音の錯覚。映画の演出に用いられるシェパードトーン(無限音階)とは?

音の錯覚。映画の演出に用いられるシェパードトーン(無限音階)とは?

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  • 更新日:2017/10/12
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無限音階(シェパードトーン)。聞きなれない言葉だが、それ自体はきっと聴いたことがあるはずだ。これは無限に音が上昇(あるいは下降)するように聞こえる音の錯覚だ。

無限音階は、音の上下をオクターブ離れた音程で挟まれた複数の正弦波で構成される。高音程、中音程、低音程の音はどんどん高くなり、最後まで流れると、また最初に戻るというループ状の構造をしている。

音の最後に近づくと、高音の音量は下がり、中音の音量はそのまま、低音は音量は上がる。音高が上がり続ける2つの音程が常に聞こえているため、脳はループしていることを無視して、無限に音が上昇しているのだと勘違いする。

こうした効果は映画でも使用されており、最近では『ダークナイト』に登場したバットポッドの使用例が有名だろう(4分46秒あたり)。

bat pod

同作品で効果音を担当したリチャード・キングによると、「クリス(クリストファー・ノーラン監督)のアイデアは、シフトチェンジがなく、なにかどんどん力が湧き出すように音がずっと上がり続けるというものだった。それで無限音階を思いついた」のだそうだ。

基本となる音は電気自動車レースカーとテスラ車で録音したという。

緊張感を演出

無限音階は映画やゲームの中で緊張感を演出する際に有効だ。クリストファー・ノーラン監督は最新作の『ダンケルク』でこれを効果的に用いている。

以下の動画では作曲者であるハンス・ジマーが無限音階を楽曲に組み合わせた手法を紹介している。

The sound illusion that makes Dunkirk so intense

インタービューで、ノーラン監督は次のように答えている。

「無限音階という音の錯覚があって、『プレステージ』を撮影したときに作曲家のデビッド・ジュリアンと一緒にいろいろ曲を書いて試してみたんだ。」

「無限に音が上昇しているように聴こえる錯覚で、床屋のサインポールみたいなものだ。動いていないのに、上に登り続けるように見える。ダンケルクの脚本はそれに基づいている。3つの時間軸を織り合わせて、緊張感がどんどん増すようにした。音楽も同じ数学原理に基づくようにしたかった。それで音楽と効果音と映像が融合して今までにないものを生み出せたよ」

ノーラン監督は映像の名手だが、無限音階に関しても匠の域に達しているようだ。

via:The Power of Sound: Using the Shepard Tone In Filmmaking/ translated by hiroching / edited by parumo

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