開業医の知られざる真実...あなたのクリニック選び、それで大丈夫?

開業医の知られざる真実...あなたのクリニック選び、それで大丈夫?

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2018/04/17
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名医検索サイト「クリンタル」の代表取締役・杉田玲夢さん(医師)に、かしこい患者になるためのコツを解説してもらう短期集中連載第2回。今回は、クリニックを選ばなければならない理由についてです。(→第1回はこちら

2つの役割

「クリニック」とは、診療所を指し、病床が20床未満の医療機関とされています(20床以上は「病院」と呼びます)。

皆さんがクリニックと聞いてイメージするような街の開業医がほとんどですが、中には入院施設を持っていて、見た目にかなり大きい場合もあります。

ではなぜ「病院」とは別に「クリニック」があるのか。

その役割は大きく2つあります。

1つは、外来通院で済むような比較的軽症の患者さんに対して、適切な医療や情報を提供すること。

もう1つは、クリニックでは対応できない精密検査や手術が必要と思われる患者さんを迅速に発見し、適切な病院へと紹介すること。

ようするに、自分のところで対応できる患者さんには適切な医療を提供し、対応できない患者さんには適切は病院を紹介する、ということです。

クリニックをしっかり選ばないと、これら2つの点において患者さんにデメリットが生じることになります。それぞれ見ていきましょう。

開業医は経営者でもあるので…

クリニックの役割の1つは、適切な医療や情報を提供することにあります。

しかし、この「適切な」というのが、実はなかなか難しいことです。というのも、医療は日々進化しているので、3年前の常識が通じないということがままある世界なのです。

新しい薬は毎年登場しますし、患者さんへの説明の仕方や検査すべき項目なども、診療ガイドラインの改訂などを通じて日々改善されています。そのため、医師は基本姿勢として、生涯学び続ける必要があります。

ただ、現実問題として、クリニックの医師が日々アップデートされていく医療にきちんとついていくのは、病院の勤務医にくらべてかなり困難なのです。なぜか? それは次のような事情によっています。

まず、学ぶための時間の確保が難しい。

クリニックの先生は、開業医であると同時に経営者でもあります。病院の勤務医であれば、診療以外の時間を研究や勉強にあて、知識やスキルを高めていけますが、開業医は、診療以外の時間にまず経営を考えなければなりません。

看護師をいつ増やすのか。外注費用はどう減らしていくか。ホームページでどういう情報発信をすればいいのか……。経営者として考えなければならないことはたくさんあります。

病院だったら事務職員や病院長が検討する事柄を、開業医は診療しながら一人でやる必要があります(一部をコンサルタントに任せている場合もありますが、自身の業務がなくなるわけではない)。

結果として、研究や勉強にあてられる時間がどうしても少なくなるわけです。

勤務医との環境のちがい

時間的な制約以外にも、開業医が最新の医療にキャッチアップし続けていくことが困難な理由があります。

医師が勉強する方法は、「知識」と「手技・技術」でまったく異なります。

医療に関する最新の「知識」を得る方法は、とにかく文献を読むことにつきます。

医学論文を読めば、薬Aと薬Bを比較したらこうだった、このような患者さんにこんな治療をしたらこういう結果になった、などなど最先端の知識に触れることができます。

あるいは、エビデンスのしっかりした論文の集合体でもある、参考書・教科書を読むことでも知識は身につきます(最先端から数年遅れにはなりますが)。

これらは幸い、ウェブの発達によってどこでも読めるようになったので、開業医であっても簡単に手に入れられます。

では何が問題かというと、良い論文を教えてくれる目利きが周囲にいるかどうかという点です。

医学論文は日々大量に公開されていて、本当に玉石混合です。つまり、良質な論文を探すこと自体に時間がかかるのです。

病院の勤務医であれば、院内の勉強会で良質な論文に触れたり、他の先生から読んでよかった論文を教えてもらうことができます。

医療の「知識」は文献から得られますが、「手技・技術」は実際に人から学ぶ必要があります。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」ではありませんが、「手技・技術」を身につけるには、実際にその手技を人がやっているのを見て、指導者の監督・補助のもとで自分でやってみて、最後に自分一人だけでやってみなければなりません。

すぐそばに教えを請えるような人がいないと、最先端の手技・技術はなかなか身につかないのです。

これも勤務医の場合には、同じ診療科の医師もすぐそばにいて、互いに教えあえるので、学びやすい環境です。クリニックでは、1人の患者さんを複数の医師で見る機会が基本的にないので、新たな手技・技術を身につけるハードルが一気に上がってしまいます。

このような環境の違いから、クリニックの医師は相当な努力をし続けないと、新しい知識も技術も得られません。そのため残念ながら、最新の治療ではなく、一昔前の治療法を続けている開業医も少なくないと思われます。

誤解のないように申し添えれば、古い治療だからすべて間違っているということではありません。ここで言いたいのは、治療の「選択肢」が減ってしまっている場合があるということです。

薬が過剰になる可能性も

クリニックを選ばないと、他にもデメリットがあります。

例えばこんなケースを想像してみてください。

「先生、微熱があって、喉がいたいんです」

「いつからですか?」

「3日前ぐらいからです」

「他になにか辛いところはありますか?」

「特にないです、とにかく喉の痛みが一番辛いです」

「ただの風邪かもしれないし、扁桃炎かもしれないから、風邪薬と抗生剤を両方出しておきますね」

風邪に抗生剤は効きません。それでも、「念のため」ということで両方の薬を処方される。皆さんも経験があるのではないでしょうか。

もしも単なる風邪であったら、抗生剤に耐性を持った菌が体内で出てきてしまってむしろよろしくないのですが、実際に多くのクリニックで行われています。

なぜクリニックでは抗生剤に限らず多くの薬が処方されるのか。

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〔PHOTO〕iStock

その理由は、そもそも患者さんの訴えを聞く診察だけでは確定診断できないことのほうが多いからです。そのため、疑わしい病気に幅広く対応できるように多めに薬を処方することになります。

同時に、多くの薬を出したほうが患者さんも喜ぶという事情もあります。なかには抗生剤を出してくれる先生は優しいと誤解している患者さんもいます。患者さんをできるだけ引き止めたい開業医としては、患者さんの希望にそった処方になってしまうことがあります。

結果として、薬が過剰になり、必要のない薬のために支払う医療費が増え、副作用のリスクが上がることもありうるのです。

「紹介の質」の問題

クリニックの2つ目の役割、「他の病院への紹介」についてはどうでしょうか。

こんなケースを考えてみましょう。

「お腹がかなり痛くて、熱も出てきてるんです」

「これは盲腸ですね、手術が必要になりそうですね」

「どうしたらいいですか」

「近くに僕の知り合いのいい外科医の先生がいるから紹介しますね。そちらをすぐ受診してください」

「ありがとうございます」

このような流れをどう思いますか。先生の知り合いだから安心だ、と思う方がほとんどでしょう。

しかしよく考えてみると、外科医は世の中に何万人もいるのに対して、1人の開業医の知り合いの外科医なんてせいぜい数十名でしょう。その中で「いい先生」と言われても、どれぐらい経験を積んだ医師なのかまったくわかりません。別のクリニックに行ったら、また知り合いの、全然違う先生を紹介してくれる可能性もあります。

これが盲腸ならまだしも、例えば胃癌の疑いがあって手術を受ける病院を紹介してもらう、となったら……? 先生の知り合いというだけで、自分の命を預けられますか。

多くのクリニックでは、病院を紹介する際に、近くの大病院を紹介する、もしくは自分の出身医局のある大学病院を紹介する、というパターンが多いです。つまり、クリニックを選んだ時点で、その後入院する病院や手術を受ける先生まで、自動的に決まっているともいえます。

医師がたくさんいる大きな病院と違って、クリニックは院長である医師の性格や方針が色濃く出ます。院内の清潔感に気を配っている医師もいれば、外来の際の説明の丁寧さに気を配っている医師もいます。

どのクリニックや医師が自分に合うかは人それぞれですが、上記で述べたような、「医療の質」や「紹介の質」という本質的な部分で損をしないためにも、見極めるための目を養うことは重要です。そのための、クリニックの選び方はまた稿を改めてお伝えしましょう。

(つづく)

連載第1回:入院日数が10日も違う!? 知らないと損する「病院の選び方」はこちら→http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54939

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