現時点で最高の自動運転技術を搭載したアウディ「A8」

現時点で最高の自動運転技術を搭載したアウディ「A8」

  • ASCII.jp
  • 更新日:2019/10/20

日進月歩で進化を続ける自動車の自動運転技術。その中でも現時点で「もっとも進んでいる」と考えられるアウディ「A8」で、最新の運転補助を体験した。

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アウディA8と古い駅舎。なぜかマッチする不思議な魅力がアウディにはある

8年ぶりにモデルチェンジした アウディのフラグシップセダン

アウディA8は、2018年念に8年ぶりのモデルチェンジを果たした同社のフラグシップセダン。価格は1140~1640万円。この手のフラグシップセダンとしてはメルセデス・ベンツのS600、BMWの7シリーズが比較対象となるが、アウディA8は、同社のアイデンティティといえる四輪駆動を採用。FR車である2車種と比べて、より高い安定性を実現している。

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アウディ A8

車好きなら気になるのは心臓部だろう。A8は2種類のエンジンを用意。55 TFSIクワトロのV6は排気量2994ccにターボチャージャーが装着されて、最高出力340ps、最大トルク500Nm。60 TFSIクワトロのV8になると排気量3996ccとターボチャージャーの組み合わせで最高出力460ps、最大トルク660Nm。いずれも48V電源によるマイルドハイブリッド車である。

フォーマルセダンにここまでのエンジンが必要なのか? という素朴な疑問が沸くが、2トンを超える巨体を滑らかに、そして静かに走らせるために必要なのだろう。

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アウディA8の55 TFSIクワトロV6エンジン

この2トンを超える車体の大きさは、全長5170mm×全高1470mm×全幅1945mm。ホイールベースは3000mmで、ロングホイールベース版の「A8 L」では、全長、ホイールベースとも130mm伸長。そう考えると、実は軽量化がなされていることがわかる。事実、ボディーにはアルミやカーボンファイバー、マグネシウムが使われているとのことだ。

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アウディA8のサイドビュー

ここまでのロングボディーになると、日本では取り回しに難儀しそうに思える。実際に運転すると、確かにコインパーキングへの車庫入れなどで何度も切り返しをしたり、枠ギリギリかはみ出すことがあったのだが、思ったよりは難儀しなかった。というのも、A8には同社初となる四輪操舵4輪操舵の「AWS(ダイナミックオールホイールステアリング)」がオプション設定され、65km/h以下の低速では前輪と逆向きに後輪を操舵することで取り回し性を向上。いっぽう65km/h以上では後輪を前輪と同じ向きに操舵して車線変更における操縦安定性を高めている。

「世界初の自動運転レベル3搭載車」の予定だったA8

ここまででも十分なA8であるが、フラグシップである以上、アウディは手を抜かなかった。このA8が最初にお披露目された2017年9月のバルセロナで、誰もが驚くことが発表された。自動運転レベル3を世界で初めて搭載するというのだ。

自動運転については、アメリカのSAE Internationalが策定した自動運転の定義に基づいて、その技術レベル、内容によってレベル0から5までの段階に分けられている。プロパイロットをはじめ、現在販売されている車は、すべて車両がステアリング操作、加減速のどちらもサポートする「運転支援」のレベル2が最新となっている。レベル3になると、一歩進み「システムが高速道路など特定の場所に限り交通状況を認知して、運転に関わるすべての操作し、ドライバーが緊急時やシステムが作動困難になった場合に対応する」となる。つまり高速道路ではほぼ何もしなくてもよい、ということだ。

しかし、実際に2018年10月に日本国内での導入発表の際、日本のみならず世界的な法整備の問題から、この自動運転レベル3の機能は見送られた。だがシステムとしては最新のデバイスを搭載し、限りなくレベル3に近いことに変わりはない。

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アウディA8とフィリップ・ノアック社長

量産車として世界初となるレーザースキャナーを車両のフロント部分に1基搭載。このほかにもミリ波レーダー、カメラセンサー、超音波センサーなどA8には23個のセンサーが取り付けられ、全方位で車両周辺の情報を検出。得た情報の処理にはNVIDIAのチップを中核とする「zFAS(セントラル ドライバーアシスタンス コントローラー)」が用いられ、適切に判断するというのだ。

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アウディA8に搭載するレーザースキャナー

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レーザースキャナーはナンバープレートの下部に配置

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ドアミラーの下部に設けられたカメラ

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エンブレムの下にもカメラを配置

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NVIDIAのチップ(銀色の大型IC)が目を惹くzFAS

これにより「アダプティブクルーズコントロール(ACC)」「アクティブレーンアシスト(ALA)」「トラフィックジャムアシスト」の3機能を統合した「アダプティブドライブアシスト(ADA)」に加え、見通しのわるい交差点で機能する「フロントクロストラフィックアシスト」、全方位に対して事故の発生を予防し、被害を軽減する「プレセンス360」などを新機能として追加した、とカタログには書かれている。しかし、字面を見ていると「なんだか凄そうだけれど、どう凄いのかよくわからない」のが正直なところ。そこで好奇心から今回の試乗で体験することにした。

圧倒的な存在感。その実フレンドリー

A8を目の前にすると、その大きさに圧倒される。そして風格に「これは運転できるのだろうか」という恐怖心にかられてしまう。特に横方向にワイド化されたフロントグリルはアウディでありながらも、従来とは異なる水平基調で低重心さと、シャープでクールな印象を与える。

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A8のフロントマスク。シングルフレームグリルがよりワイドに大型化されている

車内に入ると、さらに圧倒的。ゴージャスではなく、全体的な品の良さ。このテイストはアウディならではの世界観だ。後席の広さ、座り心地の良さは、ちょっと記憶にないほど。座っているだけで「人生の成功者」と思えてしまう。アームレストには着脱可能なタブレットを装備。エアコンやシートヒーターなどの設定変更ができる。

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A8のリアシート

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リアシートのアームレストには、大型のタブレットを用意。手元でエアコンなどの調整が可能だ

ドライバーシートに座ると、近年のアウディではおなじみとなったバーチャルコクピットをはじめ、センターコンソールには上下2面のタッチパネルモニターなど、かなり未来的。アウディというと長年MMIと呼ばれるシャトルジョグダイアルを用いたUIが使われていたが、今後はタッチパネルへと移行するんだろう、ということを意識させた。画面にタップすると、指に微振動が伝わる。そのフィーリングはどこかアナログ的で、大変わかりやすい。

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A8のダッシュボード。フロントグリル同様に水平基調のデザインだ

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上下2段のタッチパネルディスプレー

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クリック感のあるシフトノブは上下でモードを切り替え。サイドブレーキは電気式だ

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ハンドル周り

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アームレストを開けるとUSBポートのほか、SDカードスロットなどが現れる

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アウディではおなじみのバーチャルコクピット

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運転席後側にはダッシュボードと同じブラックアッシュの木材が使われている

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ドアの内張

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リアは水平基調のデザインを採用

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トランクルームを開けると大容量のラゲッジスペースが出現。コンパクトSUVよりも容量が多く感じられた

ジョイスティック的な動きをするシフトレバーをDのポジションにセットし、おそるおそる走りだすと、これが真逆のフレンドリーさ。軽快な操作性と、想像以上の小回りのよさに「これなら運転できるかも」と誰もが思うことだろう。それでいながら「高級車かくあるべし」と言わんばかりの静粛性と滑らかさと乗り心地。

面白いのは、スポーティーなテイストが見え隠れすること。運転していてワクワクする、アウディ独特の感覚がサルーンにも受け継がれている。ワインディングでもボディーの重さを、あまり感じることはない。この安定感はさすがアウディだ。

夜で雨の高速道路での安心感も絶大

夜の雨降る高速道路に乗り、噂の運転支援を試すことにした。クルーズコントロールはハンドルのコラムシフトにあるレバーを使う。これが実に200km/hまで設定可能で、設定速度は115km/hまでという多くの国産車との違いを感じさせる。つまり新東名の120km/h区間でも、クルーズコントロールを利用できるというわけだ。このクルーズコントロールに、車線キープと車間キープ機能が加わったものが「自動運転レベル2」となる。さっそくクルーズコントロールをオンにすると、レーンキープはすぐに始動し、ハンドルからシステムが介入している手ごたえを感じる。この感覚は日産のプロパイロットに似ている。

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アクアラインを走行中の様子

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速度計の下にある緑のアイコンがクルーズコントロール、すなわち自動運転レベル2の表示だ

ハンドルから手を離すと、数秒で警告サインが出ることもプロパイロットと同様だ。使い始めた時は、車間設定が5段階とより細かく設定できることと、操作系だけでは? と思えた。しかし、プロパイロットは雨天時に安全面から利用不可としているのに対してアウディは利用可能。しかも、暗い高速道路でもしっかりとレーンキープをし続けるではないか。

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クルーズコントロール中は定期的に注意喚起のメッセージが表示される

レーンキープは基本的にセンターを厳守するようで、ハンドルは小刻みに動いている様子。ステアリングフィールはやや重めで、ノーウインカーで車線変更をしようものなら結構な反力を感じる。いっぽうウインカーを出すとスッと動く印象。動作状態で応力を変えているのだろう。

この手の運転支援を利用している際に、気を付けなければならないのは急な割込みだ。筆者の感覚的に、運転支援を搭載する車両の多くは、前走車との車間を約2秒に設定されているようだ。この2秒ルールは警視庁などが推奨する走り方で、メーカーはそれに沿って設計していると思われるが、現実の高速道路ではこの車間2秒は「結構広めに車間を取る」走法。特に都心部での追い越し車線や渋滞時に運転支援を利用すると、2秒の空きスペースに向けて、急な車線変更で入られることが多い。実際アウディA8で運転支援を用いた高速走行中、何度となく強引な割込みに遭遇した。

この時、ブレーキを踏むなどで運転支援を解除し、速度を落としてやりすごすのが一般的な対処法だろう。しかし、後方から猛スピードでノーウインカーで入り込む、いわば死角からの侵入に対しては、なかなかそうはいかない。多くのシステムはギリギリになってから急減速をし、運転手はその反応で「え? 何?」と驚いている間もなく、いきなり目の前に入ってきた車を察知して、慌ててブレーキを踏む。

アウディは「この車は入ってくるだろう」と予知していたかのように、減速Gをあまり感じることなく、スッと速度を落としたのである。つまり視野角が広く、遠く、そして演算が早いのだ。これには正直助けられたとともに驚いた。

これに四輪駆動のスタビリティのよさ、車そのものの快適性。さらに150km/hまでの巡行中はモーターアシストによる走行に切り替わり、エンジンがオフになるという静粛性と相まって、実に快適な高速道路クルージングが愉しめる。軽くハンドルを握りながら、乗ったことはないものの「空飛ぶ絨毯」という言葉が頭に浮かんだ。

そして、高速道路で必ずといっていいほど遭遇するのが渋滞だ。この渋滞追従においてA8は2秒よりも気持ち短い間隔で追従。前走車が止まると、スッと速度を下げてピタリと停止するのは他の運転支援と同じだが、その車間は狭い印象。気のせいかもしれないが、バイクがすり抜けする際に、車が反応し少し車線をずらすような動きをみせた。これも検知範囲の広さと演算処理の成せる技だろう。

道は高速道路や幹線道路だけではなく、狭く入りくんだ場所であったり、車庫入れなどが待っている。残念ながらアウディA8には車庫入れの支援は搭載されておらず、アラウンドビューモニターの映像を見ながら行なったのだが、当然それだけでは見落とすようなことが多い。それは2m近い車幅の車が通れるのか? と思えるほどに狭い道でも同様だ。

車両近くに障害物があるとソナーが感知し、警告音を発報。車内が大騒ぎになるのは今時の車ならではのできごと。あまりの音の大きさにオフにしてしまうこともしばしばだ。ただ、これらは警報が鳴るのみ。アウディA8の場合は、徐行時に障害物が近づくと車両が停止しアクセルを踏んでも車が動かない。この介入を良しとするか否かは人それぞれだが、ぶつけたりしたものなら、どんな請求が来るかわからないだけに、この機能にはかなり世話になった。

【まとめ】この先進性が当たり前になる時代がすぐそこに!

上記の機能のうち、どれが「プレセンス360」でどれが「アダプティブドライブアシスト(ADA)」なのかは体験できなかったが、これらのシステム全体が、車両が事故防止に務めているのは確かで、システムが自ら車両を操作するのを、これほどまでに強く感じたのは初めてだった。現時点でレーザースキャナーを使った運転支援システムはA8のみだが、今後同社からリリースされる新型車に、同等の機能が搭載されていくのだろう。

アウディの先進性だけでなく、自動運転レベル5はこの延長線上にあるのだろう、と思うとともに、むしろ人が運転するよりも車に任せた方がよいのでは、とさえも感じる試乗であった。

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水平基調のデザインで大人の余裕を感じさせるアウディA8のテールランプ

■関連サイト

アウディジャパン

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