盆踊りのルーツは「地獄」? 地獄も休む日本のお盆とは

盆踊りのルーツは「地獄」? 地獄も休む日本のお盆とは

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  • 更新日:2017/08/11
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『水木少年とのんのんばあの地獄めぐり』より「閻魔大王」2013年水木プロダクション蔵 通期展示 (c)水木プロダクション

今日からお盆休みという人も多いだろうし、逆にかき入れ時となる業界もあることだろう。カレンダーには休日のマークはないが、この時期「お盆休み」という独特の休日が日本にはある。東京では、本来の盂蘭盆会(うらぼんえ)は新暦の7月に行うのが昔からの習慣だが、お休みは旧暦の8月にという不思議な状態になっている。「お盆」というもの自体が、日本独特に変化しているのだから仕方がないのだが……。

●地獄の釜もあく日

日本のお盆は、神道や古来の風習の影響も受けてはいるが、やはり仏教の考えに寄るところが大きい。お盆につきものの盆踊りは、この時、現世へ戻ってくることを許された魂を迎えるためのものだとも、地獄から解き放たれて喜ぶ亡者の姿を模したものだとも言われている。なにしろ正月とお盆は、年に2回の「地獄の釜もあく」日、つまり地獄でさえお休みになる日なのだ。丁稚奉公という働き方があった時代、この日を「薮入り」と呼び、奉公人たちにも漏れなく休みが貰えた。地獄さえも休む日に働いてはいけない、という意味である。

●日本人には身近な地獄

日本の処世訓には地獄がよく登場する。5年ほど前、「地獄」という絵本がベストセラーになり話題になったが、親は子どもをしつける時、往々にして地獄の恐ろしさを引き合いに出してきた。「嘘をつくと舌を抜かれる」「悪さをすると鬼に切り刻まれる」「悪口や人をバカにすると針地獄に落ちる」「約束破りは釜ゆで」などなど……。こんなに具体的に地獄を表現する文化を持つ国はそう多くはない。この他にも温泉地でよく見る「地獄めぐり」や「地獄谷」、辛い食べ物を「地獄ラーメン」などと名付けたりもする。

●閻魔大王は5番目の裁判官

地獄の世界観を日本に最初に広めたのは、源信(恵心僧都)だと言われている。平安時代中期の天台宗の高僧で、浄土教の祖である。極楽浄土の反対側の世界を細かに描写してみせたのである。2017年は源信没後1000年、日本の地獄の歴史はそれほど長い。

まず、世界は「六道」という6種でできているとし(天道・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道)、この最下層が「地獄」であると源信は説いた。

人は死ぬと三途の川を渡り、地獄の十王の裁きを7日ごとに7回受ける。閻魔大王ばかりが有名だが、地獄には全部で10人の王がいて49日までに7人の王の裁定が下され、ここまでで結審しないと残り3人の王による、100日目と1年後、2年後の裁きとなる。人が亡くなると、初七日、49日、100日、1周忌、3回忌と執り行うのは、この裁きの結果によって、死者がどこかへ旅立つのか決まると考えられていたためである。つまり、旅立ちに対しての餞(はなむけ)であり、裁判官への現世からの嘆願なのだ。極端に善人だったり、悪人だったりすれば最初の王(秦広王という)で行き先はすぐに決定する。5番目の裁判官である閻魔大王が有名なのは、死者の生前の行いをすべて見ることのできる鏡を持っていて、嘘をついて自らの行いについて言い逃れができない手強い王だったせいかもしれない。

●地獄を見て涼しくなろう

地獄には「八大地獄」と呼ばれる形態があり、この中にまたいくつもの地獄がある。現世で犯した罪の重さによって落ちる地獄の種類も変わる。最下層は無間(むげん)地獄である。

一方で救いもある。地獄にはお地蔵さまがいて、少しでも見所のある亡者を引き上げてくれるのである。地獄に仏とは、まさにこの「地蔵菩薩」のことなのだ。ちなみに、日本ではこの地蔵菩薩は閻魔大王の化身(別の姿)と言われている。人気の秘密はここにもあるのかもしれない。

世界中には地獄を描いた絵画が存在するが、日本ほど多くの地獄絵を持つ国もないだろう。現在、三井記念美術館(中央区日本橋)では「地獄絵ワンダーランド」が開催(9月3日まで。9月23日~は京都・龍谷ミュージアムにて開催)されていて、多くの地獄絵や十王たちの姿が展示されている。加えて今回の展示には水木しげる氏の描いた地獄絵が含まれていて、地獄をより身近に感じることができる(!?)。

灼熱地獄のようなこの夏のお盆休み、大人も子どもも楽しめるお出かけ先として、間違いなく涼めるこんな場所はいかがだろうか。(文・写真:『東京のパワースポットを歩く』・鈴子)

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