全ては日光浴の為。19世紀後半のフランスで日光療法の為に設置された大がかりな回転式サンルーム

全ては日光浴の為。19世紀後半のフランスで日光療法の為に設置された大がかりな回転式サンルーム

  • カラパイア
  • 更新日:2019/08/22
No image

太陽の光を浴びることは人間に様々な健康効果を与えてくれる。例えばビタミンDをつくるのには日光浴が必要で、ビタミンDがなければカルシウムは吸収されない。

19世紀後半に、日光浴がクル病を防ぐビタミンDを生み出すのを促進することがわかり、ますます重宝されるようになった。

当時、患者を太陽光にさらして治療する日光療法が、皮膚病、ガン、骨結核などさまざまな病の治療法として確立された。

更に日光にさらされると、精神面にもいい影響を及ぼすことも当時から知られていたのだ。

【他の記事を見る】19世紀、精神疾患患者の治療に使われた遠心分離機

1929年、世界初の回転式サンルームが誕生

パリで化学線学の研究所を運営していたジャン・セドマン博士も、この効能に気がついていた。

セドマンは、1897年、ルーマニアに生まれ、10代の頃にフランスに移住してきた。医学を勉強し、科学の一分野である高エネルギー光の化学的影響を研究する化学線分野の最初の専門家になった。

1929年、より効率的な紫外線治療を行うための回転式サンルームを設計し、特許をとった。

No image

ジャン・セドマン博士

太陽の動きに合わせて回転する大掛かりな設備

世界初の回転式サンルームは、フランス南東部のサヴォイアルプスにあるエクス・レ・ベンに建設された。

建築家のアンドレ・ファルデが設計したもので、建物は、待合室と検査室のある一階とその上に尖った円錐形の屋根をもつ小塔があり、その内部にあるエレベーターとらせん階段で上に上がることができるようになっていた。

タワーの上には、水平に両サイドに延びるウィングがあり、太陽の動きに合わせて回転するようになっている。

このウィング内にいれば、一日中太陽光を浴びることができるというわけだ。ウィングの中央には、監視・制御ルームがあり、両サイドのウィングは患者のためのガラス張りの治療室になっていた。水平に回転するウィングは、長さ25メートル、幅6メートルで、重量は80トンだった。

No image

患者に施した日光療法

各治療室には、傾けることのできるベッドがあり、患者を太陽光に対して垂直に保つことができるようになっていた。

No image

回転サンルーム内の傾けることのできるベッド Photo credit:www.persee.fr

酸化ニッケルやコバルトガラスのスクリーンが、特定の波長の光をブロックすることができるようになっていて、患者のさまざまな患部に直接、太陽光を集中して当てるためのレンズも備わっていた。

No image

日光浴のできる治療室からの眺め photo credit:pastvu.com

セドマンは、リウマチ、皮膚炎、結核、くる病、ガンなどの患者を治療するためにこのサンルームを使った。

1934年、セドマンはさらに、フランス、アルプ=マリティムのヴァロリスや、インド、グジャラート州のジャムナガルにも、新たにこのサンルームを建設した。

No image

インド、ジャムナガルのサンルーム photo credit:solariumtournant.com

後者は、設立者マハラジャ・ジャム・ランジットシンジの名にちなんだ、ランジット・ポリマー放射線治療研究所の一部で、使われなくなった後も、まだ残っている唯一の建物だ。あとのふたつは、第二次大戦中に破壊された。

References:The Rotating Solariums of Jean Saidman | Amusing Planet/ written by konohazuku / edited by parumo

・あわせて読みたい→まるで鳥人間。17世紀に実際に着用されていた医師用ペスト防護マスクに関する事実

動画・画像が表示されていないときはこちらから

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

サイエンスカテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
中国の探査機が月の裏側で発見、謎の「ゲル状物質」の正体
〝宇宙人ホームレス〟が地球上に数千体!? 彼らの目的に驚愕!!
100兆個以上!「おなかの中の花畑」は、我らを支えるパートナー
インドの月着陸機「ヴィクラム」、月面着陸に挑むも通信途絶える
光の99.995%を吸収する素材が誕生し「黒さの世界記録」を更新、前世界1位の10倍以上の黒さ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加