は、大人の世界を歌う大人の男になり、そしていま、孫たちを溺愛する優しくかわいいおじいちゃんを演じることができる年齢になった。中村には実際に、10歳になる孫がいて、孫を溺愛するおじいちゃん役は自然にできているようだ。歳をとることは悪いことではなく、むしろ人間としての幅が広がって、それはとても楽しいことなのだと、中村演じる仙吉じいちゃんは教えてくれる。

(文・写真:志和浩司)

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