14年間沈黙していたア・パーフェクト・サークルのメイナードが胸中を激白

14年間沈黙していたア・パーフェクト・サークルのメイナードが胸中を激白

  • RollingStone
  • 更新日:2018/02/14
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14年間沈黙していたア・パーフェクト・サークルのメイナードが胸中を激白

ア・パーフェクト・サークルのメイナード・ジェームス・キーナンとビリー・ハワーデルが、14年ぶりの新作『イート・ザ・エレファント』の制作過程、そして現在の政治情勢と先人たちの死がアルバムに及ぼした影響を語った。

ア・パーフェクト・サークルの沈黙が14年間に及んでいたことを、シンガーのメイナード・ジェームス・キーナンはよく自覚していた。来る新作『イート・ザ・エレファント』の制作過程において、彼は自問自答を繰り返していたという。「君は自身をあらため、未来へと向かう意志があるか?」。彼はローリングストーン誌の記者に問いかける。「一部の人間のために、過去にやったことを繰り返すか? 歳をとっても、同時代的であることに固執するのか? そんなことが本当に重要なのか? そういった疑問に自分の行動が左右されないように努めていたが、完全に頭の中から追い払うことはできないんだ」

キーナンはそうした疑問に対する答えを見出したのだろうか? 「俺は自らを隔絶することにした」彼はそう話す。「俺が耳を傾けるべきなのは、自分の内側から来る声だけだ」

キーナンがギタリストのビリー・ハワーデルらと共に、ア・パーフェクト・サークルとして完成させた新作は、過去のアルバムとは明らかに趣向が異なる。バンドが2000年代初頭に残した作品に宿っていた激情は、抑制されつつも複雑な感情へと変化している。ここには『ジュディス』における燃えたぎる炎のようなリフや、『ウィーク・アンド・パワーレス』での大地を揺るがすようなリズムはない。『イート・ザ・エレファント』のムーディで繊細なサウンドは、過去のスタイルに執着するのではなく、あくまで現在の自身を描くという彼らの意思表示にほかならない。アルバムに先駆けて発表された、協調という概念を失ってしまった社会に対する警笛ともとれる「ディスイリュージョンド」、弱肉強食をテーマにしたアップビートな「ザ・ドゥームド」の2曲にも、その傾向ははっきりと感じられる。

新作の制作について、ハワーデルはまずキーナンと話し合ったという。キーナンはトゥールとプシファーでもヴォーカルを務めているほか、約1年半前にはアリゾナでワイン製造ビジネスを始めており、ア・パーフェクト・サークルとしての作品を完成させるためには、彼がまとまった時間を確保する必要があった。

「メイナードにさえその気があれば、俺はいつだってア・パーフェクト・サークルを再始動させる用意があった。そのことは彼もよく知っていたんだ」。ハワーデルはそう語る。「ある日彼が電話をかけてきて、準備ができたと言った。そしてアルバム制作が始まった」。約1年前に本格的に楽曲制作を始めたハワーデルは、新しい試みとしてデイヴ・サーディ(インキュバス、ZZトップ等)をプロデューサーに迎えた。短期間のツアーを挟みながら、ハワーデルは昨夏から継続して制作を続け、遂に先月アルバムを完成させた。「この冬は気の遠くなるような作業の連続だった」とハワーデルは語る。

アルバムが4月20日にリリースされることを発表すると同時に、バンドは新曲「トーク・トーク」を新たに公開した。自己中心的な人間を非難するキーナンの歌詞も、過去の作品にはなかったものだ。

作品を形にするために、キーナンは自身を徹底的に追い込んでいったと話す。「とにかくやるしかなかった」と彼はそう話す。「(ワイン用ブドウの)収穫を終えた後、醸造作業と並行してアルバムを作り続けてた。おかげで食事中でさえそのことが頭から離れなかった」。象を食すというタイトルは、そんなところから来ているのかもしれない。「一口ずつ、じっくりと味わっていたんだ」

ーア・パーフェクト・サークルのアルバムを作ろうと思ったきっかけは?

メイナード やるべきことを多く抱えている一方で、それらがうまく進まない時期があった。そこで俺は、何か他のことにフォーカスしようと考えた。俺は何かに取り組む時、常に期限を決めるようにしているんだ。それまでに成果を出せなかったとしたら、それは何か他のことをやるべきだっていうサインなんだよ。

ービリー、あなたがアルバム用の楽曲制作に着手したのはいつ頃ですか?

ビリー 覚えてないな。80年代かもね(笑)。どの曲かを明かす気はないけど、アルバムの中に一つだけすごく古い曲があるんだ。アルバムの4分の3程度は、過去3年間のうちに作られたものだよ。すごくいい出来だけど収録されなかったものもあるから、いつか何かしらの形で発表できればと思ってる。

ー2人はどのように楽曲を形にしていったのでしょうか?

キーナン まずビリーから、10〜20くらいの断片的なアイディアが送られてきた。ギターが弾けて作曲を担当する人間の大半がそうであるように、彼はそれらの曲にいろんなサウンドを重ねていった。だがプロデューサーに迎えたデイヴ(・サーディ)は、曲から余分なものをすべて削ぎ落としていった。その結果、ドラム・ビートとメロディがよりクリアに浮かび上がってきた。その瞬間、俺には楽曲の完成形がはっきりと見えたんだ。

ハワーデル アプローチは曲によって違った。決まったパターンは存在しないんだよ。スムーズにいく場合もあれば、延々と試行錯誤を繰り返すこともある。

ー最も難産だったのはどの曲ですか?

ハワーデル 「トーク・トーク」は個人的なお気に入りの一つだけど、メイナードは拍子を4/4から3/4に変更すべきだと提案してきた。自分を納得させることは容易じゃなかったし、歯がゆく思ったこともあったよ。でも彼の直感を信じようと決めたんだ。バンドにおける俺の役割は、あくまで彼の力を最大限に引き出すことだからね。

キーナン あの曲は何度も形を変えていった。デモの時点で惹かれる部分はあったけど、具体的なアイデアは見えてこなかった。だがデイヴとビリーが曲から余分な部分をそぎ落とし、テンポと拍子を変更すると、自分のすべきことがはっきりと頭に浮かんだんだ。

ー「問題になるな/解決になれ」という歌詞は非常に印象的です。なぜああいった表現を用いたのでしょう?

キーナン そういう状況が蔓延しているからさ。今の世の中は責任という概念が希薄だからな。

ー「ザ・コントラリアン」と「ザ・ドゥームド」では、メイナードの声とは思えないヴォーカルが随所に登場しています。最初はあなたが歌っているのかと思いました。

ハワーデル そうだろうね。でもアルバムで歌っているのは全部メイナードだよ。当初は俺のヴォーカルを使うことも考えていたんだけど、一旦メイナードのギアが入るとその選択肢は消えた。圧倒的だったからね。これまでの彼のヴォーカルとはレンジも声色も異なるけど、そのチャレンジは見事に功を奏したと思う。

ー過去10年に渡るプシファーとしての活動は、あなたのヴォーカル・パフォーマンスを変化させたと思いますか?

キーナン ハーモニーやトーン、テクスチャー等について多くを学んだと思う。ただがなり散らす以外の歌い方をね。ギターだけじゃなくピアノを多用したり、リズムを重視していることもあって、プシファーではヴォーカルのためのスペースがより多く与えられているんだ。そこで身につけた表現力は、今作においても活かされていると思う。

ーア・パーフェクト・サークルとしては実に14年ぶりのアルバムですが、前作との間に接点を見出していますか?

キーナン どうだろうな、俺にとっては全部活動の一部だからね。過去10年はプシファーとしての活動が主だったから、その影響も出てるだろうしな。各プロジェクトの間には少なからず共通点があると思う。でも自分が意識していないだけで、実際には過去のア・パーフェクト・サークルの音楽性との接点もあるはずさ。「デリシャス」や「バイ・アンド・ダウン・ザ・リヴァー」なんかは特にそうなんじゃないかな。

ー今作に着手した時、14年という長いブランクを感じましたか?

キーナン 犬になったような気分だったな。ふらっと一人で散歩に出かけて、帰ってきて飼い主の顔を見てゴキゲン、みたいなさ。俺の集中力のなさは相変わらずだがね。アルバムが散漫なものになってなきゃいいんだけど。

ー歌詞の面ではどういったアプローチをとりましたか?

キーナン いつもと同じさ。パズルのピースを一つずつはめていくような感じだよ。車を運転しながら曲をかけていると、テンポや曲調に応じたフレーズが自然に思い浮かぶんだ

ーパズルとは何を指しているのでしょうか?

キーナン あらゆるものさ。地図や物語はすべて、無数の小さなピースから形成されている。各ピースに一貫性がなければ、その作品が完成することはない。ラテンならラテンのピースを集め続ける、そうやって地図を形成していくんだよ。

ー『イート・ザ・エレファント』というタイトルは、あなたにとってどういう意味を持っていますか?

ハワーデル それはメイナードに聞いてくtれ。

キーナン 悪いが、それについて話す気はない。

ーダメですか?

キーナン 俺はそういう類のことは話さないことにしているんだ。

ー政治的な意味合いを含んでいるのではと推測しているのですが。

キーナン 答えは一つじゃないんだ。いろんな解釈ができて然るべきなんだよ。

ーあなたのプレスリリースにはこう記されていました。「『イート・ザ・エレファント』というタイトルが示唆するように、ア・パーフェクト・サークルの新作には、議論を呼ぶであろうキーナンの政治的見解がはっきりと現れている」

キーナン あんたはその部分に注目したってのかい? あれは『American Wino』の著者、ダン・ダンが書いたんだ。俺はヤツにこう言った。「バイオグラフィーなんて退屈だから、こう書いといてくれ。『自らを長年にわたって冷凍保存していたビリーがついに目覚めた』」って。2004年から2018年の間に生じたギャップに目を丸くする感覚としては、的を射た表現だろ? ヤツは俺の案に乗ってくれたよ、いい出来だろ?(笑)

作品が特定の時代に結びつけられてしまわないよう、俺はタイムリーなトピックは避けるようにしている。今は象徴的な出来事が次々に起きているから、そういうテーマに触れることがある種のスタンダードになっていることは理解しているがね。14年間の眠りから目覚めた人間が現在の世の中を見たら、一体どう反応すると思う? 「なんで誰もが妙な仮面をつけてるんだ? 頭がイカれちまったのか? みんな『Whoville』のキャラクターみたいじゃないか。誰かを陥れようとしているわけでもなさそうだし、気取ったり若作りしているわけでもなさそうだ。人類はどうかしちまったのか?」。俺の心境を説明するとしたら、きっとそんな感じさ。

ー虚栄心と自分本位というトピックに関連するのですが、ア・パーフェクト・サークルのコンサートに来ていた60人前後のファンが、写真を撮影していたことを理由に強制退場させられたことが、インターネット上で大きな話題に……。

キーナン (筆者の発言を制して)ヤツらが退場させられたのは写真を撮ってたからじゃない。ヤツらはショーを無断で録音していて、それが周囲の観客の迷惑になっていたからだ。

ー14年の眠りから目覚めた人間が、ドナルド・トランプが大統領になったことを知ってどう反応すると思いますか?

キーナン 当時の人間からしてみれば、コリー・フェルドマンが大統領になるのと同じくらいの衝撃だろうな。「一体何言ってんだ? テッド・ニュージェントが州知事に立候補? 冗談だろ?」

ー「バイ・アンド・ダウン・ザ・リヴァー」のヴォーカルも非常に特徴的です。インディアン的な訛りを滲ませたあのパフォーマンスについて、少し話していただけますか?

キーナン あれは俺がここしばらく追求しているスタイルだ。何がきっかけだったかは覚えてないけど、たぶん移動中によく聴いていたワールド・ミュージックの影響だろうな。ピーター・ガブリエルが『最後の誘惑』のサウンドトラックとして作った、『パッション』に起用されてたミュージシャンたちの音楽をよく聴いてたんだ。あの映画が公開される前から、俺はああいう音楽をよく聴いていたから、彼がそういうミュージシャンたちと作ったあの作品は好きだったよ。その影響はあったかもしれないな。

ー影響という点では、「ソー・ロング、アンド・サンクス・フォー・オール・ザ・フィッシュ」では、モハメド・アリ、キャリー・フィッシャー、デヴィッド・ボウイの死について触れていますね。一連の訃報に、やはり感じるところがあったのでしょうか?

キーナン 多くの有名人の死があんなにも続いたことに、多くの人々が衝撃を受けたと思う。もちろん過去にもそういうことはあったんだろうが、ソーシャルメディアが普及した現在では、誰もが知ってる有名人の死というニュースが及ぼす衝撃、そして広がる速度は大違いだ。53歳という年齢を迎えて、俺もそういうことを意識しないわけにはいかなくなってきたからな。

ー彼らの死はあなたにとってもショッキングな出来事だったと。

キーナン 俺の何かを揺るがすほどってわけじゃない。人の生涯は一時的だからこそ価値がある、俺はそう考えるようにしているからな。与えられたわずかな時間の間に、人はやるべきことをやらなければならない。有名人がこの世を去ったというニュースは、残された人々にそのことを思い出させてくれる。

ー最近のライブでは新作からの曲をいくつか披露しています。その経験から曲が形を変えたことはありましたか?

ハワーデル 「フェザーズ」や「アワーグラス」がそうだったね。ライブの場ではある部分を長めに演奏したりしていたんだけど、それが音源に反映される形になった。ライブとのギャップが一番大きいのはヴォーカルだと思うけど、俺自身はレコーディング本番において、曲の最も重要な部分は一発録りにこだわった。「アワーグラス」なんかはライブ映えするけど、音源にはまた違った魅力があると思う。ライブでやっているバージョンとは少し違うけど、そっちに寄せる必要性を感じなかったんだ。一方で「ザ・ドゥームド」なんかは、ライブでやっているバージョンとほぼ変わらない。レコーディングもほぼ一発録りで、ライブでの迫力を捉えることができたと思う。

ーメイナード、あなたは以前ア・パーフェクト・サークルとトゥールは、レコード会社が望むアルバムリリースのペースからかけ離れ過ぎていて気が重いと発言していました。過去10年間における音楽業界の変貌ぶりによって、自分のペースで活動を続けていくことが容易になったと思いますか?

キーナン そうだな。でもレコード会社が締め切りを決めることには利点もあるんだよ。アーティストはクリエイティヴィティを最優先し、納得がいくまで創作を続けるべきだなんて言われるけど、実際はただ怠慢で、人から指図されるのが嫌なだけなんだよ。締め切りはそういうヤツらのケツを叩いてくれる。もちろん守れないこともあるが、目安としてはあったほうがいいんだよ。

ーそれに関連しますが、ダニー・キャリーは今年トゥールの新作が出ると話しています。それについてコメントはありますか?

キーナン (少し間を置いて)ない。

ー多くのファンが関心を寄せていると思うのですが。

キーナン (より長い間を置いて)かもな、でも話すことはない。

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