GeForce GTX 1660 TiはDXR&DLSSナシでも強い新世代ミドルクラス

GeForce GTX 1660 TiはDXR&DLSSナシでも強い新世代ミドルクラス

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  • 更新日:2019/02/25
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日本時間2019年2月22日、NVIDIAはTuringベースの新しいGPU「GeForce GTX 1660 Ti」を発表。同日23時より販売を解禁した。北米における価格は279ドル~と久々の300ドル以下のゾーンで、我々が“ミドルクラス”と呼んでいる製品のアップデートとなる。

まず価格の話をすると、筆者が小耳に挟んだ限りでは3万円台中盤が最安、4万円前後がボリュームゾーン、アッパーグレードは4万円台後半という布陣になるようだ。

近年のゲームにおけるシェーダー(描画用のプログラム)は年々複雑化してきており、それを効率良く処理するための新しいGPUが求められている。TuringアーキテクチャーはRTコアとTensorコアの部分がクローズアップされがちだが、CUDAコア自体にも大きな改善が入っている。

歩留まりを下げて価格を押し上げる原因となるRTコアとTesnorコアを除去したGTX 1660 Tiは、より新しいゲームを快適に楽しみたいと考えるゲーマーのためのGPUなのだ。NVIDIAはGeForce GTX 1060の最大1.5倍、GeForce GTX 960なら最大3倍のパフォーマンスアップが得られると主張している。

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NVIDIAの資料より抜粋。GTX 1660 Tiはモダンなシェーダーを備えたゲーム向け。さらに「Apex Legends」や「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下、PUBG)のようなタイトルで高フレームレートが欲しいゲーマーのためのGPUだ。

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GeForceを使用しているゲーマーの3分の2はGTX 960かそれ以下のパワーのGPUを使っているという。つまり、GTX 1660 Tiはこうした層の買い替え需要を喚起する製品だ。

GTX 1660 TiにはFounders Edition(以下、FE)は存在せず、すべてAICパートナー(いわゆるサードパーティー)の製品のみとなる。今回はASUSのGTX 1660 Ti搭載ビデオカード「ROG-STRIX-GTX1660TI-O6G-GAMING」をテストできる機会に恵まれた。果たしてNVIDIAの目指す新ミドルはどの程度の実力を持っているのか検証していきたい。

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今回検証に使用した「ROG-STRIX-GTX1660TI-O6G-GAMING」。予想実売価格は4万9000円前後。順次発売予定。

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ASUSのアッパーグレードなOCモデル「ROG-STRIX-GTX1660TI-O6G-GAMING」のスペック(ASUSの資料より)。Gaming Mode時のブーストクロックは1860MHz、2.5スロット厚、補助電源は8ピン×1となっている。

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ASUSはほかに2モデル展開予定。「PH-GTX1660TI-O6G」(左)は3月1日発売で、予想実売価格は4万1000円前後。Gaming Mode時のブーストクロックは1785MHz。2スロット厚。「DUAL-GTX1660TI-O6G」(右)は予想実売価格4万3000円前後で順次発売予定。Gaming Mode時のブーストクロックは1800MHz。2.3スロット厚。

RTコアとTensorコアを削除した新コアを採用

まずGTX 1660 Tiの技術的な側面を整理しておこう。「GTX」の名を冠していること、さらに新しいコア名「TU116」が付けられていることから想像がつくと思うが、RTXテクノロジーの核心部分、RTコアとTensorコアを搭載しない新設計のコアが採用されている。

300ドル以下に抑えるという目的もあるが、それ以上にGTX 1660 Tiクラスの規模ではRTコアやTensorコアを搭載してもユーザーが満足する性能が得られないから削除した、とNVIDIAはレビュアーズガイドで解説している。

描画性能の要であるCUDAコア数は1536基で、GTX 1060とGTX 1070の中間に位置する。これまでx70番台とx60番台の間には大きな性能ギャップがあり、ライバルのAMDがこの隙間をRadeon RX 590で狙ってきたが、今度はNVIDIA自身がこのギャップを埋めに来たわけだ。

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GTX 1660 Tiと近しいセグメントにあるGPUのスペック比較。

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「GPU-Z」でGTX 1660 Tiの情報を拾ってみたが、GPU-Zは昨年11月を最後に更新が止まっているため、空欄の部分が多い。特にブーストクロックの表記が見えないのが辛い。他社製カードでもベースは1500MHzのまま、ブーストクロックで差をつけた製品が多いようだ。

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テスト用カードに同梱されるOCツール「GPU Tweak II」では、きちんとブーストクロック1860MHzが確認できた。ちなみにGPU Tweak II内のGPU-Zも本家GPU-Zと同様の表示しか得られない。

TU116ではRTコアとTensorコアが削除されてしまったが、Turingのキモの部分であるCUDAコアの設計はそのまま継承されている。つまり、モードを切り替えるように浮動小数点演算と整数演算を処理していたところが、完全に並列演算できるようになったことでスループットが大幅に向上している。このあたりの話は昨年RTX 20シリーズのローンチ時に書いた記事も参照していただきたい。

また、VRAMはGDDR6を採用したがメモリーデータレートはRTX 20シリーズよりやや遅い12Gbps相当でバス幅は192bit、容量6GBとなっている。メモリー帯域はGTX 1060が192GB/secなのに対しGTX 1660 Tiは288.1GB/secと大幅に伸びているのは明らかに今どきのゲーム対策と言える。

しかし、「Apex Legends」の最高画質設定だとVRAM 8GBが推奨される状況を考えると、やや少ないのではという気がする。とはいえ、VRAMを6GBに絞ってきたということは、このGTX 1660 TiはフルHD~WQHDゲーマーのためのチョイスであることを強く示している。

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RTX 2060のブロック図。SM(Streaming Multiprocessor)10基で構成されるクラスター(GPC:Graphics Processing Cluster)が3基あり、RTコアとTensorコアは各SM内に分けて配置される。グレーで半透明化した部分はRTX 2070との差分だ。

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GTX 1660 Tiのブロック図。GPC内のSM数が8基に減っているほか、各SM内にRTコアが描かれていない点に注目。メモリーコントローラーは32bit幅のものが6個で、合計192bit幅となる。

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Turing世代のCUDAコアは、共有メモリー&L1キャッシュまわりに大きな設計変更が入り、演算パフォーマンスが上がっている。

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PascalまでのCUDAコアは浮動小数点演算と整数演算はどちらか一方しか実行できなかったが、Turingでは並列実行できるようになった、という図。左側のグリッドは「Shadow of the Tomb Raider」で100回演算処理が行なわれた場合、38回が整数演算で残り62回が浮動小数点演算だった、という意味だ。

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浮動小数点と整数演算の同時実行やキャッシュまわりの改善などでGPUのIPCはどの程度向上したかを示す図。Pascal(灰色)を1とすると、Turing(緑)はおおよそ1.5~1.6倍速い。これはGTX 1660 Tiだけでなく、既存のRTX 20シリーズにも言えることだ。

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GPUの消費電力に対して得られるフレームレートの図。GTX 1660 TiはGTX 1060の1.4倍高い。つまり、ワットパフォーマンスも上がったよ、という意味のグラフとなる。ちなみに、GTX 1660 TiはTDP120WだがOCすると140Wをやや超えることもある、とも読み取れる。

もうひとつつ言及しておきたいのはGTX 1660 Tiが置き換えを狙うx60番台のGPUとの差異だ。先程述べた浮動小数点演算と整数演算の同時実行など、Turingが得意とする処理は新しいシェーダーを利用するゲームで使われている。逆に言えば、古いシェーダーを使ったゲームでは大きなパフォーマンスゲインが得られないことを示唆している。

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NVIDIAの資料によれば新しいゲーム(NVIDIAの肝入りタイトルばかりではあるが)ほど、GTX 1660 TiとGTX 1060の差は大きくなるとしている。

ただし、RTX 20シリーズから追加されたVirtualLink対応のUSB Type-C出力は、GTX 1660 Tiではコストダウンのために搭載されないだろう。事実、RTX 2060もVirtualLinkを搭載したのはFE以外だとGIGABYTEのアッパーグレード製品程度しかなかったことを考えると、ある意味当然と言える。

とはいえ、デバイスマネージャーを見るとGPU内にUSB 3.1コントローラーは残っているので、メーカーがコストをかければ追加できるといったところか。

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デバイスマネージャーを見ると、GTX 1660 Tiと同列にNVIDIAのUSB3.1コントローラーが列挙されている。物理的に回路を繋げばGTX 1660 TiでもVirtualLink対応は可能ということだ。

写真で見る「ROG-STRIX-GTX1660TI-O6G-GAMING」

では、ベンチマークの前に今回入手した「ROG-STRIX-GTX1660TI-O6G-GAMING」をじっくり観察するとしよう。他社製のGTX 1660 Tiはショート基板を含め比較的コンパクトなカードが多いが、本機はハイエンドGPU向けのトリプルファンクーラーを搭載している。

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改めてSTRIXシリーズのカードを眺めてみると、クーラーのモールド部分のデザインが異様に凝っていることを再認識。トリプルファンの威圧感もいい感じだ。

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カード背面。ほぼ全体がスチール板で覆われている。コストダウンのためか、背面にあるSTRIXのシンボルマーク(フクロウの眼)は発光せず、単なる印刷になっている。

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映像出力はDisplayPort×2、HDMI×2。ASUSの独自設計でHDMIを2系統に増やしているようだが、VirtualLinkは実装されていない。バックプレートの開口部がかなり大きく確保されているが、フィンの配置から考えると排気面の効果は期待できない気がする……。

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補助電源は8ピン×1。クーラーや基板のカットアウトパターンを上位製品とかなり共通化していることが読み取れる。

ファンはブレードが外枠と一体になったAxial-Tech Fanを採用。このファンは同社のRTX 20シリーズだと2080より上のモデルにしか使われていない最新のもの。ファン風量・静圧ともに従来のファンより優れている。そのため、ファンだけ見ると同社のRTX 2060などよりお買い得感すらある。

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SLI(NVLink)には非対応だが、エッジコネクターの部分に同社のRTX 20シリーズより採用されたBIOS切り替えスイッチ(Qモード/Pモード)と、LEDをワンプッシュで消す忍者モードスイッチを搭載している。なお、GTX 1660 Tiでは出荷時はPモードにセットされている。

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ASUSの製品資料より抜粋。Pモードではファンは常時回転し、冷却性能も高い。Qモードは準ファンレス運用となり、微妙に性能は落ちるが静音性が高くなる、というもの。

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カード後部にはファン用の4ピンPWM電源コネクターと、Aura Sync用のLEDピンヘッダーを備える。これも上位製品と共通の仕様。

RTX 2060/GTX1070/1060/960と3世代比較

ベンチマークの前に今回の検証環境を紹介しよう。検証用にお借りした「ROG-STRIX-GTX1660TI-O6G-GAMING」は、デフォルトのPモード&Gamingモードで検証する。比較対象のカードはTuring世代の兄貴ぶんであるRTX 2060、そしてPascal世代からはGTX 1070と1060、さらにNVIDIAが買い替え需要を掘り起こしたいGTX 960を準備した。ドライバーはGTX 1660 Tiが418.91ベースのレビュー用ベータ版、その他は418.91のWQHL版である。

描画エンジンが新しければGTX 1070を超える

では「3DMark」のスコアー比べから始めよう。GTX 1660 TiはDXRに対応しないため、「Port Royal」は除外し、「Fire Strke」以上の定番テストを実施した。

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「3DMark」のスコアー。

Fire Strikeで比べると、GTX 1660 TiはGTX 1070のやや下で、対GTX 1060で30%程度上、対GTX 960だと2.2倍程度になるスコアーだ。しかし、Time Spyだとスコアーの傾向は異なり、GTX 1660 Tiが1070を数%上回っている。GTX 1060や960との差もTime Spyのほうが大きい点に注目してほしい。

CUDAコア数1536基のGTX 1660 Tiが1920基のGTX 1070に負けるのは当たり前だが、これはFire Strike(及びUltra)のシェーダーが古いためである。より新しいシェーダーを使っているTime Spyでは、CUDAコアやメモリーバス幅の差などを簡単に覆せるほどのアドバンテージがTuringアーキテクチャーには存在するのだ。

次は消費電力をチェックしよう。電力計測にはラトックシステムのワットチェッカー「REX-BTWATTCH1」を利用し、システム起動10分後の安定値を“アイドル時”、Time Spyデモ実行中のピーク値を“高負荷時”、そして「Shadow of the Tomb Raider」をプレイ状態で10分放置(DX12モード、画質“最高”、1920×1080ドット)し、その際の最大値を“SotTR時”とした。

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システム全体の消費電力。

TDP120WのGPUだけあって、オーバークロック版であっても消費電力はさほど大きくない。GTX 1070を上回る性能を出しているのに消費電力は同等、ということはワットパフォーマンスもかなり上がっていると判断できる。

そこでかなり乱暴な計算だが、上グラフの高負荷時の消費電力をベースに、1ワットあたりのTime Spyのスコアーを算出したのが下のグラフだ。

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1WあたりのTime Spyスコアー。

Pascal世代のGPUでもワットパフォーマンスが良いという定評があるが、TU116はそれをわずかに上回り、RTX 2060と同レベルの結果を出している。特にGTX 1060に対してはかなりの伸びを示していることがわかる。

続いては「VRMark」でVR環境でのパフォーマンスをチェックしてみよう。

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「VRMark」のスコアー。

TuringアーキテクチャーはCyan Roomのシェーダーと極めて相性が良い。Orange RoomのスコアーはGTX 1070と1660 Tiはほぼ同着(平均フレームレートにして約213fps前後)だが、Cyan Roomになると一気にGTX 1660 Tiが引き離す。そして、GTX 1060との差も41~70%増しと大きく開いた。新世代のミドルレンジを名乗るにふさわしいパフォーマンスと言えるだろう。

ちなみにNVIDIAの「GTX 1660 TiのパフォーマンスはGTX 960の最大3倍」という謳い文句だが、Cyan Roomのスコアーで3倍強であることが確認できた。

「Apex Legends」で平均120fps以上を実現

それでは実際のゲームを利用した検証に入ろう。まずはGTX 1660 Tiのターゲットであるバトルロイヤル系FPS/TPSシューターの性能をチェックしたい。そこで今回は「Apex Legends」で検証することにした。

画質は全設定を一番重くなるように設定。トレーニングステージ内の一定のコースを移動し、その際のフレームレートを「OCAT」で計測した。

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「Apex Legends」1920×1080ドット時のフレームレート。

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「Apex Legends」2560×1440ドット時のフレームレート。

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「Apex Legends」3840×2160ドット時のフレームレート。

確かにフルHDでは最高画質設定でも平均120fps以上出ており、60fpsを割り込むことはない。もちろん、激しい戦闘になるともう少しフレームレートは下がる可能性はあるが、このゲームを快適に楽しむためのGPUとして、GTX 1660 Tiはオススメできると言って差し支えない。

そして、GTX 1060なら50%以上、GTX 1070なら10~15%ほど上回る平均フレームレートを出せている点も興味深い(以降、伸び率を述べる時はすべて平均fpsで計算している)。4Kになるとさすがに息切れはするが、WQHDまでなら快適に遊べるはずだ。

「Far Cry New Dawn」でもWQHDで60fps以上をキープ

では、直近のタイトルを中心に実ゲームベースの検証を進めていこう。続いては「Far Cry New Dawn」を利用する。画質は“最高”とし、ゲーム内のベンチマークモードを利用して計測した。

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「Far Cry New Dawn」1920×1080ドット時のフレームレート。

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「Far Cry New Dawn」2560×1440ドット時のフレームレート。

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「Far Cry New Dawn」3840×2160ドット時のフレームレート。

このゲームは「Far Cry 5」の後日譚のようなものなのでエンジン部分もほぼそのまま継承している感じだ。画質“最高”だとミドルクラスにはやや荷が重いのか、GTX 1070を上回りはしたものの、数%のゲインにとどまっている。

とはいえ、GTX 1060や960ではフルHDですら最低フレートレートで60fpsを下回るのに対し、GTX 1660 TiはWQHDでも60fps以上をキープできている。地力がかなりアップしたと評価すべきだろう。

「Forza Horizon 4」は4Kでもなんとかプレイ可能

FPS系ばかりだと飽きるのでレーシング系の「Forza Horizon 4」でも試してみた。画質の自動最適化はオフにして“ウルトラ”に固定。ゲーム内蔵のベンチマークモードを利用して計測した。“GPU-”とある数値はGPU側の処理だけみたフレームレートで、実際プレイヤーが目にするフレームレートは「Avg」で記載している。

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「Forza Horizon 4」1920×1080ドット時のフレームレート。

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「Forza Horizon 4」2560×1440ドット時のフレームレート。

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「Forza Horizon 4」3840×2160ドット時のフレームレート。

フルHDならGTX 1060でも60fps以上をキープできているが、GTX 1660 TiならWQHDでもOK。4Kでも50fps台になってしまうがプレイは可能、といった感じだ。Far Cry New Dawnに比べ、GTX 1060/960との差は縮まっているが、GTX 1060に対しては30%のゲイン、GTX 960に対してはほぼ2.5倍のフレームレートを出せている。

「Shadow of the Tomb Raider」でもGTX 1070に勝利

モダンなシェーダーを使ったゲームはDX12タイトルに多い。前述の浮動小数点演算と整数演算の同時実行を紹介する資料でも使われた「Shadow of the Tomb Raider」もそのひとつだ。

画質は“最高”とし、アンチエイリアスは“TAA”を選択。ゲーム内のベンチマーク機能を利用して計測した。グラフ内の数値の読み方はForza Horizon 4と同じである。

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「Shadow of the Tomb Raider」DX12、1920×1080ドット時のフレームレート。

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「Shadow of the Tomb Raider」DX12、2560×1440ドット時のフレームレート。

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「Shadow of the Tomb Raider」DX12、3840×2160ドット時のフレームレート。

やはりこのタイトルでもGTX 1660 TiはGTX 1070を降し、GTX 1060やGTX 960に大きく差をつけている。ところで、ここまでの結果を見て、RTX 2060とGTX 1660 Tiの差は案外小さいことにお気づきだろうか。3DMarkだと15%~20%上にいたRTX 2060が、実際のゲーム、特にフルHD~WQHD領域においては数%しか違わない。

その数%が快適さに繋がるし、DLSSやDXR対応のアドバンテージがあることはわかるが、予想外にGTX 1660 Tiのパフォーマンスは良い。「RTX 2060と価格帯が一部ダブっているのはこういう事情も絡んでいるのでは?」と邪推してしまうほどだ。

「Battlefield V」では4KでGTX 1070に逆転される

次は「Battlefield V」を試してみよう。DXRが使えるのがRTX 2060だけであるため、個会はDXRナシのDirectX12モードでのみ試す。画質はプリセットの“最高”とし、先行フレームレンダリングや垂直同期だけオフにした。

計測はシングル用キャンペーン“ティライユール”の“平等”ステージを使い、一定のコースを歩いた際のフレームレートを「OCAT」で計測した。

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「Battlefield V」DX12、1920×1080ドット時のフレームレート。

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「Battlefield V」DX12、2560×1440ドット時のフレームレート。

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「Battlefield V」DX12、3840×2160ドット時のフレームレート。

GTX 1060やGTX 960に対するパフォーマンスゲインはほかのゲームとだいたい同じだが、GTX 1070に対してはやや様子が異なる。フルHD~WQHDまではGTX 1070とほぼ同じだが、4Kになると逆転されるのだ。

これはVRAMの搭載量が少ないためと推察されるが、もとよりGTX 1660 Tiは4Kゲーミングは想定していないのでむしろレアケースと言えるだろう。そして、このゲームでは比較的RTX 2060との差が開いていることから、メモリー帯域の影響も強いことが示唆されている。

「Metro Exodus」ではGTX 960の3倍以上高速

次に試すのは検証期間中に発売した「Metro Exodus」だ。これもDLSSやDXRに対応しているが、GTX 1660 Tiでは使えないのでDirectX12モードのみでテストする。このゲームにはベンチマーク機能が実装されているが、検証時はそのことを完全に失念していたため、ベンチマークモードの結果とは多少乖離している可能性があることをお詫びしたい。

画質は“エクストリーム”とし、ステージ“ヴォルガ川”内の一定のコースを移動する際のフレームレートを「OCAT」で計測した。

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「Metro Exodus」DX12、1920×1080ドット時のフレームレート。

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「Metro Exodus」DX12、2560×1440ドット時のフレームレート。

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「Metro Exodus」DX12、3840×2160ドット時のフレームレート。

このゲームはRTX 2080 Tiでも結構歯ごたえのある重量級タイトルなため、今回はRTX 2060を除きフルHD設定ですら最低フレームレートで60fpsをキープできたGPUはなかった。それでも平均70fps以上出せているGTX 1660 Tiなら、画質をもう少し下げれば快適に遊べるだろう。画質“エクストリーム”だとHairWorksも入ってくるのでかなりの負荷になる。このあたりを落としたいところだ。

そして、このゲームでもGTX 1660 TiはGTX 960に対し、トリプルスコアー以上の性能を出している。Maxwell世代のミドルクラスでは、もう最新AAAタイトルのグラフィックは厳しいのだ。

VRAM消費量の激しい「BIOHAZARD RE:2」でも大丈夫

Battlefield VでVRAM搭載量の話が出たが、特にVRAM消費量の凄まじい「BIOHAZARD RE:2」はちゃんと遊べるのだろうか? 画質関係は全オプションを有効にし、一番重い設定を選択したがアンチエイリアスだけは負荷の割に品質の悪い「SMAA」でなく、1段下の「FXAA&TAA」を選択している。

テストは警察署ロビー~西側通路にかけての一定のコースを移動し、その際のフレームレートを「OCAT」で計測した。

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「BIOHAZARD RE:2」DX12、1920×1080ドット時のフレームレート。

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「BIOHAZARD RE:2」DX12、2560×1440ドット時のフレームレート。

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「BIOHAZARD RE:2」DX12、3840×2160ドット時のフレームレート。

最高画質設定にすると、テクスチャーなどのキャッシュをVRAM内に確保するため、「13GB程度使われるぞ?」と脅かされるが、VRAM 6GBのGTX 1660 Tiでもプレイは快適だ。ただし、ゲームを始めてすぐの状態では時々ひっかかる(キャッシュにないデータを蓄積する処理?)ため、事前にコースを1回走った状態での計測とした。

とはいえ、初回走破時でも最低フレームレートが少し下がる程度で、平均フレームレートは数fps程度しか変化しない。それを考えるとGTX 1660 Tiは悪くない選択と言える。VRAM 8GBもあるGTX 1070をわずかだが上回っているので、フルHD環境でならVRAM搭載量を気にする必要はなさそうだ。

「Anthem」ではDLSS非対応なのが悔やまれる

最後に検証終盤にプレミアムアクセスが始まった「Anthem」も回してみた。画質は“ウルトラ”とし、フリープレイでマップ内の一定のコースを移動し、その際のフレームレートを「OCAT」で計測した。

このゲームはHDR対応ディスプレーを接続すると問答無用でHDRが有効になるため、非HDR環境とは若干パフォーマンスが違ってくる可能性がある。今回筆者はLGエレクトロニクスの「32UD99-W」(HDR10対応4Kディスプレー)を利用した。さらに、GTX 960はフルスクリーンモードでは画面が暗転したままになる不具合に遭遇したため、GTX 960はウィンドウモードで計測した。なお、WQHDや4Kは動作に怪しい点が見られたので計測を見送っている。

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「Anthem」、1920×1080ドット時のフレームレート。

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「Anthem」、2560×1440ドット時のフレームレート。

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「Anthem」、3840×2160ドット時のフレームレート。

画質を一番上にするとかなり重く、フルHD設定でも最低フレームレートで60fpsを上回れたGPUはひとつもなかった。安定したフレームレートを得るにはRTX 2080クラスのGPUが必要だろう。

GTX 1660 TiはフルHDならば画質をある程度下げることで対応できるが、Tensorコアがないことが惜しまれる。AnthemのDLSS対応は後日とのことだが、DLSSによるパフォーマンスアップが享受できないからだ。DLSSに興味があるなら、数千円上乗せしてRTX 2060を選ぶべきだろう。

まとめ:新世代ミドルを名乗るのに相応しいパフォーマンス

以上でGTX 1660 Tiのファーストレビューは終了だ。RTX 20シリーズ登場当時から“RTコアとTensorコアを省いて安くしろ”というゲーマーの声が挙がっていたが、今回ミドルクラスのGPUでこれを実現したことになる。279ドルというのはベースラインの値段であるため、実際の製品は300ドル前後になりそうだが、それでもやや割高感はある。むしろ少し背伸びしてRTX 2060の安価なモデルを買ったほうがDLSSやDXRの恩恵を享受できるぶんお買い得かもしれない。

以下のグラフは今回比較に使ったビデオカードを基準に、GTX 1660 Tiは各GPUに対してどの程度速い/遅いかを示したもの(100%より上=高速)。検証に使用した実際のゲームベンチの平均フレームレートの増加率の平均である。

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GTX 1660 Tiの総合的なパフォーマンス比較。

フルHDならRTX 2060に対して9%下、GTX 1070より6%上という絶妙なポジションにつけている。GTX 1070ユーザーが買い換える先はRTX 2070であって、GTX 1060ならGTX 1660 Tiに乗り換えてもしっかりメリットが感じられるということが示されている。GTX 960はそろそろ引退させてやろう。

価格面に納得できれば、GTX 1660 Tiは少しでも予算を圧縮したいゲーマーにオススメできることは間違いないだろう。RTコアが云々とか言っていた層なら、なおさらGTX 1660 Tiを選ぶべきだ。

ただ問題は、まだ市場にGTX 1060搭載カードが残っていること。GTX 1060の実売価格は売れ筋モデルで2万8000円前後であるため、これが消えないとGTX 1660 Tiはそう簡単には安くならないだろう。ゲーマーにとっては歓喜すべき製品だが、小売店にとっては頭痛の種になりそうな製品なのだ。

■関連サイト

NVIDIA

GeForce GTX 1660 Ti製品情報ページ

ASUS「ROG-STRIX-GTX1660TI-O6G-GAMING」製品情報ページ

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