松岡茉優「綿矢さんの作品はいつも、聞いたことのない音で攻めてくる」

松岡茉優「綿矢さんの作品はいつも、聞いたことのない音で攻めてくる」

  • ダ・ヴィンチニュース
  • 更新日:2017/12/06

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、12月23日(土・祝)に初主演映画『勝手にふるえてろ』の公開を控えた松岡茉優さん。原作者である綿矢りささんの小説の魅力について語ってくれた。

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松岡茉優まつおか・まゆ●1995年、東京都生まれ。2008年より『おはスタ』のおはガールとして、本格的にデビュー。ドラマ『鈴木先生』などの出演を経て、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』で注目を浴びる。出演作に大河ドラマ『真田丸』、映画『ちはやふる』など多数。ドラマ『コウノドリ』に出演中。ヘアメイク:宮本 愛 スタイリング:有本祐輔(7回の裏) 衣装協力:プリントブラウス 3万4000円(ミュラー オブ ヨシオクボ TEL03-3794-4037)リバーシブルベスト 3万8000円、タックスカート 3万1000円(ともにエフダブリューケー バイ エンジニアド ガーメンツ/エンジニアド ガーメンツ TEL03-6419-1798) ※全て税別

「酸素と同じように活字を吸いたい。あいた時間があれば活字を摂取したい。マンガも、絵本も、小説も、図鑑も、新書も、コラムも、なんでも大好きです」

まさに活字中毒の松岡茉優さん。初主演映画『勝手にふるえてろ』の原作者・綿矢りささんの小説も、もちろん大好きだ。

「綿矢さんの小説は文章がまさに“美”だなって。わかりやすい説明台詞も描写もないのに、心情を追っているだけでその情景がありありと浮かんでくる。『ひらいて』を読んだときは、これまでの作品と文体ががらりと変わっていて、でもそれが主人公のひたむきな想いにとてもマッチしていて、まるで憑依するように文章を書かれる方なんだなと思いました。自分の文章があって小説が生まれる、のではなく、小説のよさを引き出すために文体さえもコントロールしているんだ、と。衝撃を受けましたね」

本誌でお薦めしてくれたのは、『かわいそうだね?』所収の中編小説「亜美ちゃんは美人」。『勝手にふるえてろ』の主人公ヨシカに「あなたの闘いは尊いし心から健闘を祈るものだけれど、それとは違う土俵に立って現実を闘っている女の子たちもいるんだよ、と伝えたかった」ため。表題作を選ばなかったのは、「ヨシカにはレベルが高すぎるから」。

中学時代の同級生“イチ”に10年近く片想いを続けるヨシカ。卒業後は一度も会ったことのない彼への想いを、わずかな思い出と脳内で育てた妄想で満たす日々だ。対して「かわいそうだね?」の主人公・樹理恵は、彼氏の隆大が行き場を失った元カノを同居させるという修羅場に直面し、右往左往。確かに、恋愛レベルが違いすぎる。

「ヨシカ向きじゃないな、と思って選べなかっただけで、『かわいそうだね?』も大好きなんです。綿矢さんっていつも、聞いたことのない音で攻めてくる印象があって、この本もまずはタイトルの響きにつかまれ、手にとりました。樹理恵の献身的でひたむきな姿がいとおしくて。そんなに隆大のことが好きなんだなあ、って心情をたどっているうちに私まで彼を好きになってきてしまう。……まあ、現実に隆大みたいな男性がいたら、仲良くなれないですけどね(笑)。『同居が受け入れられないなら別れよう』とか、最初から腹が立ってしかたなかったです。私なら、『いやだっていう私の話が聞けないなら、これで終わりだ』って言っちゃうと思います。でも樹理恵もただ献身的なだけじゃなくて、どんなに大好きな人でも最後にはぶん投げてしまう小気味よさが綿矢さんの作品にはいつもあって。そのあたりは『勝手にふるえてろ』と似ているかもしれません。現実を闘う女性たちへの、まごうことなき応援小説だなって思います」

どんだけねじくれたら、生きやすくなるの。映画のなかで松岡さん演じるヨシカが歌う歌詞の一部だ。松岡さんが言うとおり、土俵は人によって違うけれど、女の子はみんなそれぞれの現実を必死の思いで闘っている。

「私も中学時代はアニメのキャラクターを脳内に召喚して、本当に実在するかのように語りかけたり、心のよりどころにしていました。妄想上の人は自分を決して傷つけないし、だから強烈に好きでいつづけられる、その想いがあれば生きていける、っていうことがあるのを、私もよく知っています。高校にあがるときに卒業してしまった私と違って、ヨシカは10年以上もイチを想い続けてきたから、現実に直面したとき、頭のてっぺんから崩れ落ちるような衝撃を受けた。それが彼女の想いの強さの表れだと思いますし、生きていくために何か好きなものを見出していくことは、大事なんじゃないかなと思います」

(取材・文=立花もも 写真=下林彩子)

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「亜美ちゃんは美人」(『かわいそうだね?』所収)

綿矢りさ 文春文庫 500円(税別)

悪くないルックスなのに、とびぬけて美人の亜美ちゃんが隣に居続けたせいで、常に比較され、光を吸い取られてきたさかきちゃん。大事な友達だし、群がる有象無象から彼女は私が守らなくちゃ。そう思っていたはずが、亜美ちゃんがよくない男に骨抜きにされ始めたころから、蓋をしてきた自分の本音が見えてきて……。

※松岡茉優さんの本にまつわる詳しいエピソードはダ・ヴィンチ1月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

映画『勝手にふるえてろ』

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原作:綿矢りさ(文春文庫) 監督:大九明子 出演:松岡茉優、渡辺大知(黒猫チェルシー)、石橋杏奈、北村匠海(DISH//)、古舘寛治、片桐はいり 配給:ファントム・フィルム 12月23日(土・祝)より全国ロードショー ●中学時代の同級生だった“イチ”に10年間片想いしているヨシカ(24歳)。わずかな思い出を反芻し、妄想を重ねて満足する彼女は、あるとき同僚の“ニ”から強引なアプローチを受けて……。
(C)2017映画「勝手にふるえてろ」製作委員会

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