タピオカの前に一世を風靡した「高級ポップコーン」は今?

タピオカの前に一世を風靡した「高級ポップコーン」は今?

  • MONEY PLUS | くらしの経済メディア
  • 更新日:2019/06/23

いま、巷ではタピオカが一大ブームを巻き起こしています。タピオカブームは今回で3度目になります。

ティラミス、クレームブリュレ、カヌレ、ベルギーワッフル、マカロン、パンケーキ……。一大ブームを巻き起こしたスイーツの多くは、ブーム一巡後は定番化し、今では街中のスイーツショップやコンビニなどで、普通に手に入る存在になっています。

しかし、中には定番化せず、露出が大幅に減ってしまった感のあるスイーツもあります。 2013年から2015年頃にかけてブームを巻き起こした高級ポップコーンは、その代表格ではないでしょうか。そんな高級ポップコーンが、実は密かに人気を取り戻しつつあるようなのです。

ポップコーンの概念を覆した

2013年1月にヒルバレーが中目黒に、翌2月にギャレットが原宿にそれぞれ1号店を開店させると、たちまちブームが巻き起こった高級ポップコーン。このブームは、それまで日本人が抱いていたポップコーンのイメージを大きく覆しました。

映画館で売っている、大きな紙のパッケージに入った塩味のポップコーンとは、まず形状がまったく異なります。普通のポップコーンは蝶が羽を広げたような形をしていますので「バタフライ型」と呼ばれていますが、高級ポップコーンは大きくて丸いマッシュルームのような形をしていますので「マッシュルーム型」と呼ばれています。

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一般的なバタフライ型のポップコーン ※マッシュルーム型は画像ギャラリー参照

作り方も違います。普通のポップコーンは、熱を加えると破裂する「爆裂種」というトウモロコシを材料に、油を使って破裂させて作ります。一方、高級ポップコーンは油を使わず、専用の種類のトウモロコシを専用の機械で熱風を当てて膨らませます。これにキャラメルやチョコレート、フルーツなどの甘いソースやドライフルーツを絡めるのです。

ちなみに、ヒルバレーはマッシュルーム型のみですが、ギャレットはマッシュルーム型とバタフライ型を黄金比率で混ぜ合わせています。ヒルバレーは1粒ずつバラバラになるように仕上げているのに対し、ギャレットは数粒単位で固まるよう、手作業で仕上げています。

2年足らずでブーム終焉

ギャレットはシカゴに本社があって、今年9月に創業70周年を迎える、グローバル展開しているブランドです。一方のヒルバレーは、実は国産ブランド。米国で高級ポップコーンに出会った創業者が日本ポップコーンという会社を設立し、独自のブランドを立ち上げました。

先行したこの2ブランドが業界を牽引したことは事実ですが、海外から続々と多くのブランドが上陸し、店舗を構えたため、露出が増加。映画館で売っている定番のポップコーンの3分の1~4分の1くらいの量で1,000円近くするにもかかわらず、店舗には大行列ができるほどの大人気。マスコミもこぞって取り上げました。

しかし、そのブームも2015年頃を最後にピークアウトします。各ブランドも相次いで店舗数を減らしたため、露出も後退していきました。先行したヒルバレーも例外ではなく、ピーク時に15程度あった常設店舗も相次いで閉店を余儀なくされました。

業績も悪化したため、2015年10月、和製ファンドの草分け・アドバンテッジパートナーズが、創業者が保有していた同社の全株式を買収し、再建に着手。店舗を縮小する一方、製造工程を見直し、需要予測に基づく生産管理の徹底などで、生産性を大幅に改善しました。

ヒルバレーの復調を支えるOEM

ヒルバレーの店舗は現在、創業の地である中目黒の本店、東京、大阪・梅田、札幌の各大丸百貨店内の計4ヵ所だけですが、OEM(相手先ブランドでの受託生産)供給を積極化。ピークアウトした2015年付近と比較して一時期は半分近くまで落ち込んでいた売上高も、2015年当時の7割くらいまで回復しています。

OEMは、供給先のブランド名で露出するうえ、基本的に供給先がOEMの供給元を明かしません。供給元にも供給していることを公表しないよう求めます。ヒルバレーも同様で、実名をここに記載できないのですが、昨年からかなり大口の供給先を複数獲得しています。

ちなみに、よく耳にする「グルメポップコーン」という呼称、実はヒルバレーが商標登録しています。一般的には「プレミアムポップコーン」という呼称が使われていたので、そのさらに上を行くのだという思いが込められているのだそうです。

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高級ポップコーンの草分けであるヒルバレー(左)とギャレットのパッケージ

一方、ギャレットはピーク時でも6店舗しか出店していません。すべて店舗内のバックヤードで製造するため、出店可能な物件が限られていたことが原因です。このうち1店舗は2016年に閉店。現在は1号店の原宿、東京駅1番街、JR名古屋高島屋、大阪のららぽーとEXPOCITY、酒々井プレミアムアウトレットの5ヵ所で展開しています。

ブームのピーク時でも店舗数が限られていたため、当時は欠品が常態化していました。逆に言えば、ピーク時の売り逃しが多かった分、ピーク時からの減収幅も3割程度に留まっているようです。

ギャレットは米本社の直営に

ギャレットブランドのポップコーンは、上陸時から昨年10月までの間、カルビーとペプシコの資本提携の一環で、カルビーの100%子会社となっているジャパンフリトレーが、米国のギャレット本社からライセンス供与を受けて製造・販売していました。

しかし、ギャレット側が望むペースで経営資源を割いてもらえなかったため、昨年10月、米国のギャレット本社の直営に変わりました。

OEMでの展開は考えておらず、「結婚式の引き出物や中元・歳暮市場への参入を狙っている」(ギャレットジャパン広報)のだそうです。名古屋の店舗が高島屋の店舗内にある縁で、名古屋高島屋の中元・歳暮には採用されています。出店も再開したい考えです。

ギャレットによれば、日本は高級ポップコーンの世界でもガラパゴス化した市場で、季節ごとに期間限定のフレーバーを投入したり、缶容器のデザインも変える必要がある、希有な市場だそうです。

このため、缶をコレクションするファンもいるようです。2017年、2018年は、プロ野球セ・リーグ6球団バージョンの缶も投入しています。6球団とも、球団側がまったく告知をせず、販売もギャレットの5ヵ所の店舗に限られていたため、知らなかったプロ野球ファンも多かったはずです。

定番化のお手本は●●?

余談ですが、実は日本古来のお菓子にも、マッシュルーム型のポップコーンとよく似た、ポリコーンというお菓子があります。スーパーでは煎餅などの棚によく置いてあります。

原料は高級ポップコーンとはまったく違い、直径が2センチメートル近くある大粒のトウモロコシです。これを圧力釜を使って膨らませて、やはり表面にキャラメルソースなどをコーティングしています。

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日本に定着しているポリコーン

作り方は高級ポップコーンとよく似ていますが、高級ポップコーンは表面に細かい溝があって、そこにもソースがしっかり浸透しているのに対し、ポリコーンは表面がツルツルしています。そのせいか、コーティングも薄く、食感も高級ポップコーンに比べるとだいぶ軽くなっています。

日本人にはポップコーンは定着しないという説を唱える専門家もいますが、ポリコーンが地味に長く愛されてきたことからすると、そうとも言えなさそうです。

日本生まれのヒルバレー、日本独自の路線を模索するギャレット。ブームが去り、淘汰が進み、生き残ったのが草分けの2強です。ブームの時は手に取ったけれど、しばらくご無沙汰しているという方も、あるいはまったく食べてみたことがない方も、機会があれば手に取ってみてはいかがでしょうか。

(伊藤歩)

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