CS進出へ「ここからが勝負」と語る山﨑康晃は、昨年とは別人のよう

CS進出へ「ここからが勝負」と語る山﨑康晃は、昨年とは別人のよう

  • Sportiva
  • 更新日:2017/09/16

「昨年は自分のなかで手応えのないままCS(クライマックス・シリーズ)争いをしていたけど、今年はチームの歯車のひとつとして戦えている実感がある。苦しいこともあったけど、手応えを感じています」

横浜DeNAベイスターズの山﨑康晃は、「歯車」という言葉を強調しながら、好戦的な表情を見せた。

今シーズンここまでの成績(以下データは9月15日現在)は、チーム最多の61試合に登板し、4勝2敗23セーブ、14ホールド、防御率1.69。守護神として抜群の数字を残している。

「去年まではコンディショニングも含め、自分が何をやっているかわからない状態だったのですが、今年はここにきて自分のやりたいことができています」

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ここまで防御率1点台と安定した投球を続けるDeANの守護神・山﨑康晃

昨年、山﨑は夏場に調子を崩し、シーズン終わりまで完全に復調することはなかった。今シーズンを迎えるにあたっては、ラミレス監督からひとつ宿題が出されていた。それは横浜スタジアムでの防御率の向上だ。山﨑の昨シーズンのハマスタの防御率は5.50と惨たんたるものだった。だが今年は2.03と大幅に向上し、ラミレス監督の期待に応えている。

「シーズン序盤は特に意識していましたね。ただ人間なので、大丈夫かなという思いがボールに移ってしまったり、パフォーマンスに直結していたように思います。とはいえ、キャンプから取り組んできたことや、いろいろ苦労をしてきたことで精神的に強くなれた実感はあります。だから今は、ハマスタでいい感じでピッチングに入れるし、まったく苦手意識はありません」

山﨑は確信に満ちた口調で続ける。

「僕は、野球はメンタルスポーツだと思っているんです。精神を強くすることはもちろん、上手に気持ちを整理することも大切。今年においては、その整理がきちんとできているのかなって」

今年、山﨑はシーズン序盤に打ち込まれ、一度クローザーの座を外されている。のちにラミレス監督が「一番難しい決断だった」と語る出来事だが、山﨑は人知れず悩んだものの、心折れることなく中継ぎを務め、あらためて信頼を積み重ねていった。

「本来ならファームに落ちてもおかしくない状況でしたが、それでも監督が信じて起用してくれたので、とにかくその仕事をまっとうしたかった。それに中継ぎを経験したことで、その大変さを知ることができたのも大きかったですね。やってみなければ絶対にわからないことですから」

山﨑は主に勝ちパターンの7回を任される中継ぎとして無失点を重ね、1カ月後にクローザーへ復帰する。

クローザー復帰後も、当初はラミレス監督曰く「決して約束されたポジションではない」と厳しい見方をされていたが、8月に入ると「(山﨑は)100%私の信頼を勝ち取っている。シーズン終了まで(クローザーを)彼にやってもらおうと思う」と語らせるに至った。

「あの言葉は自信にもつながっています。だけど、これからも成長し、結果を出し続けることが何よりも大事。いろんな経験をしてわかったのは、気持ちのなかで落ち着いてしまったらダメだということ。常に危機感を持たなければいけないし、そういう意味で今年はこれまでの経験が生きていると思います」

今シーズンは、昨年とは異なりノーアウトからランナーをためても簡単には崩れることなく粘り切り、点差がある場面で本塁打を許しても、引きずることなく後続をしっかり断っている姿が目につく。メンタルを成長させたゆえの結果だろうが、どんな場面であっても表情に悲壮感はない。

また今シーズンは、連投になったとしても、昨年のようにはストレートの球威が落ちていないのも見逃せない。

「昨年は確かに落ちていましたね」と山﨑が認めるように、2連投、3連投となるとストレートが140キロ台前半になり、ツーシームもキレを失い、被弾するケースが少なくなかった。だが今シーズンは連投が続いても、ストレートは146~150キロを維持し、ツーシームもしっかり落ちている。

「たかが球速かもしれませんが、自分にとっては大事なバロメーター。ストレートがいっていないときは、余計な力が入っているのかとか……考えることが多いですね」

プロ3年目の今シーズンは、これまでの経験を踏まえ、逃げることなく自分としっかりと向き合い、常に打開策を模索している。

「最善を尽くすためには何をすべきか考えることができれば、自ずと練習方法も変わってきます。たとえば、夏場は疲れるので体力をどのように温存すればいいのか。些細なことかもしれませんが、直射日光を浴びないところでトレーニングをしたり……そういった細かい積み重ねが、今につながっているんです」

常に成長、常に先を見越して行動をする。このあたりのアプローチが、これまでの選手生活を振り返って、一番変わってきたところだと山﨑は言う。

メンタルとコンディショニングの向上はもちろん、成長の一環として山﨑はテクニカルな部分でもスキルアップを試みている。

今シーズンから山﨑はスライダーを投げているが、ここにきてその球質に変化が表れている。シーズン当初は曲がりの大きな普通のスライダー。クローザーに戻った地点で一度スライダーを封印していたが、ここ最近は試合で1球投げるか投げないかのわずかな回数ながら、曲がりが小さく鋭い、以前とは明らかに異なるスライダーを投げている。

山﨑は頷きながら、次のように語った。

「シーズン当初とは軌道も投げている感覚も全然違うスライダーで、カッターのようなイメージで投げています。曲げすぎてしまうと制球が定まらないので、ストレートの握りでしっかりとグリップして、指先というよりも体でコントロールしている感じです」

球速は130キロ後半から140キロで、ツーシームとほぼ同じ。完全にモノにできれば、大きな武器になることは間違いない。

「以前はスライダーを打たれたらどうしようといった苦手意識があったんですけど、自分が進化していくためには越えなければいけない壁でした。今は手応えを感じているし、苦手といった意識はもうありません。まだ精度に不安はありますが、武器として完全にモノにできれば、今やっていることの先にいけると思うので、そこを目指して頑張りたい」

前向きで、常に建設的。だが、そのポジティヴな風情には、塗炭の苦しみを甘受し、突き抜けた人間しか身につけることのできない凛々しさが見てとれた。

さて、セ・リーグのCS争いも佳境を迎えている。2年連続Aクラスに向け、山﨑が担う役割は言うまでもなく大きい。巨人と競り合いながら2位の阪神を追う展開だが、9月24日からの阪神との5連戦は重要な試合になることは間違いない。

実は昨年、山﨑は対阪神戦の防御率が9.00と悪かったが、今シーズンは1.00と見違えるような数字を残している。まるで、昨年引退した尊敬する三浦大輔の「マウンドの借りはマウンドでしか返せない。やられたら、やり返せ!」という言葉を地でいくようなリベンジであり、山﨑も「相手に苦手意識を植えつけることが大事なんです」と、力強く語る。

残り僅かとなったシーズン。山﨑の登板機会があれば、それは間違いなくこれまで以上に重要な場面。はたして今、何を思うのか。

「どんな状況でも柔軟に対応することが大事。まずは自分をコントロールするために徹底的に準備したい。相手がどうこうよりも、まずは自分たちの野球をやること。しっかりとアンテナを張り巡らせて、チームの歯車になれるよう頑張っていきたい。ここからが本当の勝負ですよ」

昨年チームとして初めてCSに出場し「あんなに楽しくて、素晴らしい経験はなかった」と語る山﨑は、今年も同じ場所を目指し、さらにギア(歯車)を上げるつもりだ。

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