3週間使い倒してわかった話題のスマホ『HUAWEI P20 Pro』の○と×

3週間使い倒してわかった話題のスマホ『HUAWEI P20 Pro』の○と×

  • @DIME
  • 更新日:2018/07/22

■連載/石野純也のガチレビュー

『P20 Pro』は、ドコモの独占販売でも話題になった、ファーウェイのフラッグシップモデルだ。最大の特徴は、背面に3つのカメラを搭載していること。モノクロとカラーのセンサーを掛け合わせて、精細で美しい写真が撮れるだけでなく、光学3倍相当のズームも実現している。

AI(人工知能)を幅広く活用しているのも、『P20 Pro』ならではだ。チップセットに採用した「Kirin 970」には、「NPU」と呼ばれる機械学習を処理するユニットが内蔵されており、AIを活用した機能やアプリを素早く処理できる。カメラや翻訳アプリだけでなく、処理能力向上などの恩恵もあるという。

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ドコモ独占で発売されたファーウェイの「P20 Pro」

日本版はドコモのVoLTEやおサイフケータイにも対応。ネットワークもドコモのものに最適化されており、下り最大988Mbpsと超高速だ。一方で、ドコモ版はソフトウェアの一部がドコモ仕様にカスタマイズされており、ファーウェイの独自機能や独自仕様が削られてしまったところもある。

また、元々の仕様としてmicroSDカードや3.5mmのイヤホンジャックを搭載しないなど、Androidスマートフォンとして気になるポイントも。実際に利用するとき、これらの仕様がどう影響してくるのか。発売日に実機を買い、約3週間ほど日本版P20 Proを使ってみた。その○と×をジャッジしていこう。

■カメラのクオリティは高いが、AIには課題も

すでに本コーナーでは海外版のP20 Proを紹介しているが、ドコモ版もカメラの実力はまったく変わらない。ソフトウェアがやや新しく、ユーザーインターフェイス(UI)にわずかな違いはあるが、撮れる写真のクオリティは相変わらず高い。特に注目したいのが夜景。ノイズが非常に少なく、暗い空の階調までしっかりと表現された写真は、一見の価値がある。

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トリプルカメラを搭載し、写真のクオリティは抜群に高い

ここまで美しく撮れると、普段はあまり撮らなかった夜景の写真を、積極的に撮影したくなってくる。普通に撮ってもキレイだが、夜景モードにすると、美しさがさらに際立ってくる。夜景モードは複数枚の画像を組み合わせて、4秒なり6秒なりの長時間露光に近い写真を撮れるが、AIを活用した強力な手ブレ補正が相まって、手持ちでも手ブレが少ないのがうれしい。

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夜景モードで撮影した夜景の数々。暗いところの階調もしっかり表現されており、シャッター速度が4秒なのに手ブレもない

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もちろん、夜景以外の写真撮影にも十分使える。もともとメインカメラのレンズがF1.6+F1.8と明るく、カラーセンサーのセンサーサイズが1/1.7インチと大きいため、取り込める光の量が他のスマホよりも多い。真っ暗な場所で適当にシャッターを切っても、それなりに被写体が写るのは驚きだ。

撮影時に色味を簡単に調整できるが、「鮮明な色」や「ソフトな色」にしておくと、記憶色のように鮮やかな色合いになる。目の前に映っている現物よりも、ビビッドな写真を残せるというわけだ。ポートレートモードで人物を撮ったときのボケ味もキレイに表現できており、一眼レフさながらの写真に仕上がる。

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鮮明な色にすると、記憶色のように鮮やかな色合いが実現する

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ポートレートモードで背景をボカすと、人物がクッキリ浮かび上がってくる

3倍、5倍とワンタッチで切り替えられるズームも便利。5倍相当に拡大しても、画像の劣化が非常に少ないため、積極的にズームを使おうという気になる。ズームについては、スペースの関係で光学ズームを搭載できないスマホの弱点ともいえるが、P20 Proはそれをトリプルカメラとソフトウェアの力で、見事に解消している。

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標準、3倍、5倍のズーム撮影が可能。5倍にしても、画質の破たんは少ない

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一方で、海外版と同様、AIがダイナミックにモードを変えすぎているきらいがあり、ここは要改善だと感じた。たとえば、商品発表会などでスライドが大写しになっている場面があるが、それをそのまま撮影しようとすると、AIがスライドと判断してしまい、モードが勝手に「文字」に切り替わってしまう。登壇者の後ろに巨大なモニターが置かれているようなシチュエーションだと、登壇者が不自然に切り取られてしまうのだ。

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「フード」程度ならいいが、モードの変更が大胆すぎて、AIは少々使いづらい

また、人物を検知すると、AIがポートレートモードに切り替えるが、背景をしっかり残して人物と一緒に撮影したいときには、これが邪魔になる。×ボタンを押して、モードの切り替えを解除すればいいが、ひと手間かかり、シャッターチャンスを逃してしまうおそれもある。筆者は結局、AIをオフにしてしまったが、AIで変更するのを色味や明るさ程度にしておくモードも用意してほしいところだ。

■パフォーマンスの高さは健在、顔認証+指紋認証も便利

パフォーマンスの高さも健在だ。P20 Proは先に記載したとおり、ファーウェイ傘下のハイシリコンが製造するチップセット、Kirin 970を搭載している。レスポンスは非常によく、画面の動きが指にしっかり追従する。メモリ(RAM)も6GB搭載されており、複数のアプリを同時に動かしても動作速度に不満は感じない。とはいえ、これは約半年前に発売されたMate 10 Proとほぼ同じ性能。パフォーマンスは高いが、今どきのハイエンドモデルと同程度と考えておけばいいだろう。

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メモリは6GB。Kirin 970のパフォーマンスも高く、動作はスムーズだ

ただ、一般的なハイエンドモデルに搭載されるSnapdragonではないためか、一部アプリが対応しきれていないのは残念なポイントだ。発売元のドコモでいえば、「歩いておトク」が発売時点で非対応になっていた。ゲームアプリなど、CPUのパフォーマンスをギリギリまで引き出すようなアプリの中にも、しっかり動かないものがあるかもしれない。筆者はそこまで不便な場面に出くわしていないが、どうしても使いたいアプリがある場合は、対応機種に挙がっているかどうかはしっかり確認しておきたい。

生体認証には、“顔”と“指紋”の両方が利用できる。顔認証は、ユーザーの顔を3Dで捉えており、反応が非常に速く、正確性も高いのが特徴だ。Galaxy Note8も顔認証を採用するが、比べてみると、P20 Proの方がロック解除までの時間が短い。顔認証にインカメラを使っているため、暗い場所は苦手とするが、薄暗い夜の屋外でも、街灯がついていればしっかり機能した。

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顔認証と指紋認証の両方に対応

また、本体前面には指紋センサーも搭載されており、こちらのロック解除も非常に速い。指紋センサーの搭載で少々ベゼルが厚く見えてしまうのは、iPhone Xなど、指紋センサーを省いた端末に比べて弱点といえなくもないが、顔認証は端末と顔の距離や、明るさによってはうまく機能しないことがあるため、やはり“安全策”として指紋センサーはあった方がいいと感じる。

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ディスプレイの下には、指紋センサーも搭載している

一方で、Androidには指紋センサーとは別に、画面上にホームボタンが存在する。ホーム画面に戻りたいときは、こちらを押せばいいが、P20 Proの指紋センサーはホームボタンとしても機能するため、一瞬どちらを押したらいいのか迷うことがある。画面上のナビゲーションキーを消し、ホームボタンのスワイプに戻るやアプリの履歴を割り当てることもできるが、少々操作が複雑になる。ハードキーがあるために、かえってわかりづらくなってしまった印象だ。

■削られてしまった機能も多数、ドコモカスタマイズの○と×

本機は、ドコモからHW-01Kという型番を付与されて発売されている。ハードウェアスペックのほとんどはグローバル版のP20 Proと同じだが、一部にドコモ向けのカスタマイズが施されている。目につきやすいスペックとしては、ネットワークがドコモに最適化されているお陰で、下り最大988Mbpsを実現できているところが挙げられる。確かに、通信速度は高く、条件さえよければ500Mbpsを超えることもあった。

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実測値で、500Mbpsを超えた速度を記録したこともあった

グローバル版や日本で発売されているSIMフリー版が未対応となる、ドコモのVoLTEに対応しているのも、ドコモ版ならではのメリットといえる。VoLTEが利用できるメリットは、クリアな音声のほか、CSフォールバックせずに済むため、発着信がスムーズで、通話しながらLTEで高速通信できる点だ。ドコモ同士であれば、非常に音がよく、細かな数字などまできっちり聞き取れる。おサイフケータイに対応しているのも、ドコモ版ならではのメリットといえるだろう。

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おサイフケータイ対応も、ドコモ版ならではのメリットだ

こうしたメリットがある半面、ソフトウェアの一部がカスタマイズされすぎているきらいもある。たとえば、ホーム画面のユーザーインターフェイスはその1つ。通常のファーウェイ端末は、アプリ一覧を表示する「ドロワー」のあり、なしを選択できるが、P20 Proのドコモ版はドコモのホームアプリである「docomo LIVE UX」を搭載するために、ドロワーあり版が省かれてしまっている。

実際には、ショートカットアプリを使えばドロワーあり版のファーウェイ製ホームアプリを呼び出すことはできるが、設定画面から選択できないため、難易度はかなり高い。キャリア製のホームアプリは、サポートを簡略化するなどのメリットはあるものの、端末の個性は完全に失われてしまう。ここは、しっかりグローバル版と同様のものを残してほしかったところだ。

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ドロワーありのホームアプリを選ぶことができない

ホームアプリはまだ選択できるからいいが、電話アプリはドコモ製のものしか選択できない。些細なことに思えるかもしれないが、フォントや文字のサイズなどのデザインテイストがファーウェイ製のプリインストールアプリとまったく異なるため、かなり浮いた印象を与えている。スマホといえども、やはり電話だ。人によってはかなり利用頻度が高い機能なだけに、電話アプリがドコモ製のものしか選べないのは残念だ。

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電話アプリもドコモ版のものしか搭載されていない

ほかにも、ハードウェアとして赤外線を搭載しているのにリモコンアプリがなかったり、スケジューラーがドコモ版のものしか選べなかったりと、SIMフリー版のファーウェイスマホと比べると「おや?」と思う箇所が複数ある。初めてファーウェイ端末を使った人は「こんなものか」と思うかもしれないが、過去にSIMフリーのファーウェイ端末を使ってきた人は違和感を覚えるところだろう。

さらにいえば、P20 Proには、ファーウェイ独自の高速充電技術が採用されている。そのため、高速充電を利用するには純正のチャージャーが必要になるが、これも同梱されていない。ハードウェア自体は高速充電に対応しており、Mate 10 Proなどのチャージャーを流用すれば超高速充電になるが、家電量販店やドコモショップで気軽に買えるものではないだけに、同梱すべきだと強く感じた。

グローバル版と共通仕様になるが、microSDカードに非対応なのはやはり不便。本体のストレージは128GBと多いが、写真をよく撮る端末なだけに、次機種以降では改善を望みたい。筆者はこれまで撮ってきた写真をすべてGoogleフォトに写したが、容量が足りなくなるのは心配だ。3.5mmのイヤホンジャックも同様で、変換ケーブルが必要になるのは不便。こうした点は、iPhoneを追従しないでほしい。

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3.5mmのイヤホンジャックが非搭載。音楽を聞くとき、やはり不便

久々のドコモ端末ということもあり、カスタマイズがこなれていないなど、上記のように不満点もあるが、やはりカメラのクオリティは高く、他の機種よりも1つ上のステージにいるという評価に変わりはない。パフォーマンスも高く、ユーザーインターフェイスに目をつぶれば、快適に操作できる。不満点の多くはソフトウェアの改良で解消できるだけに、今後のアップデートにも期待したい。

【石野's ジャッジメント】

質感        ★★★★★
ディスプレイ性能  ★★★★
撮影性能      ★★★★★
音楽性能      ★★★★
UI         ★★★★
連携&ネットワーク ★★★★★
バッテリーもち   ★★★★★
持ちやすさ     ★★★★
*採点は各項目5点満点で判定

取材・文/石野純也

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

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