志願したい大学ランキングに異変...早稲田が1位、慶應が7位転落、青学が大躍進の理由

志願したい大学ランキングに異変...早稲田が1位、慶應が7位転落、青学が大躍進の理由

  • Business Journal
  • 更新日:2018/11/18
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リクルートマーケティングパートナーズが運営するリクルート進学総研が「進学ブランド力調査 2018」を発表した。同調査は、高校3年生を対象にした、各大学への志願度・知名度およびその他イメージに関する大規模な調査の最新版だ。

「志願したい大学」を見ると、関東では早稲田大学が2年連続1位、東海では名城大学が2年連続1位、関西では関西大学が11年連続1位に輝いた。関東では、明治大学が2位、青山学院大学が3位、日本大学が4位と続く。

また、文系1位(関東)は青学大(昨年3位)、理系1位は日大(昨年3位)となっている。同調査は日大アメリカンフットボール部の問題が噴出する前に行われたものだが、リクルート進学総研の小林浩所長は日大のブランド力について「今後の動きなどにもよりますが、日大ブランドはこれ以上毀損しない可能性が高く、逆に『進学しやすい』と考える学生も多いかもしれません」と解説する。

●早慶に意外な“ブランド力格差”…明大の変貌

今、高校生が志望大学を選ぶ要因は偏差値だけではない。一昔前までは、予備校の模擬試験での偏差値を基に志望大学を決める高校生が多かったが、今や大学の広報活動、学部・学科のラインアップ、教育・研究活動、在校生や卒業生の活躍、教職員の活動、クラブ活動、地域貢献活動、キャンパスの立地、歴史、教育の理念、学風など、ありとあらゆる要素が加味される。逆に言えば、それらすべてが大学のブランドを構築する要素となっているわけだ。

そうして構築される大学のブランド力を軽視すると、大学の経営にも影響を及ぼしかねない。ブランド力が向上すれば、志願者が増え、学生や教職員の満足度も向上する好循環が生まれる。一方、ブランド力が低下すれば、滑り止めでの志願者が増え、それが教育の質の低下につながり、学生や教職員の満足度も低下する悪循環に陥ってしまう。

今や大学経営に大きな影響を及ぼしているのは、偏差値よりも高校生たちが考える「進学ブランド力」といえる。ちなみに、関東では一般的に私立志向が強いという。

それでは、前述の「志願したい大学」で2年連続1位(関東)の早大は、どんな点に魅力があるのだろうか。小林所長は「景気が良くなって私立志向がますます強まるなかで、『ちょっと無理かもしれないが受けてみよう』という志願者が増えたこと、『就職に強い早稲田』という評価が高まっていることが大きい」と指摘する。

ちなみに、早大と並ぶ私学の雄である慶應義塾大学は、昨年の4位から7位に転落した。「慶大に関しては、高校生が『ハードルが高い』という表現をよく使います。もちろん、偏差値が低下したということではないのですが、広く学生を集めるというイメージではないのかもしれません」(小林所長)

代わって上位にランクインしてきたのが、青学大だ。2013年に文系学部が青山キャンパスに完全移転し、箱根駅伝では4年連続総合優勝を果たすなど知名度も上がっている。イメージ項目別では、「おしゃれな」(関東)で昨年に続き1位、「学校が発展していく可能性がある」(関東)では昨年の10位から3位に浮上している。

「志願したい大学」男子1位(関東)の明大の変貌も見逃せない。「昔はバンカラなイメージでしたが、キャンパスを整備してきれいなパウダールームを新設するなど、女子学生に受ける施策や広報に力を入れています」(同)。ちなみに、明大は「知っている大学」(関東)で早慶を抜いて1位となっている。

●日大ブランドが崩壊しない理由

「志願したい大学」ランキングは、時代とともに変遷してきた。

「リーマン・ショック前は早大が強く、その後は明大が逆転し1位になりました。ここ数年は早大と明大の2強ですが、その一角に青学大が食い込みつつあるという構図です」(同)

「志願したい大学」で理系1位(関東)に輝いた日大は、アメフト部の問題に端を発する大学の体質が非難を浴び、志願者数減少も取り沙汰された。日大教職員組合の調査によると、オープンキャンパスの来場者数が今年度は3万5773人で、昨年度から7955人(18.2%)の減少だという(調査に回答した10学部の来場者数の集計)。

やはり、日大ブランドは崩壊してしまったのだろうか。小林所長は、「こうした動向を見て、第一志望や指定校推薦の層には影響が出るかもしれませんが、全体としては意外と『日大は進学しやすいのでは』と考える受験生が増えるかもしれません」と指摘する。

大学の進学ブランド力は10年以上の年月を経て培われるものであるため、日大は一時的なイメージ悪化は避けられないものの、長期的にどのような影響が出るかについては、もう少し様子を見たほうがいいようだ。

日本一の学生数を誇る日大は文系学部から医学部まで総合的に展開しており、各業界に卒業生を輩出している。特に、建設系の就職では設計・施工ともに強いとされており、建設業界では東京大学、早大に並ぶ学閥を形成している。また、社長の出身大学ではもっとも多いことでも知られる。

日大ブランドが維持されるもうひとつの要因は、「MARCH」(明大・青学大・立教大学・中央大学・法政大学)の難易度が高くなったことだ。そのため、「『日東駒専』(日大・東洋大学・駒澤大学・専修大学)が『志願したい大学』の上位にランクインしやすくなっている」(同)という。前述したように、関東では私立志向が高まっていることも追い風だ。

●関西ツートップは関西大学&近畿大学

では、関東以外の「志願したい大学」の動向はどうか。

「進学ブランド力向上のカギは“改革”です。関西では、キャンパスを新設した関大が1位で、マグロの研究で有名になった国際色豊かな近畿大学が2位につけています。東海では、景気が悪くなると国立の名古屋大学が1位になり、良くなると私立の名城大が強くなる傾向があります。今は景気が良いので、総合、理系ともに名城大がトップになり、文系1位は南山大学です。名古屋大は総合2位となっています」(同)

東海では、名城大、名古屋大、南山大の3強が4位以降に大きな差をつけつつあるという。名古屋大といえば、岐阜大学と運営法人の統合を発表したことでも話題になった。

大学関係者は、「名古屋大と岐阜大が大学の未来像。今回の運営統合は、実質的に名古屋大による岐阜大の救済です。これから運営統合する大学が相次ぐと思います」と語る。

小林所長は「『志願したい大学』で20位以内に入っている大学は、進学ブランド力がしっかりしている大学」と語る一方で、こう指摘する。

「進学ブランド力も知名度も低く、改革も進んでいないため経営的にも非常に厳しい大学が数多く存在します。地方でブランド力を高めるためには、ロボット工学で有名な金沢工業大学(石川県)、国際色豊かな国際教養大学(秋田県)、海外人留学生の多い立命館アジア太平洋大学(大分県)などのように、特色を打ち出すのがベストです」(同)

地方では自分の学びたい学部や学科が存在しないため、大都市圏の大学に進学する若者が増え、それが大都市圏への人口流出が加速する要因にもなっているという。

「日本には約800の大学がありますが、そのすべてが生き残るのは難しいでしょう。今後は統合・連携が進むことが予想されますが、特に地方では高等教育の場として存続できるような施策が必要になってくると思います」(同)

進学ブランド力を高め、勝ち残る大学はどこか。少子化の進む日本の焦点のひとつとなるだろう。
(文=長井雄一朗/ライター)

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