【10月米個人所得・消費支出】個人消費は予想比下振れも、個人所得は堅調な賃金・給与が下支えし、16年4月来の高い伸び。

【10月米個人所得・消費支出】個人消費は予想比下振れも、個人所得は堅調な賃金・給与が下支えし、16年4月来の高い伸び。

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  • 更新日:2016/12/01
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■結果の概要:個人所得は、予想を上回るも、個人消費は予想を下回る

11月30日、米商務省の経済分析局(BEA)は10月の個人所得・消費支出統計を公表した。個人所得(名目値)は、前月比+0.6%(前月改定値:+0.4%)となり、上方修正された前月から伸びが加速、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の+0.4%も上回った。

一方、個人消費支出(名目値)は、前月比+0.3%(前月改定値:+0.7%)と、上方修正された前月改定値を下回ったほか、市場予想(+0.5%)も上回った。価格変動の影響を除いた実質個人消費支出は、前月比+0.1%(前月改定値:+0.5%)と前月改定値、市場予想(+0.3%)ともに下回った。貯蓄率(*1)は6.0%(前月:5.7%)と前月から上昇した。

価格指数は、総合指数が前月比+0.2(前月:+0.2%)と前月値に一致したものの、市場予想(+0.3%)は下回った。また、変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は、前月比+0.1%(前月値:+0.1%)と前月、市場予想(+0.1%)に一致した。なお、前年同月比では、総合指数が+1.4%(前月:+1.2%)、コア指数が+1.7%(前月:+1.7%)となり、コア指数は前月に一致したものの、総合指数は3ヶ月連続で伸びが加速した。

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(*1)可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。
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■結果の評価:個人消費は堅調も、高い伸びとなった前月の反動で伸びは鈍化

名目個人消費(前月比)は、市場予想を下回る伸びに留まったものの、9月が+0.7%の高い伸びとなった反動とみられる。もっとも、9月の高い伸びが8月の消費不振の反動であったことも考慮すると、10月は好調であった9月からさらに消費が伸びているため、消費は堅調であると判断できる。

一方、所得対比では、貯蓄率が再び8月以来の水準まで上昇しており、消費余力を残した形となっている。このため、足元の資本市場の堅調さと合わせて考えると、消費はもう一段の加速が期待できる状況である。

物価(前年同月比)は、コア指数が安定する一方、エネルギー価格の持ち直しもあり総合指数が7月以降、3ヵ月連続で上昇しており、物価上昇圧力には緩やかながら高まりがみられる。もっとも、総合指数、コア指数ともにFRBの物価目標(2%)を下回る状況が持続している。

■所得動向:労働需給の改善を反映して賃金・給与が堅調

個人所得の内訳をみると、賃金・給与が前月比+0.6%(前月:+0.5%)と堅調な伸びが持続している。雇用統計の時間当たり賃金の伸びが2ヵ月連続で加速するなど、労働需給の改善が賃金増加に繋がり易い環境となっており、今後も賃金・給与の堅調推移が期待できる。一方、利息・配当収入は+1.2%(前月:+0.2%)と14年4月以来の高い伸びとなり、こちらも所得の伸びに貢献した。

個人所得から社会保障支出や税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、名目値が+0.6%(前月:+0.4%)と16年4月以来の伸びとなったほか、価格変動の影響を除いた実質ベースも前月比+0.4%(前月:+0.2)と、こちらは15年12月以来の伸びとなった。

■消費動向:公益、外食・宿泊、娯楽などのサービス消費が減少

名目個人消費(前月比)は、財消費では+1.3%(前月:+1.2)と2ヵ月連続で高い伸びとなった。非耐久財が+1.4%(前月:0.7%)と前月から伸びが加速したほか、耐久財が+1.0%(前月:+2.1%)と、前月から鈍化したものの、高い伸びを維持した。非耐久財ではガソリン・エネルギー関連が+6.7%(前月:+5.3%)と高い伸びとなったほか、耐久財では自動車・自動車部品が+1.4%(前月+5.2%)と底堅い伸びとなった。

このように財消費は堅調であったものの、サービス消費は▲0.2%(前月:+0.5%)と12年8月以来のマイナスとなった。住宅・公共料金が▲0.6%(前月:▲0.0%)と2ヵ月連続で減少したほか、外食・宿泊が▲1.0%(前月:+1.1%)、娯楽サービス▲0.9%(前月:+2.2%)、交通が▲0.4%(前月:+0.9%)と、軒並み前月からマイナスに転じた。公共料金などの減少は、一部は10月の温暖な気候に伴う燃料消費の減少によるとみられる。

■価格指数:食料品価格の下落が持続しているものの、エネルギー価格の上昇が顕著

価格指数(前月比)の内訳をみると、エネルギー価格指数が+3.8%(前月:+3.0%)と2ヵ月連続でプラスとなるなど、上昇が顕著となった。一方、食料品価格指数は▲0.1%(前月:▲0.1%)と、こちらは6ヵ月連続でマイナスとなっており、エネルギー価格と対照的となった。

前年同月比では、エネルギー価格指数が▲0.2%(前月:▲3.5%)と3ヵ月連続でマイナス幅が縮小しているほか、ほぼマイナス幅が解消した状況となっている。一方、食料品価格指数は、▲1.8%(前月:▲1.7%)と、こちらは6ヵ月連続でマイナスとなった。

原油価格は、30日のOPEC総会で8年ぶりに減産合意が実現したことから、当面堅調に推移するとことが見込まれる。このため、これまでみられたエネルギー価格の物価押下げ効果は早期に解消しよう。

窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員

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